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…漁師アトムの航跡… ~ある沖乗り漁師の綴記~

【know-how】!

2021年03月28日 | モバイル

英語の know (知る)と how (方法・やり方)で 
「方法や、やり方を知る」「know-how」は英語が語源のカタカナ語…

多くの事がそうであるようにノウハウの伝承によって成り立つ仕事は多い…!

know-how は使う人や分野によって意味合いは変わるのだろうけど
と前置きしたうえで、船乗りに置き換えて考えてみると…

昔の事だが、私が漁船に乗った当時 「仕事は盗んで覚えるものだ」とよく言われた…
多くの船があり、乗船者も多くいた時代…

これは船に乗る人が少なくなった現在では、「伝達」していかなければならない…。

仕事として大まかに纏められている中で作業と云うのは多岐に渡る…。
「方法・心得・手順・経験・知識」それぞれに「ノウハウ」が必要となる…

…所変われば品変わる…
職業の選択によって必要なノウハウも変わる。

船乗りも、業種・船によって搭載されている機械機器も異なり
基本は同じでも、扱い方法や手順も違う。
船型も含めて目的が違えば仕様も変わるから
異なる仕様に沿った知識と応用も必要になる…。

 


時間を要する作業のタイミング等も含め
学ぶべき事・ノウハウも多く、置かれた立ち位置によっては
「ノウハウの伝承」は必要不可欠…。
そして、一旦覚えて自分のものにしたノウハウがスキルになっていく…。

スキルアップと云うのは無限にあるノウハウの、
より多くの蓄積を求める事なんだと思う…。

そのいろんなノウハウを覚えていく為に人は学ぶ…
学ぶ気がなければノウハウは身には付かない…

海の上で働く船乗りの中で日帰り以外の船は、
職場と衣食住環境が船内に凝縮されているので
やるべき事が多く、作業以外も分担して担当にあたる。

少人数で運航している船では各々の担当もはっきりしている。

各個人、さまざまなノウハウを駆使して成り立っている!

グローバルに捉えると、人生そのものが know-how の積み重ねに思えてきた…。

働く場所は大切で、その場で働き続けるためには適応力も人間力も求められる。

業種は違えど、息子も船のエンジンに携わるようになった今、
お互いに日々ノウハウを学び、
スキルアップに繋げれるようにしていきたいものである…!

船は釧路港で時化休み、


66日を経て乗船した地に…。

【2 months have passed】!

2021年03月25日 | モバイル

3月18日に十勝広尾港を出港し、19日に室蘭で積み荷役…
川崎向け中の20日、時化避難で相馬港外へ
投錨後、作業が一段落した頃緊急地震速報との僅かな時間差で船は大きく揺れた!
錨泊中だったからか、波に下からドンドンドンと突き上げられるような衝撃だった…

船上で地震だとはっきり感じられるくらいだと規模は大きい…!

震源地に近い宮城県沿岸に津波注意報が発令され、備えたが

19時30分頃には解除となり一安心。

…22日 21時揚錨、南下…。

塩屋埼沖通過の01時30分頃、釧路向け中の仲間が乗る社船とスライド…



LINEで近況を共有し合う。

23日、川崎で室蘭からの荷を揚げてすぐさま名古屋向け…

24日、十勝港内のバラスト海水、今回は名古屋までの旅だった…。

25日、お正月前から乗船していた方々の休暇時期となり乗組員の交代が始まった。

私は5月末まで乗船する。

21時、名古屋出港釧路向け…!

【北の国から、弥生3月】!

2021年03月20日 | モバイル

桜開花宣言のあった広島県内の福山港を12日に出港し、北海道十勝港へ…
時化避難もあり16日夕刻、十勝広尾港入港。

襟裳岬沿岸航行時、山々を望み、風を感じると

五郎さんの声が聞こえたような感覚をおぼえ

しぜんに「北の国から」 by さだまさし 

メロディーを口ずさんでしまった…

その16日夕刻

受験生だった我が家の末っ子の高校入試合格発表の便りが届き、

「桜咲く」がリンクした。

航行区域にもよるけど、船内にWIFI電波があって

普通に陸上とタイムリーに繋がる環境下は快適である…!
一昨年に乗船した船での学生達との会話の中で「船内でWIFI繋りますか」? 

