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…漁師アトムの航跡… ~ある沖乗り漁師の綴記~

【サンマ漁・20 航海目】!

2013年10月30日 | モバイル
女川入港、接岸時、家族の不幸で休んでいた甲板長が乗船。

…水揚げ・氷の積み込み後、12時 女川出港!

漁灯を拡げ、甲板の準備も整えながら凪良く漁場向け。

15時30分頃、前夜の操業ポイント到着、多くの船が漂泊中…

前夜吹き荒れた季節風が嘘のように、最高の凪となった…!

凪も良く、船も集まったことで、調査範囲は広がった。

日暮れと共に各船操業開始!

本船は、各船の船団から北側に調査航走、

18時・操業開始。

纏まった群れを数回連続操業して、更に北側へ…!

順調に漁獲を伸ばしていったが、21時を過ぎた頃から

灯付きが悪くなり、群れも薄くなった…

3時間程、薄群れを回数操業でしのぎ、

若干灯付きが良くなってきた頃から、南北へ調査航走。

海水温の変化に併せ東西にと、調査範囲を広げ

纏まった群れを1回操業しては調査航走のパターンで

漁獲を伸ばしていった!

夜明けが近くなった4時半頃の操業時点で、

「水揚げには行かない」と云う漁撈長の声がスピーカー越しに…。

入魚魚艙1つと半分を残し、夜が明けた…

船団から離れて漂泊、凪良く洋上ホテル(沖泊まり)。

洋上ホテルは、前日の日帰り航海で眼を赤くしていたみんなが

疲れをとるための爆睡時間となった…。

自分も当然、沖泊まりを予想していたので、操業と調査航走の合間、

2時過ぎから各凍結室を冷却、夜明けに合わせた。

…爆睡後、15時・主機始動!

16時・氷艙の氷を全て揚げて入魚準備。

水平線に落ちていく真っ赤な夕陽が足早に隠れた…

16時30分・日没。

付近にサンマが見えず、北側に調査航走…!

19時過ぎに薄群れを1回操業…

1魚艙と半分だけなので、すぐに終わると思っていましたが、

サンマが見えない…

21時過ぎにも1回操業、薄群れ…。

一気に漁模様が下降したよう…!

更に広範囲に調査航走を余儀なく…

三陸各港には、29日に水揚げ出来なかった船がいるらしく、

23時、漁灯を仕舞い帰途航走 女川向け。

30日・3時、入港予定!


【サンマ漁・19 航海目】!

2013年10月28日 | モバイル

新造船として船が稼働し、漁が始まり、連日記入の「機関日誌」

新米機関士として初の、1冊目の機関日誌が最終ページ…

24日・記入を終えた…!

感慨深いものがあり、あらためて読み返した…。

25日からは新しく、2冊目の機関日誌…。

25日   水揚げ・氷の積み込み後、11時30分、女川出港  気仙沼廻航

台風避難である!

シーズン真っ只中のカツオ一本釣り漁船とサンマ漁船が

気仙沼魚市場岸壁に数隻単位で並んで接岸、台風一過を待つ…。

27日・朝6時の集合と予定時間が組まれた…

各氷艙・凍結室・冷水艙の冷却を終えて、久しぶりの帰路。

そろそろ、操業用の衣類も夏用から冬用に替えねば…

冷たい雨が強く降りしきる南三陸路、冠水している道も多い…

まだまだ国道の復旧は遠い…

震災から2年7ケ月を数えるが…

19時・帰宅。

久々に見る末っ子は、また背が伸びたようだ…。

一緒にお風呂に入り、小学校の話やスポーツ少年団の話を聞く…

26日は生活発表会との事で観に行けると思った…。

入浴後、高校生の長男が部活動を終えて帰宅…

近況を聞いて、部屋へ。

自室のカレンダーはまだ8月…

サンマ漁準備期間中の予定が書いてある…

8月15日にはに気仙沼出港の走り書き…

あれから70日が過ぎ、漁の真っ只中である…!

タブレットを開き、2~3確認してから自分のベッドへ。

船と違い、揺れない寝台である…!

爆睡……。。。

しかし、船とは違った揺れで目が覚めた…

長い横揺れ…!

地震である!

直後には津波注意報…。

船に向かわなければ…

だが今は国道の海抜の低い、過去の津波浸水地点は閉鎖される…

テレビを点ける、停電にはなっていない…

ほどなく、津波注意報は解除された。

しかし、落ち着かない!

