goo blog サービス終了のお知らせ 

80年代Cafe

80年代を中心に、70年代後半~90年代位の懐かしいもの置いてます。
あなたにとって80年代はどんな時代でしたか。

スーパーカブ SUPER CUB・スーパーカブ2 SUPER CUB2~激闘編・ワーナーホームビデオ

2014-08-03 18:48:40 | 映画・DVD・CD

スーパーカブ SUPER CUBは、2008年に公開されたアクション映画。スーパーカブ2 SUPER CUB2激闘編は、同年に公開された続編。


 そのタイトル通り、ホンダのスーパーカブ SUPER CUBをメインに据えて、アクション映画に仕立てたという世にも珍しい作品。郵便配達や出前で実用車として使われるスーパーカブにバイクアクションをさせています。主演は、映画版タッチで双子の主人公を演じた斉藤慶太さんと、NHK連続テレビ小説ウェルかめの主演女優にもなった倉科カナさん。主人公にバイクを託す蕎麦屋の主人役に、元一世風靡の小木茂光さんと、主人公行き付けのバイク屋の店主に風間トオルさんなどが出演しています。


 主人公の浜田武史は、峠ではバイク最速の男であり、走り屋の仲間内でHAMMEと呼ばれていた。ある日事故を起こしてしまい、免停をくらってバイクを取り上げられてしまう。挙句に学校も中退して、父親の親友である蕎麦屋に面倒をみてもらうことになる。蕎麦屋でのバイト生活を余儀なくされ、バイクにも乗ることを禁じられた主人公だが、ある時店のガレージの片隅で出前用のバイクであるスーパーカブを見つける・・・。


 ということで、前半は仲間内で評判の腕利きライダーを、いかにしてカブに乗せて、そのカブの能力(魅力)を引き出すのかという設定に説得力を持たすための物語になっています。後半では、そこにバイク窃盗団が絡み主人公が事件解決をするという展開になりますが、物語自体にはあまり説得力はなく、はっきりとしたチューン描写もないカブでリッターバイクをぶち抜いたりと、わりとなんでもありの話になっています。いかにしてカブにアクションをさせるかというところに力点が置かれており、それ以外のことにはあんまり関心が払われていないようにも。まさにスーパーカブのためだけの映画。


 2008年の映画だというのに、峠で最速を競うバイクはなぜかカワサキのZXR250とホンダの88'NSRと、実に20年前のバイクです。若者が夜な夜な峠に集まり、峠道を勝手に封鎖してバトルが行われてます。バイクの走り屋の走りを見るために、女子高生がわざわざ峠にやってくるなど、どこのファンタジーゾーンですかという設定。80年代~90年代頃のバイクブームの頃には、バリバリマシンという峠道での膝すり写真を投稿するための専門誌があったりしましたが、ここだけ時間がその時代に戻っています。ということで、バイクの好きなおやじのためのファンタジーということでよいのだと思います。


 続いて続編であるスーパーカブ2 SUPER CUB2~激闘編。前作が劇場公開作品であったのに対して、こちらはオリジナルビデオ(Vシネマ)での展開となりました。


 物語は、蕎麦屋の出前を続けている主人公の元にある出前の依頼が入る。それは蕎麦屋の店主の友人のために、東京から山梨県甲府まで出張出前をこなすというもの。無事役目を果たした主人公たちは、その帰りにこの友人よりあるものを託される。それは悪徳警察官の麻薬取引に関する証拠となるものであった・・・。前作では、バイク窃盗団が相手でしたが、今作では国家権力と暴力団。道路封鎖による検問やパトカー、ヘリに追われながらの逃走劇となります。


 前作には、バイクを題材とした青春映画の趣もあったのですが、こちらはスケールアップしてカースタントアクションのノリ。さらにロードムービーの要素もある。前作でもストーリーにリアリティがないと感じる部分はあったのですが、こちらでは悪徳警官の協力者として、元白バイ乗りで現在では酪農を営んでいる刺客が登場します。カワサキのモンスターバイクZZRとの対決で、これだけでもありえないのですが、終いにはZZRからミサイルまで発射してくる超展開に。つじつまやリアリティを気にしながら見ていると、ここでずっこけます。ということで、もうリアリティうんぬんいう映画ではありません。


 ただストーリーが単純な分、アクション映画としてはこちらの方が楽しめます。スーパーカブでのアクションを見るためのお馬鹿映画として、お気楽に見ればよいのだと思います。


