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…漁師アトムの航跡… ~ある沖乗り漁師の綴記~

【さんま漁・12 航海目】!

2014年09月30日 | モバイル
9月29日朝7時30分・女川入港。

帰航中の昨夜半頃から空調の調子が悪くなり、冷えなくなってきた…

空調機冷却水ポンプの吸入圧力が異常に低い…!

数日前に掃除したばかりなのになぁ… とか思いながら開けて見てびっくり!

小さなキタムラサキ貝みたいなのがびっしり…

至る配管も外してみると、フランジの湾曲部には更に根付きの貝がびっしり…

こし器・(ストレーナー)のみの掃除では不足だったようだ…

甘くみていた自分に反省である…。

太い配管で一回り大きな他の冷却水ポンプも数日前に掃除。

念のため開けるも、きれいなもの…。

掃除後、圧力も正常に戻り、空調も本来の機能を取り戻した!!

目に見えない内部の状態は圧力計が頼り…!

計器類は考えながら見るものだ!!

以前お世話になった機関長の教えにあった…

猛省…!!

水揚げを終えて氷の積み込みを終えても、冷水に使う清水取水が終わらない…。

女川港での水揚げ船4隻。

その4隻が一緒に取水している為、清水の勢いが弱い…

女川港と仲買の方々も復旧に向けて頑張っている最中…

やむを得ない…

しかし、さんまの南下回遊によって、漁場が近くなってくると

水揚げ後、漁場迄の航走時間、ポイント到着は漁獲に左右する…!

目指すポイントは女川港から本船の速力で約9時間!

12時30分・漁灯を拡げ、女川出港。

それた台風17号の影響で北風が強い三陸沿岸を北上!

市場接岸中に取水した清水に滅菌器を通した海水を割合よく混合、

海水クーラーで循環しながら冷却!

キンキンに冷やす!

この冷水と氷を割合よく使って、鮮度良く市場に運ぶ…!

漁場が近くなってくると、冷水造りも時間勝負。

少しでも早く目標の温度まで冷却する為、

水揚げ中にも清水取水順に冷やしています。

氷も、今はアイスキャッターと呼ばれる、エアーを使って

掃除機のように氷を吸わせ、移動させる装置を使う為、

氷も適度な冷却が要求される…!

私の冷却が悪くて、いざ群れに当たった時に、

氷が揚がらないでは立場がない…!

入魚する魚艙も適度な冷却が必要、真剣です…!

…18時・S/B。

強かった北風は日没と共におさまり、残ったうねりも時間を追う毎に凪てきた…

トドケ崎灯台の灯りが見える。

他船は8隻、さんま漁船の漁り火に混じり、灯台の灯りを見ながらの操業…

さんまの南下回遊は加速、トドケ崎沿岸まで来ました…!

大群操業とまではいかないものの、纏まった漁獲を数回、

漁獲を伸ばしていったが、なかなか満船には遠い…

夜明け前、「夜明けの一発」!

大群操業で満船となった…!!

すっかり周りが明るくなっても、さんまの入魚作業が続き、

6時30分、一杯に…

船は満船南下帰途航走女川向け、

30日・13時頃の入港予定!Img_20140930_171552



【さんま漁・11 航海目】!

2014年09月29日 | モバイル
24日、銚子港での水揚げを終えて12時30分・出港北上。

台風避難で気仙沼港に向け迴航…

台風16号が、低気圧になった事で経済回転・微速での航走ながら、

迴航中は、南からの湿った風を追い風…

その影響で機関室は40℃超…

25日朝06時の入港まで40℃超えが続いた…。

気仙沼入港後、氷を積み込んだ後、時化休みとなった。

食料庫の冷凍装置、ライトの安定器、等

不調箇所のメンテナンス作業を昼まで行い、帰宅。

学校から帰る末っ子を待って、久々にキャッチボール…!

