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…漁師アトムの航跡… ~ある沖乗り漁師の綴記~

【秋刀魚漁・32 航海目】!

2012年11月30日 | モバイル
…11月27日・この冬の初雪は大船渡で…!

11月26日・18時20分・大船渡入港、吉田造船所から担当者が訪船。

箇所を確認、27日早朝より作業を行う事に…!

早朝より機関室作業。

今回、緩みがあった排気伸縮管の更にその上の伸縮管も確認、

ステンレス製のカバー・石綿マットを外してみると、今度は亀裂が見つかった!

その亀裂のある伸縮管は漁を切り揚げてから交換作業する事になった!

担当者は大丈夫と云うが…

これで切り揚げまで機関の不安を抱えながら過ごす事になった…!

緩みのあった伸縮菅は、ボルトを全て交換、締め付け直し。

造船所の担当者曰く、

「普通はゆるむことが無い筈だが熱に弱いボルトを使っていた」らしい…

大震災後の混乱の中、急ピッチで進められた進水までの作業が影響している…?

機関室作業を終えて、水揚げ。

北西の風が強く、時折突風が吹きつける寒い大船渡魚市場の朝…

麓の山から吹き下ろす風に乗って、ついに冬将軍の到来、初雪は吹雪いた…!

水揚げ途中には麓の山も、うっすらと雪化粧…。

11月も下旬、福島・いわき船団と北海道・根室船団の数隻が

今期の秋刀魚漁を切り揚げたとの事です…!

13時、水揚げ・氷の積み込み後、風が強く28日朝3時に出港する事に…

残っていた作業と冷水の冷却を夕方まで行い、早めに寝台に入った…。

…28日朝3時10分・大船渡出港南下!

15時・S/B。

スタンバイと同時に降りだした、どしゃ降り雨…

18時頃から操業開始、纏まった漁獲を2回、雨雲は南風と共に北へ、

船は調査しながら南下、1回操業・航走と南にサンマを追った。

20時過ぎに雨がやみ、西風に変わった頃からサンマの灯付きが悪くなった…。

漁灯の明かりに反応しサンマは跳ねるのだが、船の周りに集まらない…

薄群れを回数操業となった…。

日付けが変わった頃から北西側に調査航走…

サンマの割合も悪くなってきた、南下回遊は活発のよう…!

東の空に明けの明星(金星)が輝きだした頃、船首側甲板に位置する網が

破損して揚がってきた…

応急に編み、操業再開。

夜が明けて操業終わり後、網の入れ換え作業!

7時・鹿島の北沖で漂泊。

29日・16時S/B。

17時30分・凪良く操業開始!

若干纏まった漁獲を2回、その後南東側へ全速力で航走!

付近各船一斉に同一方向へ!

1時間程移動すると僚船を含め数隻が操業中、纏まった漁獲があったようだが、

ポイント着・「お祭り終わり!」のパターンをモロに…

付近にサンマの反応もなく、漁灯の明かりに跳ねるサンマもいない…!

次第にうねりが高くなってきた…

調査範囲を拡げながら僚船の操業ポイントから北東側へ…!

21時頃に操業再開もうねりを伴った東風が強くなった…

22時・薄群れを2回の操業後、鹿島沖から、ライトを固定して北上。

サンマも見えなくなり、時化模様になった…

日付けが変わり、1時・北茨城沖で操業再開。

風が若干おさまり、割合は悪いがサンマは広く跳ねる、しかし網に入らない…!

風が東から北東に変わり、凪てきた。

ライトの担照先からも跳ねて来て、漁灯の明かりの下に一旦は集まり、

一時的に船の周りを群れて游ぐが揚網すると入っていない…

南下回遊を急ぐのか、足が速く、網を揚げる隙をついて逃げる…!

夜明けまで数回操業するも、僅かな漁獲に終わった…。

夜明けより微速で北上。

30日・15時S/B、西風強く漁灯を仕舞い大船渡向け!

17時過ぎに入港予定。


【秋刀魚漁・31 航海目】!

2012年11月26日 | モバイル
24日・14時20分、漁灯を出して大船渡出港南下!

南三陸の山並みに沈む夕日…

日没は随分早くなった…!

17時過ぎ、金華山沿岸でサンマ漁船2隻の漁り火。

金華山灯台から15哩程で僚船2隻が操業中でした!

18時・漁灯点灯。

船の漁灯の照射範囲内一面に跳ねるサンマ…

しかし、目視するかぎりではジャミ…。

無数の海鳥がついばむサンマも小さい、オールジャミサンマ…!

S/Bのベルは鳴らず、調査しながら南下!

数哩先に灯が見えたが、小型船4隻に大型船1隻が調査しながら北上中でした。

冷却し終えた冷水艙を次に冷却する冷水艙に切り替えて、

機関室に戻ると主機のタービン付近下側のプレートにボルトが落ちていた…?