 スーパーカブ(カブ)は、1958年から現在に至るまで製造され続けているホンダ製のオートバイ。出前や郵便、新聞の配達など実用車のイメージが強いバイクですが、最初アメリカではレジャーバイクとして売られ、ホンダがアメリカに進出する際の足がかりとなった。ビーチボーイズがリトルホンダというカブの歌を作り、ホンデルズ(The Hondells)がカバーしてビルボード9位にも輝いたほど。最初は、青春の象徴でもあったんですね。その後、北米やヨーロッパでの販売は落ち着きますが 、今度はアジア圏での販売が伸びてゆき、輸送用の機械の一機種としては世界最多量産・販売台数を誇るまでになりました。


 バイクブームの頃だと、バリバリ伝説、あいつとララバイ、ふたり鷹、万歳ハイウェイなど、バイクを題材とした作品もある程度あったのですが、90年代以降にはその数も減少。特に、カブや原付などの実用車ともなるとかなり貴重。写真は、西風氏が90年代の終わりにバイク誌に連載したSEX MACHINE。リトルカブやモンキー、ベンリィ、ドリーム50など、原付を題材とした作品。そういった意味では、これもかなり貴重な作品だと思います。


 ということで、バイクに興味のない一般の人向けだと星★~★★、バイク好きには星★★★★、カブやモンキーなど原付好きな人には星5つと、見る人を選ぶ作品だと思います。



参考:Wiki スーパーカブ(映画)、ホンダ・カブ、リトルホンダの項

ノルウェイの森 Norwegian Wood・アスミック/フジテレビ・ソニーピクチャーズエンターテイメント

2014-07-27 17:14:05 | 映画・DVD・CD

 ノルウェイの森 Norwegian woodは、2010年に製作された日本製作の映画。世界50の地域で公開配給された。


 原作は、いわずと知れた1987年に発表されて記録的なベストセラーとなった村上春樹氏の小説。原作は、日本国内だけで1000万部越えを果たした超ベストセラーで、英語、中国語、ドイツ語、フランス語を初めとして30言語以上に翻訳されており、世界各国で出版されている。青いパパイヤの香りや夏至など、叙情的な作風で知られるベトナム系フランス人のトラン・アン・ユン監督により映像化された。主役のワタナベ役には松山ケンイチさん、直子役に菊池凛子さん、緑役に水原希子さんが出演している。


 物語は、ドイツのハンブルク空港でふと流れてきたビートルズのノルウェイの森を聞いて、激しい混乱を覚えた37歳になった僕の回想より始まる。大学に入学したばかりの僕は、あらゆる物事と自分の間にしかるべき距離を置くことを自分に課していた。そんな時に自殺してしまった親友キズキの恋人であった直子との再開を果たす。そこに外務省入りを目指す2学年上の東大生永沢とその恋人のハツミ、春を迎えて世界に飛び出したばかりの小動物のように瑞々しい生命感を体中からほとばしらせているミドリという同級生の女の子が絡んできて、彼、彼女らとの関係を軸にして物語は展開していく。


 長いこと日本で最も多く売れた小説(現在は異なる)として知られた原作の映画化ですから、評価することがかなり難しい作品だと思います。村上春樹氏の初期の代表作ということもあり、思い入れの強い人も多いのか、アマゾンや映画サイトでの評価も星★~★★★★★とばらばら。しかも、単行本2冊分の長編小説を133分の映画にするのですからなおさら。そこに時代背景などを知る日本人監督をあえて使わずに、映像派の作風で知られるベトナム系フランス人の監督を使ったかなりの変化球(冒険)は、個人的には良かったのではないかと思います。原作冒頭のドイツのハンブルク空港のシーンこそ省かれましたが、大学に入学したところから、どこでもない場所の真ん中からミドリへ電話をかけるラストシーンまで、日本とは思えない幻想的な風景とともに、しっかりと映画の中に再現されて収められています。


 物語の舞台となるのは、70年安保闘争の吹き荒れる私立大学(村上春樹氏の母校、早稲田がモデルともいわれる)のキャンパス。映画には、今見るとまるで学祭のようなキャンパスの喧騒が再現されていますが、私自身はこの時代を知らないため、時代のリアリティや空気感のようなものが表現できているのか、どうかはわかりません。原作が出版されたのは1987年のバブル景気の頃で、この頃に原作を読んでいたのは、この時代を直接には知らない若い読者が多かったのではないかと思います。この頃には、現代思想が流行っていたりして、純文学を読んでいるのがちょっとかっこいいという時代背景もありました。自分がこの本を読んだのは、それよりもさらに少し遅れて90年代に入ってからでした。


