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80年代Cafe

80年代を中心に、70年代後半~90年代位の懐かしいもの置いてます。
あなたにとって80年代はどんな時代でしたか。

Apple II 1976‐1986/柴田文彦 編著・毎日コミュニケーションズ

2014-01-11 11:04:29 | 書籍・漫画

 これは、毎日コミュニケーションズより2004年に発行されたApple II 1976‐1986。


 世界で初めて、個人向けに完成品として販売されたパーソナルコンピュータApple IIについてまとめられた本。Apple IIは、組み立てキットだったApple Ⅰに続いて1977年に登場しました。設計者は、アップル創設者の1人でもあるスティーブ・ウォズニアック氏。当時としては安価で画期的な製品であり、1993年の生産終了までに総計500万台が生産されアップル社の基礎を作りました。


 この本は、そのApple IIについて歴代のハード、周辺機器、互換機、ビジネス、ゲームなどのソフトウエア、当時の書籍、ノベルティにいたるまでを網羅したもの。日本でのApple IIを取り巻く動きに関しても、当時の関係者の証言を交えて解説してあります。洋書やApple IIが現役だった80年当時ならば、数多くの解説本、専門書が発売されていたとも思いますが、近年のものとしては稀なApple IIに関しての総合的な一冊であると思います。


 豊富な写真と当時のカタログなども交えてのハードや技術面での解説。ほとんどのページがカラーなので、眺めているだけでも楽しい。アップル社の製品は、昔からデザインが洒落ていた。


 アップル社のものだけではなく、当時沢山作られていた互換機のみならずクローン、各国バージョンについても紹介されている。当時画期的だった、フロッピーディスクドライブ diskIIなど、重要な意味をもった周辺機器も解説してある。


 国産のPCが20~30万円だった時期に、ディスプレイ、ディスクドライブなど一式をそろえると100万円ほどしたという高嶺の花。よく通っていたデパートのPC売り場などに置いてあるはずも無く、自分的には見たことも無かった。後年、キャノンが日本での販売を手がけるようになってから、キャノンショップで見た(既にマッキントッシュがメインとなっていた)くらいでした。


 RPGの元祖のひとつといわれるウィザードリィもここから生まれた。


 こちらは、日本で発売されたPC-98版。移植はフォーチューンが担当し、アスキーより発売された。当時、日本語版への移植を担当されたフォーチューンの鈴木茂哉氏の回想も収められています。この当時、鈴木氏はなんとまだ学生。ウイザードリィ移植のためにフォーチューンを設立されたそう。


 RPGのもう一つの元祖、ウルティマもここから始まった。写真はウルティマⅡ。


 こちらは、日本で発売された国内移植版。最初はスタークラフト社がApple II版を移植、後にポニーキャニオンが権利を取得して、より綺麗なIBM-PC版が移植された。ファミコンに移植されたのもこの時期。


 どちらも、世界3大RPGの一つに数えられることもあるバーズテールとマイト&マジック。写真は、RPGのブーム時に国内メーカーより発売されたファミコン版。バーズテールはポニカ、マイト&マジックはなんと学研。


 日本ではクソゲー扱いされることもあるカラテカ。カラテカのシステムを発展させたプリンス・オブ・ペルシャもSFCで発売されました。


 世界的に売れたロードランナーとチョップリフター。


 チョップリフターは、国内PCのほかファミコンやアーケードにも移植されていた。


 ハドソンより発売されて爆発的なヒットとなったロードランナー。日本向けにキャラがかわいくなっている。アイレムよりアーケードゲームとしても発売され4作品も作られた。このハドソン版ロードランナーより、スピンオフしてボンバーマンが生まれた。


 国内向けにパッケージイラストがあらためられたPC(MSX)版。ファミコンより少し大人向け。MSX版はソニーより発売され、販促のためMSX本体におまけで付けられた。


 日本では、アップルタウン物語として発売されたリトルコンピュータピープル。PC内に住み着いた中年男を眺めるだけという、育成・環境ソフトのはしり。このような、実験的作品も数多く作られた。


 こちらは、アスキーより出版されたマッキントッシュ伝説。カタログ本ではなく、当時の開発者の話をまとめたノンフィクション。このような、アップル伝説本は現在でも数多く出版されています。