夜が明けてから船に向かった…。

…久々の休みも、地震・津波注意報により…

末っ子の生活発表会も観れず…

でも、これはやむを得ない…!

漁師であり、漁の期間中なのである!!

機関室内の魚艙温度計が休みモードから漁期間モードに引き戻す!

停泊中の湾内、高めの海水温が氷艙・凍結室の温度を上げる…

昼過ぎから夕方まで冷却…。

北海道・岩手県から乗船中で休みでも帰宅がままならない仲間達と

夕食、(休みモードで…)日本シリーズのテレビ観戦。

どうか、東北に優勝旗を!

楽天イーグルスには頑張ってもらいたいものですが…

残念ながら1試合目は敗戦…

試合終了後、機関室点検を経て寝台へ。

…27日・朝4時起床、機関室で出港準備!

5時・主機始動。

6時頃から根室船団数隻が出港して行った。

多くの漁船が台風避難で接岸中の気仙沼港、

湾内に打った錨が交差する事もある…!

先に錨を揚げ始めたカツオ船が動きを止め、船首側に人が集まる…

どうやら、本船の錨と交差しているよう、

我々が錨を巻き揚げ、交差を外し、お互いが後進…

7時・気仙沼出港、微速で沖出し。

気仙沼大島通過、比較的良い凪も次第に季節風が強まった!

東ほど、風は強い…。

先に出港した各船は、沖合いのポイントに向けて航走…

強い季節風が吹き荒れる予報で、出港を見合わせた船も多い…。

昼過ぎに漂泊、台風一過後の最新水温図で、

新たに低水温域が出来つつある海区を僚船3隻で調査するよう…

ダメなら沖合いへ向かう算段のよう…

時期的には回遊していて、浮いてもよさそうな海区でもある…

16時・S/B。

季節風(北西の風)は更に強まった!

ライトの探照先、季節風による白波と共にサンマが跳ねる…

やはり、サンマは回遊してきている!

19時過ぎから薄群れを操業開始。

魚体組成は良いが、群れが纏まらない…

薄群れを数回操業し、潮境を調査。

まだ範囲は狭いが、風が止み、凪れば群れが纏まりそう。

日付けが変わる頃から、風が弱まった…

少しずつ範囲を広げながら調査航走、群れは纏まってきた感じがする!

北西側、水温が少し高くなったポイントで纏まった群れを操業。

若干纏まった漁獲となったが、東の空が明るみ、夜明けを迎えた…

5時30分、操業を止めて帰途航走!

僚船3隻が、大船渡・気仙沼・女川と分かれての帰航。

本船は  10時頃、女川入港予定。


【サンマ漁・18 航海目】!

2013年10月24日 | モバイル
10月21日・女川港での水揚げ後、気仙沼廻航、時化休み。

数日前から不調だった補機の燃料ポンプを交換…

まだ運転時間が2000時間にも充たないのですが…

…22日・朝6時、気仙沼出港。

まだまだうねりが残る海上を Co80゜前航海と同じポイント向け!

次第に北東の風が強くなり、船は激しいピッチング(縦揺れ)…

船首にある甲板長倉庫内が心配になる…

19時・S/B。

漁灯を拡げた後、甲板長倉庫内の海水循環ポンプを起動、

冷水の揚がりが悪い…

冷水系統の配管内から冷水が冷水艙内に戻った為。

操業開始後、網の中のサンマをフィッシュポンプで揚げる際、

真空ポンプが起動せず…

甲板長倉庫内の分電盤のマグネットスイッチが振動で切れていた為。

これらは想定内…!

時化の中の操業は、各漁撈機械にも、かなりの負荷がかかる!

操業開始から数回後、船首側サイドスラスターの油圧油が

甲板長倉庫内に漏れ出した…!

漏れている場所を探した結果、場所的に作業しにくい箇所…

意外とそういう箇所がトラブる…。

配管フランジ部のボルトが緩み、そこからの漏れ…

急いで増締めしたのですが、漏れは止まらず…!

これは想定外…!

中の「Oリング」を疑った…。

どうも、船首側が鬼門である!

操業中の為、配管を外して作業する訳にはいかず、

今回で2度目、 昔ながらの「押し竹」式で操業を続けた。

とにかく、できるかぎり、操業を止めたくはない!!

夜明けと共に、漏れを止める作業開始!

配管を外してみると、やはりOリングが破損していた。

予備のOリングに交換して、配管を組みなおし、

サイドスラスター起動、無事に漏れは止まった…。

やれやれである!