 学生運動というお祭り(祝祭の空間)の物語が、バブル景気というお祭り(祝祭の空間)の時代に出版されたという構造(時代背景)が、この作品にはあると思います。自殺した友人や精神科に通う友人の元彼女など、もともとそれほど身近なリアリティのある話ではありませんし、物語自体も37歳になった“僕”の回想という形を取っており、そういう意味ではどこにも存在しない場所の物語だといえるのかも。しかも、この原作が出た当時の若い読者にとっては、想像するしかない(親の世代の)時代背景の中での物語なので、そういった意味でも時代背景を知らない映像派の外国人監督の手による映画化というのは、ぴったりだったのかもしれません。


 講談社より発売された映画版ノルウェイの森の公式本。トラン・アン・ユン監督や役者さん、スタッフのインタビュー、撮影の様子、ロケ地などが解説してある。


 原作の舞台となったのは、村上春樹の母校である早稲田大学といわれているが、映画でも早稲田大学や神戸大学などでロケが行われている。


 タイトルとなったノルウェイの森が収められたビートルズのラバーソウル。アイドルからアーティストへの転換期のアルバムにあたり、自由な感じのする作品が多い。


 ノルウェイ製の木材を使った内装の女性の部屋で一夜を過ごし、朝起きると彼女はいなくなってしまったという、ジョンらしい軽い内容の詩。ノルウェイの森なのか、家具なのかという話がありますが、Knowing She Wouldを語呂合わせでNorwegian Woodとしたという説も村上氏は紹介している。朝起きると小鳥は飛んでいってしまったという一節があることから、両方の意味をかけているということで良いのでしょう。それにしても、ノルウェイ製の(安物の)家具というタイトルの歌詞に、ジョージの引くシタールの効果も大きいのでしょうが、これほど幻想的で感傷的なメロディをつけるとは。ごく当たり前のように映画本編でも流れますが、楽曲の使用許可が下りたこと自体は、奇跡に近いことなのだとか。


 原作を読んだのは、90年代に入ってから、ねじまき鳥クロニクルが出たあたり。村上春樹を熱狂的に好きな友人がいて、その存在はそれ以前から知っていたのですが、手に取る機会がなかった。ということで、原作の内容自体もドイツのハンブルク空港でのオープニングと、どこでもない場所の真ん中からミドリに電話をかけるラストシーン以外はほとんど忘れていた。映画(DVD)を見たのは2年くらい前で、その時にはなぜだか分からないけどすっと入ってきて泣けました。原作を読んだのは20代の頃で、その時には37歳になった僕が、18年も前のことを思い出してそんなに混乱するのものなのか不思議だった。それが、わかるような年齢になっていたということなのでしょうかね。ということで、個人的評価は星★★★★。この原作を、よくこの形に映像化できたなと思う、良い映画でした。



参考:Wiki ノルウェイの森 Norwegian Woodの項、ノルウェイの森 公式ガイドブック/講談社

私の優しくない先輩・アニプレクス/講談社

2014-07-25 17:30:21 | 映画・DVD・CD

 私の優しくない先輩は、2010年に公開された青春映画。講談社発行の日日日(あきら)氏の同名小説を原作としている。


 物語の舞台は、九州にある架空の島火蜥蜴島。その島に病気療養のために引っ越してきた16歳の西表耶麻子(西表 ヤマコ)は、心臓に重い病気を抱えている。そんな中憧れの先輩である南愛治君に思いを寄せるが、その気持ちを伝えることはできないままでいる。そこに大嫌いな存在である不破先輩が絡んできて、物語は展開してゆく・・・。


 CMなどで注目された若手女優の川島海荷さんとお笑いコンビはんにゃの金田哲さんを主演に、アニメ監督として有名な山本寛氏が初の実写映画として撮った作品。ヤマコの両親役として、プロレスラーの高田延彦さんと小川菜摘さんが出演している。チープな宇宙空間を背景にしたヤマコのモノローグで物語が始まり、間に突然ミュージカル風のダンスが挟み込まれるなど、どことなくアニメ監督っぽい演出がされている。物語は、病気のため内省的なヤマコの独白(精神世界)を軸にして展開し、そこに熱くて汗臭い(現実)不和先輩が絡んでくるという流れになっている。


