オーディオ再開!レコードで音楽を楽しもう

オーディオ、シアター、ゴルフ、etcみんな中途半端な趣味だった、もう一度このブログと共にオーディオを再開!

ホーンスピーカーを鳴らすコツ①タイムアライメントを揃える

2024年07月11日 22時09分39秒 | オーディオ

スピーカーの歴史は拡声器から始まり

 

やがて様々な音楽に対応できるよう各帯域毎にユニットを分割する

マルチユニット・スピーカーシステムへと発展してきました

 

 

拡声器と云われるPAスピーカーは、WEでは

「ワイドレンジ・サウンドシステム」が最後

 

これはトーキー映画用に作られたスピーカーシステムで

 

セリフの声を、いかにきれいに美的に、見力的に拡声する目的で作られたスピーカーです

 

 

声だけを拡声するスピーカーの時代は、声の「音色」が重要で

 

スピーカーシステムとしてのバランスはあまり求められていませんでした

 

 

現代でもボーカルしか聴かない人

またはボーカル専用システムとして

WE15A等を使ったワイドレンジシリーズは魅力的な声を奏でると思っています

 

 

勿論WE15Aだけ単発で使うなら

 

ズレは起きませんので再生可能な帯域の音楽は問題なく楽しめると思います

 

 

拡声器として高音質スピーカーの集大成は

 

「フレッチャーシステム」だったと思っています

20インチの金属振動板の低域ユニットも

 

後に孤高の最高傑作と称されるWE594Aの原型の高域ユニットも

 

共に最高の音質を誇るユニットだったと聞いています、写真でも見るからにそれが伺えます

その高音質は「声だけ」だったようで

 

 

タップダンスの音楽をかけると

エコーが掛かりダンサーのタップが二重に聴こえてしまい

 

当時の劇場用スピーカーとして使われることはなかったそうです

 

これが拡声器として「人の声を」美的に拡声したPAの終焉だったと思います。

 

 

 

 

やがて

拡声器からスピーカーシステムヘ

 

拡声器を終焉を迎えさせたのは、映画会社のMGM社の「シャラーホ―ン・システム」でした

 

MGM社は当時最高の音質のフレッチャー・システムを注文していましたが

WEから納品されなかったため

 

 

音響担当のシャラ―氏を中心に自社で開発されたのがシャラーホンシステムでした

その基本的な設計思想は

  • 人の声が分断されない250Hzクロスで、広帯域の2ウエイシステム
  • 電気音響変換効率は50%を望む(高能率で、現代の能率の低いユニットは10%に満たないと言われている)
  • 音像の位置がスクリーン中央になるように配置する(音像定位)

等々を基に設計が行われたとの事

 

 

 

このスピーカーで初めて音像定位が定義されるようになったわけです

ユニット制作を担当したランシングらはまず

 

最高の音質なのに「製品にならなかった」フレッチャーシステムの研究を行ったようです

 

上下のユニット単体でタップダンスのレコードをかけてもエコーが掛からないのに

システムとして音を出すとエコーが掛かることから、低域と高域のホーンの長さのズレが引き起こす

 

タイムアライメントがその原因と究明しました

 

フレッチャーシステムでは上下ユニットのロードの長さの違いが36インチあり、

これが原因で

音の到達時間差が8mm/S出てしまい、タップが二重に聴こえた原因でした

 

これを解消するために様々な試聴の結果

この時間差は聴感の検知限界の1mm/s以内に収め(0.04秒)誤差4.5インチ以内に設置しないと

 

スピーカーシステムとしては致命的な欠陥となる、

音ずれが生じたエコーサウンドを奏でることになることを突き止め

 

物理的にユニットの振動板の位置を合わせて、タイムアライメントを解消した


音に滲みのない、セリフも、楽器もクリアーに奏でたそうで
 

このスピーカーが当時の映画音響アカデミー賞を受賞し

絶対的王者WEを破り、最高の栄誉を受賞したそうです

翌年WEもその地位を奪還すべく、

 

 

同じくタイムアライメントを揃え

鏡のように音を写す「ミラフォニック・サウンドシステム」でMGMに対抗した

 

この「ミラフォニック」以降は、

 

タイムアライメントを揃えるためにカールホーンは使わてなくなりましたので

 

 

やはり現代マルチユニットスピーカーの元祖は

シャラーホーンやミラフォニックシステムだと思います

 

もちろんいまは物理的にタイムアライメントを揃えなくても

デジタルちゃんデバで揃えられるが、私はネットワークに拘るので

 

物理的に合わせるのがホーンスピーカーを使う上で最も大切と考えています