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80年代Cafe

80年代を中心に、70年代後半~90年代位の懐かしいもの置いてます。
あなたにとって80年代はどんな時代でしたか。

FL フリスキートム (FL FRISKY TOM) ・バンダイ

2009-02-08 13:35:05 | 電子ゲーム


 FLフリスキートム(FL FRISKY TOM)は、バンダイより1981年に発売されたFL(蛍光表示管)ゲーム。


 これは日本物産のフリスキートム(81)が原作で、こちらは珍しいことにアーケード版と同時開発されたもののようです。おそらく原作とも共通するフリスキートムのイメージイラスト。


 バンダイのFLゲームは、一時期共通の筐体やフォーマットで展開されており、FLパックリモンスター、FLアタックモグラ、FLチェンジマンなどと同時期に発売されていました。


 銀色のスリムボディはシリーズ共通で、バンダイ製のFLゲーム機はこれ以後も、(例外はありますが)筐体に共通のクールなイメージを持っています。1980年以前には、バンダイは『ミサイルベーダー』等のLED機を発売しており、(インベーダーブームも相まって)大ヒットをとばしていました。しかし、まだこの頃のFL機はかなり高価で、なかなか手の届かない存在でした。この辺りのシリーズから、FL機が一般的となっていったように思います。当時、学校に友達がFLパックリモンスターを持ち込んでいて、そうとうやり込んだ思い出が残っています。


 ゲームは、左上のタンクよりパイプにお湯が流れていきます。途中ねずみがパイプを外して妨害をしてくるので、トム君を操作して外れたバイプを繋ぎ、右下のバスタブにお湯を一定量溜めるとクリアとなります。(外れたパイプを持っている時には攻撃ができる)。トム君はパイプの上にいるのではなく、パイプにつかまって移動してますので、ねずみのいるパイプに一定時間つかまっていた場合、パイプのない場所に移動した場合にミスになります。ねずみが爆弾に火をつけ一定時間放置した時、バスタブに湯が溜まってない時にはゲームオーバーとなります。基本的にアーケード版と同ルールですが、アーケード版ではねずみに色分け(性格付け)がされており、パイプの経路も複雑になっていました。そのため操作が複雑(煩雑)すぎて、爽快感に欠ける(ちょっと難しい)ゲームになっていました。FL版は(蛍光表示管の制約上)それらを簡素化した形になっていて、制約が逆に功を奏したのか名作として扱われることが多いようです。同シリーズのパックリモンスターと同じように、2面クリア毎にねずみに追いつ追われつのデモが流れ、ゲームのイメージに合った軽快なBGMとともに、全体としてのまとまりや完成度の高い作品になっています。


 電源をいれるとデモが始まり、スタートボタンを押すと、左上のタンクからバスタブまでパイプが引かれる演出があります。その後パイプに水が流れはじめ、ねずみやトム君が登場します。この冒頭の演出が凝っていて、非常にかっこいいです。FLゲームは、キャラの重ねあわせができない特性上、1マス内にキャラが重ならないように配置する必要があって、どうしてもキャラデザインは犠牲になってしまう傾向があります。これはパイプを挟んで上ねずみ、下トム君という配置で、あまり無理がなかったようで、トム君もねずみもコマ毎にポーズが変わっていて、とても(コミカルで)表情豊かなものになっています。この当時、盛んに再放送していた“トム&ジェリー”を、どことなく連想させます。


 オリジナルのフリスキートムは81年に発表されていますが、日本物産では前年の80年にムーンクレスタ、クレージークライマーという2大傑作を発表しており、この頃が第一黄金期だったのかもしれませんね。95年にSFCで『ニチブツアーケードクラシックス』というリバイバル版が発売されていますが、これにはこの3作品が収録されています。