探しに探し、箇所を特定するまで時間を要した!

メインエンジンから煙突に至る排気管は高温になる為、石綿のマットが巻かれ、

更にその上にはステンレス製のカバーで排気管と伸縮管ごとに覆われています。

伸縮管のカバー下部に僅かな隙間(ボルト1個分位)があり、

熱に耐えながらハンディライトを照らしながら覗くと、ボルト穴があった…

ふつうは、滅多にゆるむことがない箇所だけに確認不足、見落していました…

カバーを外そうとビスを緩ましましたが熱く、耐熱手袋をはめての作業…

ビスが小さく、うまくいかない…

操機長と相談し、漁労長に報告。

夜明けを待って、エンジンを停止してからカバー、石綿マットを外し、

熱が冷めてから作業する事に…

…強い北風とうねりを後方からの追い風で受けながら船は尚調査しながら南下!

日付けが変わり、2時・S/B

各船が操業中のポイントまで、約20哩程、銚子の東沖。

僚船によると、漁模様は日没後一時的に良かったが、

その後は風とうねりで時化ぎみのためか低調に推移しているらしい…

5時を過ぎた夜明け前に1回操業・凍結箱詰めで夜明けをむかえ、

鹿島沿岸まで航走、漂泊後、エンジンを停止・機関室作業!

排気管のカバーを外すと、ボコ部の隙間に外れたボルトとナットがあった…

ボルト2本とナット3個…

石綿マットを外すと、12本のボルトで締められている場所にボルト穴が6個…

残っていたボルト・ナットも全てゆるんでいた…

操業中とか調査航走中にゆるんで外れたナットは僅かな隙間から脱落、

プレートの下に落ちてしまったと考えられる…

予備のボルト・ナットも無い…

熱が冷めた午後になって、取り敢えずボルト・ナットがある3箇所と

ゆるんでいたボルト・ナットを増締めして、機関長に電話で報告。

漁労長とも相談し、大船渡に戻ってから本格的に作業する事に!

25日・16時S/B。

昨夜とは一転、良い凪となって、日暮れ後、17時過ぎから操業開始!

21時頃まで纏まった群れを操業し、漁獲を伸ばしていたが、

22時頃からは灯付きが悪くなり、南東側へ調査…。

薄群れを回数操業、日付けが変わり2時頃から南東の風が吹きはじめ、

4時頃からは雨が降りだした…

夜明け前にやや纏まった漁獲があり、夜が明けてから漁灯を仕舞い

北上、帰途航走 大船渡向け!

南風にうねりも高いが、沖出しも帰航も追い風での航海、

横からの風・うねりで大きなローリングでの航走と違い割と楽である…

船は、26日・18時30分頃の入港予定。


【秋刀魚漁・30 航海目】!

2012年11月23日 | モバイル
南の漁場は魚体組成(割合)が良く、漁模様も良くなり、

三陸沿岸沿いから陸中沿岸沿いの漁場は、ほぼジャミ(小)サンマになり、

操業船は僅かとの事です…。

南三陸沿岸の山並みの紅葉も落葉が進み、寒さも冬も確実に一歩一歩近付いて…

そんな季節感を感じながら、20日・14時に大船渡出港後、強い西風の中南下!

17時・金華山灯台が右舷真横。

金華山通過後、風が北西に変わり更に強まった…!

21日・1時S/B 。

前航海の操業ポイントより各船、沖よりにでている…

北に変わって若干風が弱まった2時過ぎ頃から操業開始!

サンマの割合が悪くなり、灯付きも悪く、数回の操業で僅かの漁獲に終わり

夜明けから風上に1時間程の潮昇せ後、漂泊

21日・16時S/B、久々に無風で最高の凪。

日暮れから船の周りを游ぐサンマが見えている…

日没を待って操業開始も、サンマの入りが悪い…

沖よりに調査・操業後、更に沖へ 。

サンマは薄く広くいるようだが灯付きが悪い

各船の漁り火は、調査航走中や操業中でも疎らである…。

操業ポイントの南西側には巻き網船団の灯(航海灯・操業灯)が確認出来る。

22時頃、薄かった群れがかたまり、灯付きも良くなった!

纏まった漁獲を数回、割合の良いサンマを連続操業で漁獲を伸ばしていたが、

フィッシュポンプ(サンマを汲み揚げる漁労機械)

のホースが詰まってしまった…

油圧の出力が一時的に低下、過負荷? により、

電磁弁のリミットスイッチが働いたよう…。

漁模様が好転している時のトラブルにてんてこ舞い…

少し時間を要したが、無事再操業にこぎつけた、しかし…

いつの間にか船が集まり、くの字形の潮境に沿って数隻が至近距離で操業中…!