一緒の夕食、入浴は船乗り親子の貴重な語らいの場でもある…

学校の事など、楽しく話してくれる…。

…想えば、大震災後の6月に帰宅した際、水道水がまだ復旧しておらず、

自衛隊が設営してくれたお風呂に、息子二人と私が一緒に行った…

当時、中学3年生の長男と保育園児だった次男…

私は初めての自衛隊のお風呂…

子供達は何度か来ているよう…

普通に衣服を脱いで子供達は浴室に行き、浴槽に入る前に身体を洗う…

本来であれば、保育園児の身体や頭などを洗ってやるのは

私、父親…

しかし、そこで見た光景は、長男に促され次男はじっとしている…

ごく普通に長男が次男の頭や身体を洗ってやっている…

未曾有の大震災を体験、そこには、本来頼るべき父親がいない…。

子供ながらにも、日々を過ごす術を実践していた…


私はあの光景を一生忘れないだろう…!

夕刻、冷凍装置関連の業者さんから連絡が入っており、

朝早く船に戻り、軽作業と保冷の為の冷水冷却…

作業中に友達から連絡があり、友達が訪船、作業設備の話を少し…。

26日、船は気仙沼港を10時に出港し、低気圧通過後のやや強い北風を

向かい風で三陸沿岸を北上!

17時S/B。

19時頃に各船が操業中のポイントで1回操業、僅かな漁獲で、

再度北上!

うねりは若干残るも、風は弱まった…。

北上2時間程で操業再開!

纏まった群れを1回操業、薄群れを数回操業、調査航走が続き、

2時過ぎから操業中の船団を離れ、再度北上。

やはり、南下第一陣の大群は主漁場とはならなかった…!

夕刻まで北上航走、各船も北上してきたようだ…

16時・S/B。

凪も良くなり、日暮れから東側・沖よりに調査…

数回操業も、漁獲は伸びない…!

漁は切れたよう…

各船共に、漁模様は低調に推移…

そんな中、夜明け前の連続操業で、なんとか一杯になった。

夜明けより南下帰途航走女川向け

29日朝入港予定。


【さんま漁・10 航海目】!

2014年09月23日 | モバイル


9月21日朝6時、女川入港も、日曜日で水揚げはなし…

甲板では、高いうねりの中での操業で傷んだ網の要所を交換…

水揚げに使う荷役用ボンブの巻きワイヤー交換…

機関のLo関連のメンテナンス作業を済ませ、水揚げまでの休みができた…!

私用で一旦帰宅。

帰路、女川は「さんま祭り」の最中で多くの方々で賑わっていました…

復興半ばの海岸線、道路沿いには、かさ上げ工事用に積まれた多くの土…

それでも道端の木々は秋を感じるには充分…

帰宅するなり私用を済ませ、秋のお彼岸中でもあり、お墓に足を運び合掌…

ほぼ、とんぼ返りで船へ…

22日・水揚げ・氷の積み込み後の11時20分、女川出港。

我々が女川港停泊中、襟裳岬沖でもさんまが見えたらしく、

目指すポイントは襟裳岬の約20哩南東!

…23時・S/B。

他港から出港し、先を行く各船は操業している…

漁灯を拡げ、急いで甲板を準備、大群操業に備える!

冷水造りも間に合った…!

さんまは忙しく跳ねている!

日付けの変わりと共に操業開始!

漁り火は数隻…

操業中の各船の南東側、凪良く大群操業!!

南下第一陣であろう、凄いさんまの群れである…!

いよいよさんまは、南下回遊を加速…!

およそ3時間半の目まぐるしく忙しい操業で満船となり、

僚船2隻に群れを渡し南下帰途航走。

凪良く銚子向け!

15時30分・もうすぐ金華山…。

24日早朝入港予定!

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【さんま漁・9 航海目】!

2014年09月21日 | モバイル

9月18日・10時50分、女川出港。

西風が強めの南三陸沿岸を北上…!