 このゲーム、なぜか電子ゲーム版は非常に有名で、各電子ゲーム専門サイトでことごとくレビューされています(しかも高評価)。ということで、(電子ゲームとしては)今更感も漂うネタなのですが、ここは懐かしもの全般を扱うブログですから、どうしてもやりたかったのですね。このゲームの魅力は、BGMも含めた動画でないと伝わりにくいかと思います。こちらでもこのゲームが紹介されています。GAME&WATCH ゲームウォッチ カンストへの道

参考:帰ってきた電子ゲーム、電子ゲームの世界、ゲームウォッチ カンストへの道、レトロゲーム紀行

キン肉マン・キン肉星王位争奪編~炸裂!マッスルパワー(ポケットクラブミニ)・バンダイ

2009-01-01 21:42:17 | 電子ゲーム


 『キン肉マン・キン肉星王位争奪編~炸裂!マッスルパワー』は、バンダイより1991年にポケットクラブの1つとして発売されたLCDゲームです。ポケットクラブは、電子ゲームブームも終わった90年代頃に、バンダイが発売していたLCDゲームのシリーズ名です。ポケットクラブ P-1、P-1ミニ、P-1ミニ2…と様々なバリエーションがあり、その当時流行っていたキャラクターを使用した、SFCなどがまだ早い層を(主な)ターゲットにした商品だったようです。SDガンダム、ウルトラマン倶楽部、機動警察パトレイバー、ドラゴンボールZなどなど、今見てもなかなか豪華なラインナップです。ただ時代はFCの大ブームを過ぎ、PC-エンジン、メガドライブ、SFCの熱狂を迎えていた時期ですから、玩具店のショーケースの中央を飾ることはなく、注目度も低かっただろうと思います。ということで、G&W、FC世代とはひとつ下の(当時まだ幼児だった)世代の方が、思い出を持っている商品かもしれませんね。


 『キン肉マン・キン肉星王位争奪編』の本体です。キャラクターの描かれたカラフルな本体は、なかなかいい感じです。このシリーズ、リサイクルショップの片隅などに、時々置いてあったりしますので、見たことある人も多いのでは。ただ、全体的な作りは(特にこれは、P-1ミニということもあるのでしょうが)、G&Wや電子ゲーム全盛期にバンダイが発売していたゲームデジタルと比べると、液晶部分も狭くかなりちゃちな感じです(ボタン電池一個で動きます)。キャラも小さくて薄いため、現在の1,000円位のミニLCDゲームのような雰囲気です。箱にはラックに掛けて陳列する穴も開いており、電子ゲームにショーケースの主役を担う役割は、この頃にはもうなかったということを実感させてくれます。


 ゲーム画面です。ゲーム内容は、キン肉マン(左)を上中下に動かして“スーパーフェニックス”(右)に必殺技を仕掛けるというものです。技を掛けるのが遅れた場合、“スーパーフェニックス”に反撃を喰らってしまいます。場外には“ミスターVTR”、“ザ・ミステリアンズ”、“マンモスマン”がおり、妨害をしてきます。ということで、バンダイのゲームデジタル『THEプロレス』の流用品(キャラ替えバージョン)ですね。キン肉マンの電子ゲームは、これ以外にも※『キン肉マン対決悪魔超人』(テーブルタイプ)もあるのですが、これもキャラ替えの同内容のようです。『THEプロレス』の頃は、猪木風のレスラーと覆面の対決で、あの当時としては(プロレスゲーム自体少なかったため)けっこう新鮮でした。トミーのウォッチマン・プロレスと、『ザ・ビッグプロレスリング』(テクノスジャパン/データイースト)くらい?だったでしょうか。ただこの『王位争奪編』の時代は、あの大ヒットしたバンダイのFC参入第一弾『キン肉マン マッスルタッグマッチ』(youtube)の後のことですから(システムとしては古く)、『THEプロレス』の最後のおつとめ(流用)といったところだったでしょう。
※追記:これ以外にも『キン肉マンII戦えラーメンマン』、『キン肉マンIII黄金のマスク編』もあるようです。