日付けが変わった頃から南風が吹き始め、

と同時にサンマの灯付きが悪くなった…

漁模様が好転している時に獲らないと…

の典型的なパターン…。

4時過ぎからは雨が降りだした…。

その後夜明けまで回数操業も漁獲を伸ばす事は出来なかった…

夜明けから漂泊…

22日・16時S/B。

風は弱く、若干 下(波)があるものの凪は良い。

17時過ぎから操業開始!

サンマの割合の良い、纏まった漁獲を2回、

早い時間に終わりそうな勢いでしたが、

その後はサンマが見えなくなり、薄群れを回数操業…

船の周りに集まったサンマを追って、青く魚体を光らせてシイラの群れが游ぐ。

さらには、ヨシキリザメもハンティング、風がなく澄んだ水色で、

船から見下ろす天然の水族館…!

凪良く海面に反射するサンマ漁の漁り火…!

飛躍的に普及したLED漁灯の光は各メーカーによって色が異なり、

以前までのサンマ漁では想像もつかないような色彩で

夏祭りのみこしを載せた船のように賑やかに見える。

せっかくの凪が勿体ない程、漁は低調のまま夜明けまで…

1魚艙と半分を残し、漁灯を仕舞い北上。

23日・19時、大船渡入港!


【秋刀魚漁・29 航海目】!

2012年11月19日 | モバイル
16日・12時45分、大船渡出港 三陸沿岸から南三陸沿岸沿いを南下。

右舷には、故郷・南三陸の色ずいた山並みが見える…!

秋色の金華山、常磐の山並みに沈む夕焼けも右舷に見ながら凪良く日立沖向け。

20時・S/B。

スタンバイ後、すぐに操業開始!

漁灯の下に跳ねてくる勢いの割には網にサンマが入らない…

魚体組成は良いのだが…。

1回操業・南下しながら調査航走のパターンを数回繰り返しながら日立沖へ。

付近には他船3隻程、スピーディな操業で足の早いサンマを追うも、

2時過ぎから南西の風がうねりを伴い強まった…!

僅かの漁獲に終わり、向かい風を微速で南下、鹿島沖で9時・漂泊。

17日・15時S/B。

雨に風、うねりが強まり、時化となった為、漁灯を仕舞い南下、銚子向け!

16時・銚子入港、時化休み。

18日・10時30分・銚子出港、北上。 北北西の風がやや強い…!

12時15分・鹿島の北沖で漂泊。

16時・S/B。

北東側に調査して行き、20時操業開始!

壺サンマを連続操業し、纏まった漁獲…。

その後、更に北東側に調査して行くも纏まった群れには当たらず…

北西側へ調査、薄群れを操業しては航走 のパターンで日付けが変わった…

日付けが変わった頃から風が冷たくなり、

この時期はまだ比較的温かいはずの南の海区でも夜明け前は寒い…!

朝4時頃に再度壺サンマにあたり、夜明けまで操業。

割と魚体組成の良いサンマを魚艙1つ残しての漁獲…。

漁灯を仕舞い、北上帰途航走大船渡向け!

19日・19時頃の入港予定。


【秋刀魚漁・28 航海目】!

2012年11月16日 | モバイル

14日・6時、大船渡入港も水揚げ船が多く、市場には接岸できず

氷積み込み岸壁で水揚げ順番待ち…

9時45分S/B。

見本を揚げ、入札を終えるまで暫しの待機、11時から水揚げ開始。

途中水揚げ場所を変える為に船をシフト…

大潮に満潮の時間が重なり、市場は水浸し…

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震災による地盤沈下の影響で、まるで津波のようである!

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かさ上げした岸壁にシフトして水揚げ再開…。

水揚げ・氷の積み込み後、17時・大船渡出港!

綾里崎通過後から漁灯・ライト点灯、調査しながら凪良く北上!

小型船数隻が操業中の釜石沿岸沿いで操業開始。

サンマが深く、なかなか浮いてこず、時間をかけながらの操業…

操業時のポジションも機関長が操作していた位置となり、

ライトは代りの方にやってもらっているので魚探のモニターは覗けませんが、

壺サンマのようで、そこで数回操業。

若干纏まった漁獲…!

その後、付近調査もサンマは見えず北へ…

僚船が操業中のトドケ崎南の沿岸沿いまで調査航走。

僚船と共に操業し、夜明け前に纏まった漁獲があった…

夜明けより北西に1時間程航走し、漂泊。

15日・16時S/B、前夜とはうってかわり、北風が強い…!

17時操業開始、操業が始まってからは雨が降りだした…

漁模様も悪くなって、薄群れを回数操業…!

22時過ぎからはどしゃ降り雨となった!

強い北風に冷たい雨で寒い…!

日付けが変わり、2時頃から調査しながら南下…

僅かの漁獲に終わり、16日朝4時・大船渡入港!

11月も中旬・秋刀魚漁は、いよいよ終盤戦突入です…。