北上中、漁に使用する冷水を造っていきますが、

9月上旬には20℃台だった南三陸沿岸の海水温は18℃台へと

少しずつ下がり始めている…

日本の四季は確実に次の季節へと移ろっていく…

今年も始まっなたなぁとか思っているうちに、早、1ヶ月になろうとしている…

航走中、海上を吹き抜ける風にも秋を感じる…

もうすぐの季節風が吹き荒れる時期になる…!

今期のさんま漁はこれまで、比較的良い凪に恵まれ、台風や大きな時化もなく、

当然、時化休みなしで漁が推移。

こういう年も珍しい…

夏海が終わると、悪天候が続くのではないかという懸念が生ずる…

どうやら今度の台風は太平洋岸に影響しそう…

19日・10時、漂泊。

内地からの漁場向け北上航走で一番近いポイントである…

さんまの南下回遊も活発化し、盛漁期入りしたよう…

日暮れ・日没と共にうねりが高まり、風も寒く感じる道東沖…

海面は澄んだ青系の水色、調査開始時、さんまは忙しく跳ねるものの

網への入りが悪い…!

「今夜一晩で獲って女川向けなら日曜日、久々に休みで帰宅もいいなぁ」

若人が言った…。

そうか、日曜日か…

日曜日とかは頭に無かった…!

…北側に調査航走して行くと、濁水系の水色になり、海水温も変わった…

水色・水温の交わる潮境付近、鯨も狩りの最中のようだ…

鯨に追われ固まったようなさんまを大群操業!

高いうねりの中での大群操業は、全ての作業が大変である…!

漁撈長による操船、揚網時の合図、漁撈機械の操作、

入魚前の網引き、入魚中の網締め、

船全体、乗組員全員の連係は通常操業時の何倍もの集中力で!!

長い夜なのか短い夜なのか表現が微妙な一夜が明け、

東の空が少しずつ白んだ頃、満船となった…。

朝焼け色に気付きながら漁灯を仕舞い、甲板の整理を済ませると

夜明けの船上に波飛沫が舞い、拭うみんなの笑顔にほっとする…。

今日も、無事に漁を終えた安堵感を噛みしめながら、

共に協力しながら働く海の男達、合羽をぬぎながら想う…

良い職場でありがたい!

船は南下帰途航走、女川向け。

21日・早朝入港予定!


【さんま漁・8 航海目】!

2014年09月18日 | モバイル
10時40分・女川出港。

機関部の若人の父親から牡鹿半島寄磯産のホタテを頂き、

凪も良いことから出港後は若人達が船上バーベキューを始めた。

12時・南三陸歌津崎沿岸にて航走ストップ、会合。

漁撈長の兄よりホヤ、小型船で漁の帰りの知人より鱈を頂いた。

漁撈長が泊崎半島御崎神社に向かって礼拝、大漁と航海の安全を祈願。

その後三陸沿岸を凪良く北上漁場向け!

16日・16時S/B。

内地への航海中に、各船の操業ポイント、漁場はだいぶ近くなったようで、

以前に調査・操業した海区から沖よりに低水温の分枝が伸び、

冷海水域が南東側に推移。

漁灯を拡げ、甲板を準備、大群操業に備えた!

時期的に9月中旬から10月中旬は、さんまの盛漁期である…!

日没も早くなり、17時30分頃から操業開始!

早速大群操業…!

南からの湿った風が、波を高め、少しずつうねりが大きくなってきた…

そんな中、4回程の連続操業で纏まった漁獲!

少しずつ移動しながらの操業で、夜半前に終わるような勢い…。

が、時間を追う毎に灯付きが悪くなった…

北側に調査航走…

各船も走り始めたよう…

調査・操業の間隔が長くなり、反応の割に網へのさんまの入りが悪くなった…

日付けが変わる頃、南からのうねりが大きくなった事から、

船首側から船尾側にFoをシフト。

3時、日暮れの勢いからは少し遅くなったが、満船となり、

荒天準備して南下。

夜明け頃に南風とうねりはだいぶ良くなったが、

その後南西からの風が強まり、一気に海面が白くなった…

斜め向かい風により船の速力はそがれましたが、

18日朝・女川入港予定!


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