 ということで、これは特にレトロ扱いもされておらず300円でした。もう少し豪華な“ポケットクラブ P-1”だと、ドラゴンボールなどのキャラ物が2,980円ほどで売られていることもあるようです。ただ新しいため、コレクターにはそれほど人気がないようですね。この項を作成するため、調べていて思ったのですが、このシリーズをキャラクター商品(の電子ゲーム)としてみた場合、SDガンダム、ウルトラマン倶楽部、ドラゴンボールZから始まって、ゲゲゲの鬼太郎、クレヨンしんちゃん、アンパンマン、まじかる☆タルるートくん、ジャングルの王者ターちゃん、セーラームーンR…、ひよっこりひょうたん島や、サンダーバードまであるなど凄く豪華です。私には、到底無理ですが、これをコンプリートされた方がいたら、さぞかし圧巻でしょうね。

参考:帰ってきた電子ゲーム、Nostalgia・バンダイポケットクラブの項

FLクレイジークライミング(CRAZY CLIMBING)・バンダイ

2008-12-21 17:59:16 | 電子ゲーム


 FLクレイジークライミング(CRAZY CLIMBING)は、1981年にバンダイより発売されたFL(蛍光表示管)ゲームです。バンダイは、この少し前にFLパックリモンスター、FLチェンジマン、FLフリスキートム、FLアタックモグラを発売しており、FLフリスキートムに続いての日本物産からの移植ものになります。この辺りまでは、まだゲームに関しての著作権があいまいで、玩具メーカー各社とも、ギャラクシアンや、パックマン風のゲームを発売していました。しかしパックマン辺りで問題になったようで、このFLクレイジークライミングでは、バンダイ、ニチブツの共同開発になってるようです。この辺りを境にして、正式な権利を取った移植作が電子ゲームの世界にも増えてゆくことになります。正式な共同開発ということからなのか、夜の摩天楼をバックにしたパッケージ絵も、パチもの臭さがなくどこかスマートです。また、この当時のオーディオの広告(クラリオンとか)などに、このような摩天楼の写真がよく使われており、そこはかとなく80年代を感じさせるところがまたいいです。


 パッケージ絵が、摩天楼の夜景をイメージさせるものになっているのは、FL(蛍光表示管)ゲームの仕様上、ゲーム画面が夜のビルを連想させるものになっているからでしょう。蛍光表示管の画面が、ある種のネオン管のように暗闇に浮かび上がる様は、子供心にときめいたものです。ゲームの筐体自体も、どこか高層ビルをイメージさせるものになっており、非常にクールです。ゲーム内容は、業務用のクレイジークライマーをほぼ再現しており、クライマーを操って49階建てのビルを登るというものです。窓からイジワルおじさんが植木鉢を落としてきたり、ときおりシラケ鳥が登場して糞を落としてきます。これらは両手で踏ん張っている時には、耐えることができます。さすがにオリジナルの“キングコング”や、ボーナスの風船、屋上のヘリコプターは再現されていませんが、電子ゲームとしては非常にまとまっており、当時としても熱中できる出来だったと思います。もちろん窓の開閉も再現されており、ミスした場合には落下のアニメーション処理がされています。


 またこのゲームを語る場合に外せないのは、ツインスティックを再現しているところでしょう。ゲーム内容と本体が一体となっている、この時期の電子ゲームならではです。


 写真を撮る都合上、片手になっていますが、ゲームは(アーケード版と同じように)両手を使って行ないます。説明書には、図解入りでツインスティックの使い方(ビルの登り方)が解説されており、これがこのゲーム機の肝だったという事がわかります。オークション等に出品されているものは、このレバーのところが擦れて塗装が剥げているものが多く、当時の熱さが伝わってきます。私は当時、これは所有していませんでしたが、友達に借りて遊んだ記憶があります。高価だったFL機の例にもれず8,200円もの値段が付いてましたので、お正月だったと思います(多分お年玉で手に入れてたはず)。借りて帰ったら、家の子犬が上にうんちをしてしまい、あわてて分解掃除したという思い出が残っています。


