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…漁師アトムの航跡… ~ある沖乗り漁師の綴記~

【7航海目】!

2019年09月26日 | モバイル
9月21日朝5時30分、台風を警戒しながら花咲出港。

1ヶ月程前に一時体調を崩し、その後回復していた漁撈長が、再度体調を崩した…



船内に不安感が漂う中、僚船と共に凪良く沖へ…。



22日・15時30分S/B。

久々に湖沼のような凪
鏡のような海面に漁り火が反射する…

日没から薄群れを操業

連続操業出来た若干纏まった群れもあったが、
本来の纏まった群れには程遠く
22時を過ぎた頃からは灯付きが悪くなった…

今期は、この灯付きが悪くなるのが著しく
船の周り、漁灯の明かりの下に群れなくなる…

一旦は、明かりに集まるもののすぐに暗い方に散っていく…

探照灯の照らす先の海面ではサンマが跳ねるので
船が近くなり、まるで大群操業時の激戦区のような様相で各船が薄群れのサンマを追う…

凪は良かったものの漁模様は良くはならず、夜明けより南東側へ…!

台風崩れの低気圧による時化の回避で各船が同コースで航走。

レーダーのモニターには東沖から南下中の大船団!
外国籍船団も強風域を回避する為
南側を調査のようだ…

23日・16時S/B。

冴えない空模様からの日没と共に漁り火が点り
外国籍船団の赤色が広範囲に広がった…

時化の回避で集まった各船が狭い低海水温域を調査。

いつものマイク越しの声がしない本船の甲板…

漁撈長の体調は相当悪いようである…。

夜明け近くに雨がパラつき、いよいよ台風崩れの低気圧による時化が近づきつつある…

夜明けから荒天準備し、南西へ…

次第に南からの風雨が強まり、時化海となった…!

暴風の域からは脱したものの、それでも南風に伴う高波(うねり)で
激しいローリングを繰り返しながらの航走…

25日朝、気仙沼向けとなったが、風が西に回り向かい風での帰途航となった。

26日朝まで強い西風が続いたが、やっと昼前に弱まり
午後には良い凪となった…

遠い漁場に加え悪天候と薄漁厳しい条件が続くが、
まずは漁撈長の体調が回復しない事には始まらない!

船は26日・21時30分頃に気仙沼入港予定。

【6航海目】!

2019年09月21日 | モバイル
花咲入港後、中型サンマ漁船(29t)の海難事故の報を聞いた!

公海からの帰途航走中は、時化海だった…

16日夜半から17日昼過ぎ頃までは、風・うねり共に強く
我々199tの大型船でも揺れに揺れた…

9月18日深夜に花咲入港
その時間帯にもかかわらず、バンカー船によるFo補給が行われている…

大時化により、花咲港に入港船が集中

我々は1時からローリーでの補給となった…

サンマ漁水揚げ指定港の中でも、
こんな時間に燃料補給できるのはここだけではないだろうか…
花咲港の給油業者は特別多忙な1日…!

聞けば、年に数回サンマ漁期間中にあるとの事…
漁船のわがままな都合に合わせてもらっているのだ!

朝6時、花咲出港。
凪良く沖へ!

19日、02時・S/B。
ロシアの領海ラインを越えた海区で
先を走る他船団の数隻が操業開始したとの情報…

僚船と共に付近を調査も、操業には至らず、夜明けより微速で東へ…

巡視船が見える…
…何とも云えない空気がある…。

現実に胸が張り裂けそうで、何も云えない…


19日、16時・S/B。
僚船と日没から調査も、サンマは見えない…

調査航走が続き、次第に南東からの風が白波を伴って吹きはじめた‥

反転 陸よりに…
22時過ぎから薄群れを数回操業。

日付けが変わり、20日…
解禁から1ヶ月となった。

あまり、漁に関しての心配はした事がなく、機関が無事であれば
漁は付いて来ると、ここ数年自己暗示していますが

この1ヶ月間、私が知る限りでは、過去に例がない程の不漁で推移…
操業海区もサンマの魚体も、悪かった一昨年よりも低調である。

…また大時化が近づいている…
夜明けより荒天準備し、西へ!

20日の昼前から風が西に回って吹き荒れ、一時支えながらの航走



前航海は、強い横風での帰途航走
今航海は、強い向かい風での帰途航…

低調な漁模様に時化が追い討ちをかける…!

「海よお前は…」

自然界の厳しさがここにはある…!



21日朝5時半頃の花咲入港予定。

【5航海目】!

2019年09月17日 | モバイル
9月11日、花咲港での水揚げ後に時化休みが決まった…!

乗組員各々は休みを利用し買い物
根室まで行っての個人仕込みや、他船の同郷仲間達と
中標津観光をしてきた若人もいて
漁期間中の旅の港での時化休みは貴重である…!