 アマゾンや映画批評サイトでの評価は、星★★★~★★★★くらいで、公開時には映画批評家やアニメのファン層からは厳しい評価も付いたよう。初見では、アイドル映画としてはまあまあの佳作かなという印象だったのだが、何度か見るうちに意外と計算された演出がされていることに気付く。ヤマコのモノローグで物語は始まり、独白によるエピローグで締めくくられるのだが、劇中ヤマコから“ヤマネコ(ヤマコ)、そんな名前の人間がいますか”“人蜥蜴島(ひとかげじま)、そんな名前の島本当にあるんですか”“どこからどこまでがほんとうなんですか”というメタ発言が飛び出してくる。それによって、物語のどこまで現実でどこまでがヤマコの内世界での出来事なのか、見る側にも境界線が曖昧になってくる。そのことが、この映画に一定の深みを与えている。


 もう一つは、とても懐かしい感じのする映画だということ。九州の離島(架空の島)を舞台にしているということもあって、町並みの風景に懐かしい情緒がある。実際には、西伊豆がロケ地とのことだが、どことなく尾道を舞台にした大林宣彦の尾道三部作を思い出させせてくれる。また原作が、当時高校生だった作家日日日(あきら)氏によるものだという点からは、同じく高校生作家によるアイコ十六歳を連想させられる。いまどきの映画だというのに、今風のものは携帯(2010年の映画なのでガラケー)以外ちっとも登場してこない。


 監督の山本寛氏の世代的なもの(1974年生)もあるかもしれないが、工藤夕貴さんの台風クラブ、薬師丸ひろ子さんのセーラー服と機関銃、菊池桃子さんのパンツの穴、原田知世さんの時をかける少女、高岡早紀さんのバタアシ金魚など、80年代~90年代の青春映画を髣髴とさせる。またアニメ的な演出からは、この当時の漫画やアニメ、ときメモなどのゲーム的な世界観も感じる。お祭りのクライマックスシーンやエンディングでは、長回しを使用しており、それは相米慎二監督からの影響だと監督自身が語っている。


 ストーリー的には、ごく普通の映画だと思うが、映像に焼き付けられた学校(生活)がまぶしい。廃校になった小学校や中学校を使用したこともあるのかもしれないが、田舎のなんということもない等身大の学校の風景がさらりと映し出されている。


 ワンカット長回しのエンディングは、そのまま主題歌(広末涼子のMajiでKoiする5秒前のカバー)のPVともなっており、出色の出来。星★★★★で、よい青春映画だと思います。



参考:Wiki 私の優しくない先輩、映画・私の優しくない先輩公式サイト

頭文字D(Initial D) THE MOVE・ギャガコミュニケーションズ

2014-04-03 07:17:56 | 映画・DVD・CD

 頭文字D THE MOVIEは、2005年に公開された香港製作のカーアクション映画。


 原作は、言わずと知れたヤングマガジン誌に連載されていたしげの秀一氏の漫画。1995年より連載が開始され2013年に全48巻をもって完結した。アニメーションが地上波で2作、CS放送で2作、劇場版1作、OVA5作と、今もって根強い人気を誇る作品。ゲーム化もアーケード、コンシューマーを含め数多くなされている。この原作は、香港、台湾を始めとするアジア圏でも広く人気を得ており、香港、台湾、日本人の若手俳優をそろえて香港映画で実写化された。


 主演の藤原拓海役には、アジア圏で広い人気を誇る台湾人の歌手・周 杰倫(ジェイ・チョウ)。日本からは、茂木なつき役で鈴木杏が出演している。他の役者さんも、中華圏では有名な方が揃っているらしい。


 左から高橋涼介、中里毅、須藤京一役の役者。香港、中国では記録的なヒットを飛ばし、香港と中国に加えマレーシアとシンガポールでも興行収入1位を記録した。原作国の日本での評価は、微妙な感じでアマゾンで★★★くらい、映画評サイトでも60点くらいの評価となっている。日本での評価が微妙なのは、映画のキャラや設定などが微妙に原作とずれている点。香港映画にありがちなコメディ要素も入っており、製作者側との文化の違いに違和感を感じるところだろう。