 “1977年の夏、最初のパーソナルコンピュータApple IIは登場した”というコピーが秀逸。鮮明で眩しく暑い夏の日を連想させます。前述のように、個人的にはApple IIなんて本物は見たことも無く、ログインなどの米国最新RPG事情みたいな記事で知るのみでした。自分的には、ザナドゥやハイドライドⅡなどが発売され、256色のMSX2や4096色のFM-77AVが登場し、ウィザードリィが日本のPCに移植された1985年あたりが、この暑かった夏の日に該当します。結局、このような本はコンピュータの黎明期、アップル社の創世記、日本のPC事情のはじまりの頃を描いた、青春の本なのだと思います。


 ということで、当時の貴重な資料、カタログ本としても楽しめるApple II 1976‐1986。でした。



参考:Apple2 1976‐1986/柴田文彦 編著・毎日コミュニケーションズ、Wiki Apple II、スティーブ・ウォズニアック、ウィザードリィの項

杏野はるなのレトロゲーム読本/杏野はるな著・ウェッジホールディングス/文苑堂

2014-01-03 17:27:41 | 書籍・漫画

 これは、2010年1月にウェッジホールディングスより発行された杏野はるなのレトロゲーム読本


 ゲームアイドル杏野はるなさん執筆のレトロゲーム本です。杏野さんは、1988年生まれの25歳ということみたいですから、世代的にはまったく被っていないファミコンやらPC-エンジン等のネタを扱っていることになります。レトロゲームというニッチな隙間でアイドルを売り出すという面白い試みで知名度を上げられました。


 ネタは、フリマ巡りやらたまゲーなどにも似たレトロゲーム観光スポット巡り、PC-エンジン等のゲーム攻略、高橋名人、遠藤雅伸氏などとの対談など。世代の異なる若い方が書いてますので、本格的なレトロゲーム本としてよりも企画ものとして楽しい出来になっています。


 私はそれほど詳しいわけではないのですが、電子ゲームのコレクションなども公開されており、ネットだけにとどまらずTVやモデル等広く活躍されているようです。普通のグラビアアイドルだと、年齢とともに消えていくパターンも多いかと思いますが、バリ島のホテルを購入されたり、東京都中野区の観光大使に任命されたりと、まだまだ活躍されそうな雰囲気。


 FCがわかる30代後半~40代くらいだと団塊世代Jrにあたるので、人も多い(マーケットも広い)ので、そこを狙うというのは上手い戦略なのかもしれません。レトロゲーム本も一時期ほどではないにせよ、たくさん出版されているようですから、潜在的な需要があるんでしょうな。


 表紙は、ログインやMSXマガジン、ファミ通などで御馴染みべーしっ君の荒井清和氏。パワーグローブやらハル研のJOY BALLやらSFCのスーパースコープやら、それらの世代には御馴染みのネタがちりばめられています。


 惜しむらくは、電子ゲームネタが一ページのみで少ないこと。ということで、企画物としても楽しく読める本に仕上がっていると思います。正月休みの緩い時間に読むのにも適しているかも。お勧め。

参考:Wiki 杏野はるなさんの項

ファミリーコンピュータ 1983-1994・太田出版

2013-11-04 22:33:36 | 書籍・漫画

 こちらは、ファミコン生誕20周年に太田出版より発行されたファミリーコンピュータ 1983-1994


 ファミコン生誕20周年を記念して、2003年に東京都写真美術館で開催されたテレビゲームを文化として捉えた展覧会「レベルX テレビゲームの展覧会」の図録として発売されたもの。ファミコンの全ソフト1252本が写真とともに紹介されています。今年2013年が、生誕30周年にあたりますので、もうそれから10年が経過したことになります。


 この2003年辺りというのは、ネットの普及も相まって古い情報が入手しやすくなり、オークション等の発達で古い玩具が流通し始めるなど、ある種のレトロブームみたいなものが起こりました。復刻玩具が発売されたり、お菓子の復刻パッケージみたいなものが限定で売られたり、或いはお宝発見!みたいなリサイクルショップが次々と登場したり。これは、そのような潮流の中で発行されたもののひとつだと思います。同時期にファミコンのソフトを網羅した豪華本ファミ・コンプリートや、メガドライブのソフトを網羅したメガドライブ大全、ソフトバンクのPC誌Beepの記事を復刻したBeep復刻版など、数限りなく出ていました。