 クレイジークライマーは、非常に人気のある息の長い作品のため、PC(X68、Windows)、FC、SFC、PS、WS、Wiiなど、様々な機種に移植されています。電子ゲームにも、ヒステリックママ(タカトク)という亜種や、海外のENTEX製クレイジークライマー、株式会社JIM製のfighting climberなどがあり、90年代にはバンダイよりパックマン、ギャラクシアンとともに豆ゲームとして再登場してました。


 SFのニチブツアーケードクラッシック版とバンダイのWS版。


 現在、手に入れやすいのは、昨年エポック社より発売された“EL-SPIRITS”版でしょうか。このエポック版は、液晶とFL(蛍光表示管)の違いはありますが、基本的に“クレイジークライミング”の内容を踏襲しており、ほぼ同じような感覚で遊べます。動きもスムーズで、屋上のヘリコプターまで再現していますので、これを遊んだ後に“クレイジークライミング”を遊ぶと、物足りない感じまでしてしまうほどです。また携帯版としてはWS版もイカシてます。


 クレイジークライマーは、1980年の発表ですから、当然ゲームセンターあらしにも登場しています(意外、トンメン大王の謎の巻、天国を救えの巻)。FLクレイジークライミングは作中には登場しませんが、FLアタックモグラ、FLパックリモンスターにはあらしが挑戦しています。特にFLアタックモグラは、かあちゃんとの勝負で、炎のコマ、エレクトリックサンダー、グレートタイフーンと必殺技を使いまくっています(壊れるよなぁ)。クレイジークライミングは81年ですから、このあたりから作中にアーケードゲームだけではなく、ゲーム電卓、ゲームウォッチなど、電子ゲームも登場するようになりましたので、この頃があらし的にも一番面白かった時期だったのかも知れませんね。



参考:帰ってきた電子ゲーム、復刻版ゲームセンターあらし・すがやみつる著/太田出版

LSIゲーム・パックマン・トミー/ナムコ

2008-05-25 19:42:41 | 電子ゲーム


 これは、トミー(現タカラトミー)より1981年に発売された、LSIゲーム・パックマン元ネタとなったパックマンは、ナムコより1980年に発表されたアーケードゲームで、国内でも大ヒットしましたが、海外(特に北米)ではアニメ化されるほどの大人気となりました。ある意味ナムコの看板を超えて、(時代を象徴する)80年代のイコンといえるほどになりました。当然、(家庭用として)当時の電子ゲームにも移植されていました。有名なところで『パックリモンスター』(バンダイ)、『パクパクマン』(エポック社)、『パックモンスター』(学研)、『ハングリーパック』(ENTEX/アサヒ玩具)など。当時は、まだ著作権におおらかな時代だったのか、各社それぞれがパックマン風のゲームを発表していました。そんな中、正式にナムコ唯一の版権許諾製品として登場したのが、このトミーの『パックマン』でした。これは、版権許諾の強みを生かして、パックマンのロゴ、キャラクターなどが業務用より使用されており、本体のデザインもパックマンを連想させるポップなものとなっていました。そのため、当時70万個以上を売る大ヒット商品となったようです。


 こちらがゲーム画面。モンスターやパックマンなどオリジナルに近いイメージになっています。コーヒーブレイクこそ再現されていませんが、フルーツターゲットも出現、面クリ時には迷路がフラッシュします。ゲームスタート時には、(音量調整が出来ないため)大音量でオリジナルと同じメロディが流れます。異なる点としては、①画面が縦から横に変更、②パワーエサが★で2つだけ、③モンスターの数が異なり、性格付けもない、といったところでしょうか。これは、画面の狭いFL機の制約を考えればしかたがない部分でしょう。このゲームを語る場合に外せないのが、(デザイン上)パックマンは左を向いていますので、左からしかエサを食べられない事と、キャラの動きがあまりスムーズでないため、ゲーム展開が爽快感に欠けるという点でしょう。同時期のバンダイ『パックリモンスター』が、スムーズなゲーム展開を再現していましたので、余計にそう感じられたのかも知れませんね。ただ改めて遊んだ感想としては、レバー入力への反応は、それほど悪くなくストレスが溜まる感じはありませんでした。