 ただ設定だけ使って台湾辺りの若者の青春群像を描いたパチ映画などではなく、オール日本ロケで、CGは使わず日本の高橋レーシングの手により峠のシーンは作り上げられている。アジアの有名俳優を使い、制作費は1200万ドル(13億円)と立派な大作映画。中華圏全体が市場なので市場が広い事と、アクション映画では香港映画の方がやはり上。主演の周 杰倫(ジェイ・チョウ)は、プライベートではフェラーリに乗っているそうだが、映画で使った86が欲しかったが譲ってもらえず、オークションに参加して競り落としたそう。しかも競りの相手は父役の黄秋生(アンソニー・ウォン)で、価格は51万元(約700万円)だとか。原作に対するリスペクトはちゃんとなされている。


 元の映画では、広東語が飛び交う様が更に違和感を深めていたらしいが、日本では主に吹き替えで公開された。


 ジャケットの裏が86の運転席になっているという凝り様。


 なんだか良くわからないが、下敷きみたいなものが付いてくる。マウスパッド?


 原作ファンが受け入れられないのは、友人の武内樹役がかなり原作とはかけ離れていること。シルビアを駆る池谷が出ないので、樹と池谷を足して2で割ったようなキャラの設定で、しかも原作では2人がバイトするスタンドのドラ息子になっている。樹役の杜汶澤(チャップマン・トウ)は香港のコメディアンで、ジャッキー・チェンの映画に出てくるようなこてこての香港コメディ映画のノリ。日本人には絶対いないだろうというキャラ。また黄秋生(アンソニー・ウォン)が演じた父親の文太も原作とはキャラが変わっており、ここいらが受け入れがたい点のよう。高橋兄弟も兄の高橋涼介しか出てこない。ただし、CGを使わず実写で再現された峠でのバトルシーンは見事な出来で、原作の溝落としやガードレールぎりぎりを避けて通るドリフトなどが再現されている。また原作前半の山場であるレース用エンジンへの積み替えもちゃんと入っている。


 原作の初期のエピソードを映像化しているが、膨大なエピソードや登場人物を1時間40分に収めるためには設定の変更や省略化も止む得ないし、脚本としても丁重に原作のエピソードを拾っていきながら、かなりよくまとまっている(そもそも日本人が実写化したものでさえ、原作を改変したものは多い)。アンソニー・ウォンの文太キャラも外見的には似ていて、映画のアクセントにはなっていた。以前紹介した、ハリウッド製のワイルドスピード3よりは、全然違和感ない日本が再現されています。


 映画を見て思うのは、この95年頃から2000年代初めに掛けては、スポーツカーも人気があったし、MT車も選べるほどあった。安い中古車も豊富だったので、若者がここに登場する車に乗って峠を走る設定にも無理が無かった。原作やアニメ作品、ゲームなどは依然人気があるけど、現実はエコカーとワゴン車ばかりになって、スポーツカーはあっても高価、MT車はもう事実上選択が不可能なほど限られてしまっているなど、随分と活気がなくなりました。


 ブックオフにて250円で入手したので(アマゾンだと70円から出てる)レビューする気になりましたが、期待してなくて(台湾あたりのパチもの映画だと思ってた)敷居が低かった分、かなり良い作品でした。星★★★★で、お勧め。



参考:Wiki 頭文字D、頭文字Dの登場人物、周 杰倫(ジェイ・チョウ)、黄秋生(アンソニー・ウォン)、杜汶澤(チャップマン・トウ)の項、Blog版香港中国熱烈歓迎唯我独尊

世界最速のインディアン・株式会社ハピネット

2014-03-05 00:41:03 | 映画・DVD・CD

 これは、2005年(日本では2007年)に公開されたニュージーランド・アメリカ合作の映画、世界最速のインディアン


 1967年に1000㏄以下のオートバイ陸上速度記録を樹立した実在のライダー、バート・マンロー(Burt Munro)をモデルにした伝記映画。監督は、13デイズ(Thirteen Days)のロジャー・ドナルドソン、80年代にはトム・クルーズ主演のカクテル(Cocktail)や、ケビン・コスナー主演の追いつめられて(No Way Out)を撮ってた方。主演は、羊たちの沈黙のレクター博士ことアカデミー賞俳優のアントニー・ホプキンズ。