と聞かれた事を思い出した…
(繋る事が普通で繋がれないのは異常と云うのを覚えてしまうと

そう云う環境下はとても不便な事と感じるようになる)のかもしれない。

時代は令和だ…!

…弥生3月 北海道の風はまだ冷たく、襟裳岬沿いには2℃~3℃の海水温もあった…

十勝広尾港で荷を揚げ、港内錨泊の後 室蘭へ…




前回の室蘭入港から1ヶ月が過ぎ、

日昼の寒さはだいぶ和らいだが朝晩はまだまだ寒い

北の国から弥生冷たい風を背に太平洋岸を南下
そしてバラスト海水の旅、今航海は十勝湾内の海水である。
船は東京湾内・川崎向け…
途中時化予報があるが…


【風代わる弥生】!

2021年03月13日 | モバイル

博多での荷を水島に揚げ、広島県の福山へ…

福山では2日積みとの事で1日目の荷役後に
不調だったが、先送りされていたセントラルクーラー低温冷却水側の温調弁を開放整備作業…

発電を止めての作業は、開始が夕刻となり

暗闇の中光源をハンディライトに頼って…
配管内の清水抜きに手間取ったが、意外と無事に作業が済んだ。

この日、広島市では日本一早くソメイヨシノの開花宣言がなされたようだ…。

10年前まで弥生3月の代名詞は卒業式だったように思うが
あの時から、「3.11」を多くの人達が思いうかべるようになっただろう…

弥生の風は代わった…

昨年からのコロナ禍によって卒業式も形態が変化し、多くの式典も変わった…
なんとなく翻弄されながら時代を過ごしているように思う…

弥生3月、まだまだ冷たい風も吹く。

船は福山で積んだ荷を北海道十勝へ運ぶ…!

12日・16時の出港後、夜になって弥生の冷たい雨が雷光と共に強まり

波も高くなり、時化避難で和歌山県海南湾に投錨…

今日13日は、我が家の末っ子の中学卒業式…。

参加できず残念ではあるが、やむを得ない…


【3.11・それぞれの10年】!

2021年03月11日 | モバイル

人生に困難は付き物かも知れないが、災害によってもたらされる困難は残酷だ!

2021' 3月11日…
東日本大震災から10年の歳月が経過…

今もなお、心の中に大きな傷をしまいこんで生活している方々は多い。

10年前のこの時期は、私個人にとって大きなターニングポイントだった。
それは、ほぼ縁の無かったトロール漁船(遠洋底引き網漁)に乗船した事…

ただ単に冷凍機を学びたくて知人の紹介で乗船したのだが
その乗船中に「東日本大震災」が起きた…!

天皇海山と呼ばれる海域での操業中…

前年までの15年程は南三陸沿岸の春漁に携わっており、
あの2011年だけ、南三陸沿岸の漁から離れた…

2010年の2月に発令された津波注意報の時は、海沿いに住む伯母を迎えに行った。
今思えば津波と云うのを甘く捉えていた…

2011年3月11日・あの時洋上にいなかったら、前年と同じ行動をとっていただろう…

そしてたぶん……

あの大津波によって幼なじみを亡くした。

あの時から自分以外の人の困難や悲しい出来事に対し
語りかけることが出来なくなった…
どう考えても言葉が出なく、会話出来なくなって、
自分自身にバリアを張るようになった。
10年を経て、だいぶバリアは薄くなってはきたが
それでも、自分以外の方々の辛い出来事には言葉が出てはこない…

あれから10年…
どうしても距離を置くようになった方々も多い…

言葉の代わりに自分は、自身が携わる事に対し向き合い、頑張っている事や身近な事も含め
今の時代に沿った言葉に出さなくてもできるやり方で伝えていく事にした!

blogもそうだし、SNSによって発信できる自分の感じた事や
綴りたいと思う事はこれから先も記していきます…!

それぞれの3.11、葛藤も喜怒哀楽も…。

…14時46分、広島県福山港から東北地方の方角に向かい合握・黙祷……

画像は、大震災後に娘から船にメールで届いた

3月20日の故郷の集落の状況…