 パックマンを連想させる筐体。黄色に黒がアクセントとなっている。黒いパーツはスクリーンからの延長で実はスケルトン。


 ポップのお手本というべき、ある種芸術的な曲面を描いてます。


 『パックマン』に関するトリビアに、パックマンは開発者が“食べかけのピザ”より発想したという有名な話があります。Wikiによればこの話は、トミーよりナムコ・パックマンの10年前に『パックマン貯金箱』、4年前に『パックマンゲーム』が登場しており、トミーからのクレームに対してのナムコ側の抗弁が広まったものだそう。この話と、ナムコの版権許諾パックマンがトミーより登場したことのいきさつが気になっていたのですが、『パックマン』の商標はトミー所有であり、ライセンス供与はそのバーターみたいなものだったということのようです。参考CVS ODYSSEY。トミーとすれば、せっかくの世界的な大ヒットを逃す手はないという判断だったのでしょう。このトミー版『パックマン』も大ヒットとなり、ある意味80年代の電子ゲームを代表(象徴)する玩具となりましたので、この判断は正しかったのでしょう。※追記:このパックマンのピザに関しては、製作者の岩谷徹氏ご本人が直接語られているようです。この点でWikiの説明には、少し問題がありそうです。参考Runner's High!追記2:Wikiのパックマンの記述も改められました。


 バンダイのFLパックリモンスター。亜流ゲームの中ではもっと登場が早かった。


 学研のパックモンスター。コレコのパックマンと共通のスーパーパックモンスターも出た。


 エポック社は液晶のパクパクマン。当時のパックマン亜流ゲームとしては最大のヒット。


 アメリカでは、アニメ化されるほどの大ヒット。アニメのキャラを使って作られたパックランド。表情や手足が付いて、世界観がグッと広がった。


 このようなパックマングッズもたくさん作られた。こちらは、近年発売されたアミーボ版パックマン。つまり、任天堂製パックマン。


 個人的には、当時『パックリモンスター』(バンダイ)や、『パクパクマン』(エポック社)ではかなり遊んだ記憶が残っています。このトミー版『パックマン』は、友達が所有していたのを、ちょっとだけ触れさせてもらっただけでした。当時としても、前2作品の方が(ゲームとしては)面白く、トミーのパックマンは(キャラやデザインなどが)洒落ていてかっこいいといった感想でした。初めて自分で所有してみて、改めて気付いたのですが、本体の黒い部分はスクリーンより延長されていて、クリアパーツになっています。これが、デザイン的に最も優れたFL機といわれるのも、こうしてみるとわかるような気がします。現在遊ぶ場合にはシミュレータと呼ばれるソフトにより再現されていますので、PC上で遊ぶことができます。※フリーソフトですから、自己責任で遊んでください。


 ということで、現在でも通用するキュートなデザインが魅力のトミーのLSIゲーム・パックマンでした。

参考:CVS ODYSSEY、帰ってきた電子ゲーム、Wikiパックマンの項

LSIゲーム・ルパン黄金強奪作戦・トミー

2008-05-06 18:55:00 | 電子ゲーム


 これは、1982年9月に株式会社トミーより発売された、LSIゲーム『ルパン黄金強奪作戦』です。順番としては、パックマンが81年に登場した後、キングマン、ルパン(82)と翌年に出たようです。当時のTVCM(youtube)。同社『スクランブル』、(同時発売の)『ケイブマン』も82年の発売ですから、この年がいかに電子ゲーム全盛期だったかがわかります。流れとしては、ブリップ、ブラックレーサー、レッドミサイルなどのエレメカを経て、ミサイル遊撃作戦(UFO MASTER BLASTER・バンビーノ社/79)、スペースアタック(80)、パックマン(81)、スクランブル、ケイブマン、トロン(82)へと続くようです。この時期には、ウォッチマンという液晶ゲームも発売されていますので、これはまさに電子ゲームブーム絶頂期(ちょっと過ぎ)に出た一作だといえるでしょう。