23日・16時・S/B。

まだうねりも風も残るものの、海は昨夜よりはいいようだ…

時化のせいもあるが、サンマの群れは薄く、魚体組成も変わってきた。

回数操業となったが、月が登った22時頃から2時間程、

サンマの群れがかたまり、纏まった漁獲があったが、

おぼろ月に見えるようになってからは、また群れが薄くなった…

その頃からうねりも風もおさまり、凪てきた。

回数操業で漁獲を伸ばし、4時、操業終わり!

帰途航走 女川向け。

追い風で凪良く帰航、15時から時化の操業で傷んだ網の補修作業…

17時、女川入港!


【サンマ漁・17 航海目】!

2013年10月20日 | モバイル
19日・09時15分、女川出港 Co75゜

離岸後、漁灯を拡げ、甲板の準備を大方整え

凪良く沖出しも、空模様が悪い…

また時化か…?

思いながら冷水冷却…。

…23時・S/B。

甲板の準備はほぼ整っている、ライト当直者は、急いでライト台に…

入魚魚艙と氷艙の用意後、付近を見回すと、数隻の漁り火…

日暮れ頃から、各船大群操業・漁模様が良かったらしい…。

日付けが替わる寸前、群れに遭遇!

早速 大群操業…!

数回の操業で漁獲を纏め、夜明け前までには終わる勢い…!

だいぶ大群操業時の連係が繋がってきた。

サンマ漁・盛漁期 特有の、この雰囲気が大好きである!

以前同じ船で同じように気の合う仲間達と連係した…

また今年も同じく連係が繋がるようになった…

声を掛け合い、簡単な合図で意志疎通。

サンマ漁で働くには最高の船を船主さんに用意して頂いた!

「大群操業」とにかく、全ての作業をスピーディーに!

みんな必死に頑張る…!

時間の経過も速い…!

しかし、最後の氷艙が漁獲に間に合わなかった…

あっという間に夜明けとなった…。

最後の氷艙を空けて、入魚、艙を一杯にするには

網の中のサンマが足りなかった…

あと30分あれば…

急がなければならないのは、こういう事も含め、

いろいろあります!

残念ながら若干足りず、揚げた氷の後始末の最中、

東南東の風が吹き始め、それに伴いうねりも高くなった。

漁灯を仕舞い、荒天準備。

帰途航走 女川向け!

右舷やや後方からの追い風での帰途航…

船にとって、時化の追い風は怖い…

当直中は出入口の鉄扉「閉」を確認!

夕刻、風が東に回り、更にうねりが高くなり、

激しいローリング(横揺れ)…。

寝台で横になっているのも大変で、椅子に座りノートPCにまとめもの…

19時30分、入港準備は横殴りの雨…

今期は本当に雨・時化が多い…!

20時・女川入港。


【サンマ漁・16 航海目】!

2013年10月18日 | モバイル
台風26号を警戒しつつの帰途航海は、女川向けでしたが、

三陸沿岸を南下帰途航走中、大時化となった為予定変更…

16日・朝5時 気仙沼入港となった。

前日水揚げし、台風避難中だった僚船の友達が訪船、

久しぶりに顔を合わせた。

雨の中の水揚げは、時々突風が吹きつける悪天候…!

風雨は昼過ぎには弱まり、足早に三陸沖を進んだ台風、

台風一過は、寒さを感じる程めっきり涼しくなった…

氷の積み込み後、時化休み。

海はまだまだ荒れている…!

氷艙の冷却を操機長にお願いし、かかりつけの病院へ、

診察・投薬後、船に戻ってからは冷水冷却…ets.

時化休みといえど、作業は目白押し…!

…17日・朝6時、気仙沼出港 Co80゜

今期の南下サンマ第一陣が漁獲された海区付近向け。

16時・S/B。

19時頃から操業開始!

僚船と2隻、大群とまではいかないが、

纏まった群れを連続操業で漁獲を伸ばしていった。

しかし、月が沈んでからは灯付きが悪くなった…

北からライトの灯りが見え始め、ほどなく5隻程の漁り火…

うねりが残っていた海上も時間の経過と共に良い凪になった。

朝方、若干纏まった漁獲があったが入魚魚艙1つを残し、

夜が明けてしまった…

東の水平線に真っ赤な朝焼けが見える。

漁灯を仕舞い、帰途航走 女川向け!

久しぶりに凪良く帰航中

18日・21時30分入港予定。