自身は、補機のFo・Lo関連のメンテナンス
冷水冷却・氷艙の保冷を終えてから機関室備品と消耗品のチェック
再整理後POPを作り直し、16時頃から早めの夕食
なんだかんだと忙しく朝昼夕一緒…

携帯電話のグループLINE、子供達のトークのやりとりを見る
みんながそれぞれ遠く離れた場所にいるんだけど、
LINE上でのトークは、すぐそこでやりとりしているように感じ、微笑ましい…

伊豆下田の仲間に台風15号の被害状況を聞くと、被害なし との事で一安心。

…12日9時・花咲出港。
台風の影響で、うねりが残る道東沿岸を微速で東へ…
北からの風も強く、各船スロー航走での公海向けである…

13日夕刻、依然として北風・うねり共に、おさまる気配なし…
S/Bせずにスローでの沖だし航海‥

14日朝、8時過ぎに僚船と共に漂泊。

なかなか凪ず、風もうねりも残る中
13時30分頃から漁撈長による水温調査開始‥

15時30分S/B。
日没から南東側に調査も、サンマは見えず、東へ…

23時頃、外国籍船団が操業中のポイントが近い‥
次第にサンマが見えはじめた。

漁灯の明かりに向かってサンマは跳ねて来るものの、
灯付きが悪く、すぐに見えなくなる…

僅かな漁獲で夜明けを迎え、漂泊…

レーダーのモニターには物凄い数の船映‥

15日・16時S/B。
青く澄んだ空にいわし雲が浮かび、
秋の気配を感じる公海の北緯42度‥

風が止み、若干のうねりが残るものの、良い凪となった!

日没前の水平線上360°にサンマ漁船の漁り火が点る…!
LEDが主流となった現在は漁り火の色もカラフルだ…。

日没後、外国籍船の漁り火はほぼ赤色に変わった!

薄群れを回数操業、時に同じ群れを追ってニアミス、並んでの操業となったりもする。

20時頃から、跳ねるサンマの勢いが変わり期待したが、
水面だけで、若干纏まった程度の群れだった…

やっと凪が良くなったのも束の間、すでに次の大時化予報があり
夜明けより荒天準備し、帰途航走。

16日夜半から南風が強まり減速、
時折来る大波で右に左に大きなローリングを繰り返す…

改めて船の復元力の凄さを知る程、揺れに揺れた…!

17日朝、一旦弱まった南風が、西風に変わって強まり、
雨も降りだして北からの冷たい風に…

この航海は行きも帰りも時化続き、
今後も公海での操業が続けば、こういう航海が多くなる…



船は18日に日付けが変わる頃、花咲入港予定。

【4航海目】!

2019年09月11日 | モバイル
9月5日朝5時30分・花咲入港!

時化海の操業で曲損、
うまく直らなかった船首側竹巻きボンブを陸揚げ修理

水揚げ、氷の積み込み、航海消費分の燃料油
約45klの補給を経て8時・花咲出港。

花咲からの漁場向けは、
ロシア領海内操業と
公海に向かう為の通過航走ではロシアへの連絡内容が異なり
公海へは200海里領海内を通らなければ、かなり遠回りのコースとなるので
公海向けの領海内通過連絡をする。

その為領海ラインを越えるまでは調査・操業は出来ない…

花咲を出港し、公海を目指す晩は、航海当直が主な仕事である。

風・うねりが共に強く、沖の漁模様が芳しくないとの情報…

6日・15時30分S/B、漁灯を拡げ日没から調査も、目指す海区には届かない…

南側の若干高めの海水温を調査、しかしサンマは見えない…

夜半過ぎから北東よりに調査、夜明けからは経済速力でポイントを目指した。

7日・16時S/B。
例によって外国籍船団多数の公海海区!







良い凪となり、日没から調査開始。

付近に日本のサンマ漁船は少なく、多くは外国籍船、
かなりニアミスする程 薄群れのサンマを各船が追う…

レーダーのモニターには10哩圏内だけで数十隻がひしめく公海銀座…

今期は、漁模様も漁体系もかなりシビアである…!

前航海とはサンマの魚体組成がが変わった…

サンマの回遊は進んできているようだが資源数はかなり低いレベルに感じる。

凪が良い事から漁模様を期待したが薄群れ操業と調査航走で
3時前、東の空が白んだ‥
さすがに沖の海区は夜明けが早い…。

夜明けより漂泊。
機関部はメンテナンス作業、
今期は特に時間を有効に使う必要があると考えている!