 中身は、ファミコンのソフトパッケージ写真を年代別(発売順)に並べています。


 数が多すぎて紹介しきれない分はひとまとめに。


 スーパーマリオやドンキーコングなどの重要な作品は、半ページを使って。


 スーパーマリオの元となったスーパーマリオブラザーズ。


 タレントものとしては、最も有名なたけしの挑戦状。


 基本的にソフト本なので少しですが、同時代の様々なハードや、宮本茂氏、糸井重里氏、堀井雄二氏、中村光一氏、田尻智氏など、ファミコンを語る上で重要な人々のインタビューも収録されています。


 企画、監修が、レベルX テレビゲームの展覧会を開催した東京都写真美術館なので、類似の他の書籍と比べて学術的なところが特徴。


 日本のTVゲーム文化の育ての親ともいえる山内溥氏のあいさつより始まる。


 第一刷分ですな。当時の価格は2,500円。紹介しようと思ったのは、オクで1,200円ほどで落とせたため。ファミ・コンプリートなどは、アマゾンで10,000円以上の値が付いていたりします。


 現在のことはそれほど詳しくないのですが、生誕30周年ということで様々な書籍やカタログ本などが発売されているようです。また、このようなエミュレータ本などでも、全ソフトの紹介などがされていることがあり、これもカタログ本として代用できます。


 ファミコーコンピュータ本体。1983年7月15日発売。据え置き型ハードとしては第3世代にあたり、これが最初ではないのですが、現在のゲーム文化の源。


 光線銃。1984年2月2日発売。70年代にヒットしており、歴史自体はファミコンより古い。


 ファミリーベーシック。1984年6月21日発売。ファミコンがファミリー“コンピュータ”たるゆえん。


 ファミリーコンピュータロボット。1985年7月26日発売。開発者は、横井軍平氏。G&Wやゲームボーイの開発者で任天堂を支えたもう一人の神。


 ファミリーコンピュータ ディスクシステム。1986年2月21日発売。途中で失速してしまったが、磁気ディスクのドライブを15,000円で発売したのは、画期的で驚異的だった。


 ツインファミコン。1986年7月1日発売。シャープより発売された互換機。


 ということで、2003年に太田出版より発行されたファミリーコンピュータ 1983-1994でした。もうこの頃から10年もたつんですな。ファミコンを懐かしがっていた時期が、すでにもう懐かしいというわけがわからない状態になっています。



参考:ファミリーコンピュータ 1983-1994/太田出版、Wikiファミリーコンピュータ、ファミリーコンピュータ周辺機器の項

構造と力-記号論を超えて/浅田彰・勁草書房

2012-03-17 11:19:18 | 書籍・漫画

 『構造と力-記号論を超えて』は、勁草書房より1983年に出版された現代思想の解説書。著者の浅田彰氏(現・京都造形芸術大学大学院長)が、京都大学人文科学研究所の助手時代に若干26歳で出版されたもので、難解な哲学書としては異例の15万部を超すベストセラーとなり、ある種の社会現象にまでなりました。これは80年代を覆った空気を考える際には、外せないもののひとつだと思います。
 

 構造と力のブームを受けて、雑誌などに掲載されたエッセイや対談記事などを収めた『逃走論-スキゾキッズの冒険』(84年)。パラノとスキゾという言葉も流行語に。『チベットのモーツアルト』の宗教学者・中沢新一氏らとともに、ニューアカデミズムなどという言葉も。


 構造と力は、フランス現代思想の構造主義やポスト構造主義を、チャート式に平易にまとめた解説本なのですが、その元ネタとなったドゥルーズ・ガタリの『アンチ・オイディプス』と『ミル・プラトー』。ドゥルーズ・ガタリとは、哲学者ジル・ドゥルーズと精神分析学者フェリックス・ガタリの共著によるもの。藤子不二雄みたいなもんですな。


 ドゥルーズ『ニーチェと哲学』。ドゥルーズの思想の根幹、元ネタとも言えるニーチェの研究本。もっと平易に書かれた『ニーチェ』という著作もあります。この本の日本語訳版は、裏表紙が何故か山口智子氏。