 ゲームの内容としては、ルパン(三世ではなくアルセーヌ)となって、ルイ14世のお宝の眠っている館に侵入、悪霊(ゴースト)を避け(退治して)、お宝をゲットするというものです。ルパン関係のゲームとしては、タイトーより『ルパン三世』(80)があり、エポック社より『デジコム・ルパン』(80頃)、液晶ゲーム『ルパン三世・暗闇の城』(83/ポピー、同社『コブラザ・サイコガン』と同内容)、ポケットデジコム・シリーズ『ルパン三世パート3 参上!黄金の腕』、『ルパン三世パート3 地獄の救出作戦』(84/エポック)等がありました。参考:ルパン三世TVゲーム博物館。この頃は、TVでも(再放送を含め)ルパンが放送されていたり、映画『カリオストロの城』(79)が公開されたりと、ルパンが流行っていたのですね。その中でも、エポック社の初期LEDゲーム『デジコム・ルパン』は、『ルパン黄金強奪作戦』と同じくアルセーヌもので、警察と怪盗側に分かれて、銀行、博物館、空港と移動する怪盗を、警察側は足音だけで推理するというものでした。アルセーヌ・ルパンというキャラクターを生かした(渋い?ある意味、知的な)内容だったと言えると思います。


 そこで、この『ルパン黄金強奪作戦』ですが、面クリア型のアクションゲームになってます。①鍵部屋の扉が開いた時に、鍵を取って出口へ。②押し寄せてくるゴーストを打つシューティング。③回転ドアを利用して鍵を集め、④金庫部屋に→キングゴーストを倒してルーレット、という展開になります。印象としては、①面と③面にあまり違いがなく、難易度も低めで飽きやすそうな感じです。ちょっと、コナミの『ツタンカーム』(82)みたいな雰囲気もあるでしょうか。せっかく“アルセーヌ”という題材を使ったのですから、探偵との知恵比べという展開を期待したかったですね。ただ電子ゲームとしては、そろそろ後期に入る時期のものですから、展開はスピーディで画面も綺麗です。81年『パックマン』では、自キャラも小さく、移動も鈍いものでしたが、この時期(たった1年で)技術が飛躍的に進んだことを実感させてくれます。


 また何と言っても絶大なインパクトを与えてくれる、ボックスアートが素晴らしいです。内容を30としたら、50はこの箱絵に捧げたいような出来です。(残りの20は筐体デザイン)。そびえ立つ摩天楼をバックに、シルクハットとステッキ、散らばる金塊と、ルパン(怪盗もの)のロマンを全て兼ね備えています。絵師さんの年代的なものもあるのでしょうが、少年探偵団の怪人20面相テイストも入っていそうです。この時期、ゲーム機自体の表現力がまだ貧弱でしたので、ゲーム内容を補ってあまりある、このようなボックスアートが欠かせなかったのですね。


 トミーのFL機には、画面を拡大してみせるレンズが付いています。蛍光表示管の画面は小さかったため、少しでも迫力を出すための演出だったようです。この表示部と、画面の奥行きが、ゲームセンターにおいてあったアップライト型の筐体を連想させて、FL機をより魅力的に見せていました。当時としては、このような小さな画面の中に、ミニチュアの宇宙(電子の仮想空間)を見ていたのですね。

参考:CVS ODYSSEY、帰ってきた電子ゲーム