 物語は、ニュージーランドの片田舎で1920年製の古いオートバイ“インディアン”を改造していた主人公が、63歳の時アメリカに渡り、ボンヌヴィル塩平原(ソルト・フラッツ)で行われている最高速度を競うスピード競技に出場するというもの。大作映画ではありませんが、アマゾンをはじめとした各レビューで限りなく★★★★★に近い高い評価を得ている作品。


 実在の人物をモデルにはしているが、ノンフィクションではなく、ハリウッド映画らしい脚色が施されているとのこと。(お金が無いので)家を抵当に入れてお金を借り、ニュージーランドより船のコックのアルバイトをしながらアメリカに渡り、250ドルで車を手に入れてそれでバイクを運びながら、レースの行われているボンヌヴィル塩平原を目指すというロードムービー。レースの規則を知らずにいきなり出場しようとしたり、ブレーキやタイヤが古すぎたり、パラシュート、レーシングスーツなどの安全装備すらないバイクで呆れられたりと、滅茶苦茶な主人公が周りの人に助けられながら挑戦を果たす。


 最初に見た印象では、娯楽作品として成立させるために脚色が施されているのか随分ご都合主義的だと感じた。しかしバート・マンローという人について調べてみると、意外に実際のエピソードに忠実に作られていた。63歳から70歳すぎまで9回も繰り返し挑戦を行っており、映画はこれらの様々なエピソードを一回目の挑戦に詰め込んでいる。このマンローという人、若い頃はモーターサイクルのセールスや親の跡を継いで農場の経営をしながら、地元の草レースなどに挑戦していた。子供が巣立った後で愛想を付かした奥さんがでて行き、農場を売り払った後で、残りの人生をスピードと改造に捧げたらしい。


 マンローと彼のバイク。彼のバイクは1920年製のインディアンという古いメーカーのバイクで、記録を樹立した時点でも40年以上たったもの。もともとは最高速度80キロ程度のバイクで、これを自分の手で300キロ超のバイクに改造している。映画でも冒頭に少しだけその様子が出てきますが、改造部品やチューニングメーカーなどには頼らず、自分の手で金属を溶かしてエンジン自体を作ってしまう程の改造を施していた。SUZUKI隼など現在の最先端のバイクなら300キロ超出せると思いますが、彼のインディアンは空冷のサイドバルブ型という古い形式。映画が荒唐無稽に思えるほど、実在の人物が突き抜けていた。


 もうひとつは、63歳で挑戦を始め70歳過ぎまで続けたという高齢者の夢(生きがい)の側面。主人公は、年相応に狭心症や前立腺肥大に悩まされますが、劇中では恋愛も描かれていて普通に青春映画になっています。夢を見ることに、年齢は関係ないというメッセージを伝えてくる。ボンヌヴィル塩平原でスピードに挑むものは大勢いるわけで、マンローさんも彼らと志を同じくするものの1人に変わりはない。60歳を超えていようが、夢を見る気持ちは若い人となんら変わりがないということだろう。


 また、映画ではボンヌヴィル塩平原へ向かう過程がメインのロードムービーになっていて、その過程で様々な人と出会う。老いたガールフレンドだったり、暴走族だったり、船員たちやゲイ、ネイティブアメリカン、中古車屋、老未亡人、ベトナム帰還兵など。それら(日の当たらない場所にいる)人たちに価値を認め、結果皆が主人公に支援をしてくれる。出てくるのがいい人たちばかりで拍子抜けしてしまうが、実際のマンローさんにも多くの支援者、協力者がいたはずで、それを表現しているのかもしれない。
 

 バイクに興味のない人にまで訴えるものがある映画かどうかは良くわからない。高齢化社会にふさわしい、お年寄りの夢(生きがい)を描いた映画としてみるならば、実に現代的で時代に即したテーマなのかも。


 日本のバイカーの平均年齢は、47歳だか48歳という統計が出ていました。バイクが高価になりすぎたということもあるのだろうけれど、若い人が入ってこずバイクブーム時から乗っている人がそのまま年をとっているという印象がある。マンローさんのように突き抜けた生き方を出来る人は、あまりいないと思われるが、夢や生きがいをもった生き方という意味では、示唆にとんだ映画なのかもしれません。


 ということで、世界最速のインディアンでした。ちなみに、彼が1967年に出した295キロ(非公式では320キロ)という記録は現在まで破られてない。



参考:Wiki 最速のインディアン、バート・マンロー、ロジャー・ドナルドソン、アントニー・ホプキンズ、スピードの神に恋した男の書評をしてある各サイト