 フランス現代思想の大御所、ミシェル・フーコーの『言葉と物』。他には『監獄の誕生』などが有名。


 こちらも大御所ジャック・デリダの『エクリチュールと差異』。なんだかよくわからないけれど、脱構築という響きがかっこよすぎでした。


 浅田氏と同じ頃にニューアカデミズムのスターとなった、宗教学者・中沢新一氏の『チベットのモーツアルト』


 同じくニューアカデミズムのスターのひとりだった、柄谷行人氏の『ヒューモアとしての唯物論』


 ポストモダンの代表的な思想家のひとりとされるジャン・ボードリヤール『象徴交換と死』


 記号論などを論じたフランスの批評家ロラン・バルトの『物語の構造分析』。『テクストの快楽』なども有名。


 ロラン・バルト『零度のエクリチュール』。バルトには、日本を論じた『表徴の帝国』という本も。


 蕩尽、祝祭などで有名なフランスの思想家ジョルジュ・バタイユ『呪われた部分 普遍経済学の試み』、『エロティシズムの歴史』


 構造主義、ポスト構造主義の全ての発火点となった、社会人類学者レヴィ・ストロースの『野生の思考』。旅の記録をまとめた紀行文『悲しき熱帯』も有名。


 個人的な思い出としては、80年代のブーム当時には、リアルタイムでは知りませんでした。90年代に入ってから学校近くの古本屋などで見つけて、10年遅れではまることになりました。90年代頃にはブームのおかげもあってか、このような現代思想本が古本屋にちょうどゴロゴロ置いてありました。自分の学生の頃の気分といえば、これらの本と村上春樹氏だったように思い出します。

参考:Wiki ポスト構造主義、ニューアカデミズム、浅田彰、柄谷行人、中沢新一、ジル・ドゥルーズ、ミシェル・フーコー、ジャック・デリダ、ジャン・ボードリヤール、ロラン・バルト、ジョルジュ・バタイユ、レヴィ・ストロースの項

8ビット年代記/ゾルゲ市蔵・~ピコピコ少年/押切蓮介~アーケードゲーマーふぶき/吉崎観音

2011-06-19 19:41:15 | 書籍・漫画

 80年代周辺の“あの頃”を題材とした漫画3作品。8ビット年代記/ゾルゲ市蔵・マイクロマガジン社は、2009年9月にマイクロマガジン社よりGameSide Booksとして発売された一冊です。著者は、謎のゲーム魔境のゾルゲ市蔵氏。雑誌GAMESIDE誌に連載されたものから15話までを収録して、プロローグとエピローグを加えた構成になっています。氏の自叙伝的な体裁をとりながらインベーダー、電子ゲームから、中古ファミコンショップが大流行りだった辺りまでの、80年代のゲーム史の流れを追いかけるという内容になっています。


 この本で取り上げられた80年代のゲーム史周辺のトピックを、時系列順に挙げてみると、駄菓子屋での10円インベーダーに始まって、デパートのゲームコーナーでのギャラクシアン、電子ゲーム、電子ライターなどを使った裏技や20円ゲーム、パチものゲーム、補導員などのゲーセンネタ、シャープMZ-700、ゼビウスの衝撃、シャープX1など8ビットPCネタ、ゲーセンでのかつあげと続き、ゾルゲ氏が高校に入学した辺りから、アニメ製作編へと続きます。アニメ製作編にもスペースハリアーの衝撃が挟み込まれ、大学へと進学した後は、その頃乱立していたファミコンショップネタまでが描かれています。


 帯の推薦文は、ゼビウスの遠藤雅伸氏。この本に関しては、氏はブログのほうでわりと醒めたコメント(電子ライターなどのネタがお気に召さなかったよう)をしていたりもするのですが、それでもお茶目な写真と推薦文がこの本に一定の重みを与えてます。


 単行本以降も連載は続き、ゾルゲ氏の学生生活と共にアフターバーナーの衝撃なども取り上げられているのですが、残念ながらGAMESIDE誌自体が2010年8月号を持って休刊となってしまいました。単行本に収録されている部分でも、ゾルゲ氏が高校に入学した1984年辺りからは氏がアニメ製作に熱中していた関係で、ファミコン部分がすっぽり抜け落ちているなど、必ずしも80年代頃のゲーム史を忠実に追っているというわけではありません。ただあの頃は、宮崎駿氏が一般にも知られ始め、アニメブームの方も盛り上がっていましたので、あの頃全体を覆う空気感のようなものは、逆に伝わってくるような気がします。