今のところ、かつてない低調な漁模様である為、
連日のように昼過ぎには氷艙と冷水の保冷が欠かせない。

8日・13時過ぎから漁撈長による水温調査、16時S/B。

日没後、サンマの反応が皆無となった…

外国籍船団が一斉に北東に航走を始めた!
外国籍船団は、何らかの情報に駆けたようで行動が早かった‥

僚船と共に外国籍船団と並走…
意外に速力もある‥
1000tクラスの外国籍船団が赤灯を灯したまま一斉に航走する様は圧巻だ!

操業・調査航走の合間に機関室内を見回るのだが、
減速機クラッチ油圧力の下降を確認…

直ぐに対策をとりたく、船橋の漁撈長に報告も我慢を強いられた…

夜明けまで様子見も、圧力は更に下降…

夜明けより帰途航となったが
準備は整えているので、船の航走停止を待つも
停まる気配がない為、再度船橋へ向かう…

警報が鳴り響いた…

減速機Lo温度上昇

航走ストップ、即 主機を停めて対策作業‥

対策交換作業に要した時間は約30分程…

急ぐ漁撈長の気持ちはわかるが、機関を預かる者の葛藤がそこにはある…

その後、圧力も温度も正常に復旧

操業した海区から花咲まで約700哩…
確かに遠い…

しかし、主機関は心臓部である。

解禁前から今期は一筋縄ではいかないような予感がなんとなくあったが
機関への一抹の不安は拭えない…。

その後の帰途航、10日に日付けが変わる頃から海水温が20℃を超え、
台風の影響で海上の外気温度も上がり
船内の湿度も上昇‥
空調のダクトの無い箇所は不快指数高めの空間…



機関室内は冷凍機停止中でも40℃超が続いた…!

10日夕刻頃から海水温が下がり、外気温度も下降
湿度も下がり過ごし易くなった。

船は11日朝6時頃、花咲入港予定!

【3航海目】!

2019年09月05日 | モバイル
8月30日朝6時、花咲入港。

手配していた機械部品はメーカーが直接持って来てくれ、
水揚げ・氷の積み込みの間に早速作業に入った!

帰途航走中、メーカー側に問い合せた際、ほぼそれで間違いないとの事だったが
私自身は他じゃないかと疑心暗鬼があった…

順調に交換作業を終え、8時・花咲出港!

作業後安心感より不安感の方が大きく、半ば祈るようにエンジンを視ていく…

出港から32時間、症状は現れない。
メーカーの云うとおりだった可能性が高いが、そうなる過程に疑問は残る…

31日・16時S/B。

漁灯を拡げ、調査しながら沖へ…

調査航走中、Lo清浄機のドレンパイプ2本が折損、新に作り直し対応できた…

サンマは見えず、調査航走のみで夜が明け
夜明け過ぎ頃に到着したポイントには
中型船数隻と大型船数隻がおり、このポイントを調査するようで漂泊。

9月1日・16時SB。
付近に僚船が確認できた‥

南風がやや強まり、うねりも高くなった…。

ポツポツと跳ねるサンマは見えるが群れは薄い…

薄群れを操業しながら南下、僅かな漁獲に終わり、夜明けより沖へ…

暦を1枚めくり、8月を終え、
恒例の機関室内にある全ての時計を合わせ、
燃料消費量の集計…

気仙沼出港から8月の2航海で補給量79.66klに対し
燃料消費量は103.92kl。
うち調査中消費量は13.6kl。

ちなみに昨年同期も8月は2航海、
補給量59.5klに対し97.45klの燃料消費量
調査中消費量が11.7klであり
特別漁場が遠いような気がしていたが
記録はイメージより大差なかった。

2日・16時SB。
外国籍船団多数のポイントである…

東よりの海区とあって、若干日没が早く、17時頃から調査開始。

サンマ漁以外にイカ釣りをしている船と、同海区操業中の外国籍船は大船団だ…!







日本製のLED漁灯の光をはるかにしのぐ、
かなり明るい光量を発している船もいる…

風向が西に変わって次第に弱まり、うねりも低くなった!

群れるサンマが目視できるようになってきた!

少しずつ群れが固まりつつあるようだ。

日付けが変わる頃に若干纏まった群れを操業…

期待感と共に自身に、とある演歌のイントロが流れ始めたが
まだ本格的な群れの漁獲とはならなかった…

夜明けと共に僚船と並んで西へ…。

3日夕刻から西風が強まり、漁灯を仕舞い、M/E rpmも下げ帰途航…

4日午後になって、西風が弱まり甲板上の不調箇所の対応‥
甲板排水ポンプ1台が不調、船首側竹巻きボンブが曲損、
船尾側キャブスタンの配管にクラック…

クラックは応急、排水ポンプは開放後、錆ゴミによる固着を取り除き復旧
竹巻きボンブは曲部が直らず陸揚げの用意…

新造2年目といえど、想定外作業がついてまわる。

日没後 良い凪となったが、すぐ次の時化が近づいているらしい…

船は、5日朝6時頃の花咲入港予定‥!