 ということで、従来のゾルゲ節は抑えられ、現時点では氏の代表作と言ってよいできかも。インベーダーの熱狂から始まって、電子ゲーム、駄菓子屋の20円ゲーム、ゼビウス、8ビットPCゲーム、かつあげ&補導、ファミコンショップの乱立の時代まで、あの頃を体験したものにとっては、とてもよく出来た一冊だと思います。


 ピコピコ少年/押切蓮介・太田出版は、2007年8月より2009年8月にかけて、雑誌CONTINUE誌に掲載された連載漫画を単行本化したもの。作者の押切蓮介氏は、ホラー&不条理系を得意とする作家さんのようです。そのためか、単にノスタルジアだけにとどまらず、あの時代(少年時代)特有のえぐさや、やるせなさなどの、リアリティまでを含んだ内容になっています。


 こちらは、ゲーム&ウォッチのドンキーコングより始まって、ファミコン、ディスクシステム、PC-エンジン&ゲームギア、駄菓子屋、補導&かつあげ、秘密基地&ゲームボーイ、女っけのない高校生活等が取り上げられており、大人になった時点より振り返ったエピローグで構成されています。ゾルゲ氏の8ビット年代記と、扱うネタや構成的には近いのですが、作家さんがゾルゲ氏より10歳ほど下の世代ということもあって、取り上げられるネタも80年代後半のPC-エンジン、ゲームボーイ辺りががメインとなっている感じです。このあたりは、読む方の世代によって、ゾルゲ氏のものとどちらに共感するかが、わかれるように思います。


 ゾルゲ氏は80年代前半の少年で、こちらは80年代後半の少年といった感じですが、こちらでも駄菓子屋ネタは健在で、駄菓子屋や文房具店などが中古ファミコンソフトを扱い始めたりして、駄菓子屋兼中古ソフト屋の前に小学生の自転車が大量に置かれていた頃を思い出させてくれます。


 バブル期の頃で公共工事なども活発におこなわれていた頃だと思いますが、その環境下でも秘密基地を作ってゲームボーイをしたエピソードがクライマックスに置かれています。秘密基地というのは、少年時代の普遍的なテーマなのかもしれません。


 こちらの方は、ゲームに関するマニアックなネタ&情報はあまり入っておらず、ゲーム業界の人であるゾルゲ氏とはまた違った切り口であの頃が切り取られていて、読む人の世代、育った環境などにより、感じ方は異なると思います。ただ、こちらも80年代後半にかけて少年時代を送った方には、とても共感できる一冊だと思います。


 アーケードゲーマーふぶき/吉崎観音・アスペクト(アスキー)は、1998年9月号~2000年3月号まで月刊ファミ通Wave、ファミ通ブロス(エンターブレイン)誌上で連載された作品。2002年から2003年にかけてOVA化もされています。写真のものは、アスペクトより発売されたものですが、2002年にはアーケードゲーマーふぶきORIGINALとして、エンターブレインからも出版されています。


 こちらは、“ケロロ軍曹”の吉崎観音氏による80年代のゲーム(ゲーセン文化)に対してのオマージュで、作者公認のゲームセンターあらしオマージュ漫画でもあります。単行本の巻末には、吉崎氏とすがや氏の対談も収録されています。物語は、ふぶきを見守る謎の男“謎の人さん”よりPP(パックマン・パンティ)を送られた主人公ふぶきが、そのPPの力を解放することにより超人的なゲーム能力を身に付け、世界制服をたくらむギャラクシ団とゲーム勝負を繰り広げるというもの。ストーリーの方は、何かわけがわかりませんが、設定は舞台を(連載時の)現代である90年代の後半にした少女版ゲームセンターあらしという非常にわかりやすい作品となっています。


 単行本には、ふぶきのコスプレをしたモデルさんによるイメージ写真も入っていますが、ルーズソッスクが微妙に懐かしい感じで、今となっては逆に郷愁を誘います。ネタバレになるため書きませんが、クライマックスではゲームセンターあらし世代の人にも感涙ものの展開となっており、この世代の人にも十分楽しめる作品だと思います。


 ということで、80年代ゲーム史周辺を扱った3作品でした。ここを見ている方には、すべてお勧めの一冊と言える作品だと思います。

参考:Wiki ゲームサイド、アーケードゲーマーふぶきの項、ゲームの神様(遠藤氏公式ブログ)