goo blog サービス終了のお知らせ 

80年代Cafe

80年代を中心に、70年代後半~90年代位の懐かしいもの置いてます。
あなたにとって80年代はどんな時代でしたか。

スパルタンX Wheels on Meals 快餐車・パラマウントジャパン

2014-01-27 21:36:29 | 映画・DVD・CD

 スパルタンX Wheels on Meals 快餐車は、1984年に公開された香港映画。


 ジャッキー人気が最高潮の時に公開され、ファミコンに移植されたゲームも売れたことから、プロジェクトA、ポリスストーリーと並んで日本では知名度のある人気の高い作品だと思います。プロレスラーの三沢光晴氏がテーマソングを入場曲として使用していたこともあり、映画は見たこと無くてもタイトルだけは知っているという人も多いのでは。


 香港三大スター揃い踏みのオールスター映画で、プロジェクトAに続くジャッキー映画という印象のある本作ですが、実際は原題が快餐車、英題Wheels on Mealsで、サモハンキンポー監督作品。これら、原題や英題は内容をよく現していますが、スパルタンとXという内容と関係ない単語を組み合わせて、ジャッキー映画だとわからせる邦題のセンスが光ります。


 映画は、この頃の香港映画には珍しくオールスペインロケ敢行。地中海のまぶしい日差しと穏やかな気候の下、とにかく明るい無国籍風な映画に仕上がっています。サモハン監督の出世作、燃えよデブゴンは、オールローマロケを行ない本物の外国人格闘家(チャック・ノリス)と死闘を繰り広げたドラゴンへの道のオマージュだそうで、この作品でもそれを意識した部分はあるのかもしれません。


 でも日本公開時には、思いっきりジャッキー主演作品。確かに同時期の五福星などと違って、主役級の活躍はしますが。前述のアイレムが製作して任天堂がファミコンに移植したスパルタンXも、海外版はKUNG-FU MASTER。スパルタンXでは、海外には通じないんですね。またMSX版は、当時版権を持っていたポニカより既にスパルタンXがゲーム化されていたため、聖拳アチョーという投げやりなタイトルになっていた。


 ストーリーは、ジャッキー扮するトーマスとユンピョウ扮するデヴィッドは、スペインのバルセロナで車を使ったファーストフードの路上販売により生計を立てている(この車がスパルタン号)。そこにサモハン扮する探偵のモビーと、謎の美女シルビア(ミス・スペインのローラ・フォルネル)が絡んできて、物語は意外な方向に展開してゆく・・・。


 まだ若くてジャッキー人気も最高潮、ユンピョウも売り出し中という時期なので、基本的にアイドル映画の乗り。ただしサモ・ハン監督作品ですから、精神病院を舞台にした今見ると微妙な展開も盛り込まれており、メジャーなわりには地上波での放送は難しい模様。それでも当時、ゴールデン洋画劇場で放送されました。ずい分カットされたみたいですが。


 日本からコーチを呼んで、当時流行していたスケートボードを使用したアクションシーンが盛り込まれていたり、香港映画としては珍しいカーチェイスが盛り込まれたりと、見せ場は多い。ただし、物語はサモ・ハンギャグ炸裂のかなり間延びした展開で、ラストバトルまでがなかなか長く感じます。


 ここだけ別の次元の完成度を誇るクライマックスシーン。三銃士揃い踏み。ゲームのスパルタンXは、ブルースリーの死亡遊戯を連想させる中華風の塔(?)を上っていきますが、原作ではスペインの古城を攻略。DVD解説で初めて知りましたが、ボス役の役者さんはフェンシングが全くの素人で、ユンピョウが吹き替えをしたのだとか。クライマックスのサモハンとラスボスの格闘シーンは、実はユンピョウと戦っています。


 ジャッキー本人がベストバウトに上げることも多い、本物のマーシャルアーツチャンピオン、ベニーユキーデとのラストバトル。迫力を増すために実際に当てているとか、いろんな話があります。とにかく動きが早く展開がスピーディで、本作最大の見せ場。というかこの映画、ここだけあればいいという気も。


 講談社のジャッキー映画解説本、ジャッキーチェン最強伝説。


 スペインロケによる痛快作と、プロジェクトA、ポリスストーリーと肩を並べる特別な映画としては取り上げてない。


 映画より有名かもしれない三沢光晴氏の入場テーマ曲であるスパルタンX。これも実は日本版のみの日本オリジナル曲。原作では、ジャッキーが歌謡曲みたいな歌を歌っています。作曲のキースモリソンとは、木森敏之氏のペンネーム。ハッ!ハッ!の掛け声を印象的なSEに使った、映画少林寺のテーマ曲もこの方。


 ファッションについても取り上げられてますが、80年代のアイドルっぽい格好をしています。この辺は、現代劇のため仕方ないですが、古くならない時代劇のプロジェクトAと比較して時代を感じさせます。


 当時の思い出としては、ジャッキー熱が最高潮の頃のため、劇場に見に行きました。ゴールデン洋画劇場でもしっかり見てます。ファミコンのスパルタンXも、三沢氏の入場テーマもなにもかも懐かしく、個人的にはジャッキー映画のベストの作品。ジャッキーの黒のタンクトップとドライバーズグローブが、かっこよく思えたものでした。


 ということで、数あるジャッキー映画の中でもジャッキーがひときわ輝く一作、スパルタンX Wheels on Meals 快餐車でした。



参考:Wiki スパルタンX(映画)、スパルタンX(ゲーム)、ドラゴンへの道、サモハンキンポー、チャックノリス、木森敏之の項、ジャッキーチェン最強伝説/講談社、ドナドナを聴きながら

サイクロンZ Dragons Forever 飛龍猛将・パラマウントジャパン

2014-01-24 12:55:08 | 映画・DVD・CD

 サイクロンZ Dragons Forever 飛龍猛将は、1988年に公開された香港製のアクション映画。


 83年のプロジェクトA、84年のスパルタンXに続く、ジャッキー、サモハン、ユン・ピョウの香港3大アクションスターが揃い踏みした作品。このためか、タイトルもカタカナ+英単語の日本独自の意味不明なもの(おそらく響きだけのもの)になっています。英題のDragons Foreverは、この競演作ということを表現していると思われます。


 内容とタイトルが全く一致していないところが凄い。しかし、それでもジャッキーの映画っぽいと一発でわかる。ビートルズがやって来るヤァ!ヤァ!ヤァ!(原題:A Hard Day's Night)、愛と青春の旅立ち(原題:An Officer and a Gentleman)に匹敵する名邦題だと思います。


 原題が飛龍猛将ですから、これではよくわからない。快餐車、Wheels on MealsをスパルタンXとしたことと同様、映画会社担当者のセンスが光ります。当時は、勝手にプロジェクトA三部作と思ってました。


 そして、この映画もう一つの売りが、ジャッキーのベストバウトとも言われるスパルタンXの強敵、ベニー・ユキーデとの再戦。ベニー・ユキーデは、ベニー・ザ・ジェット・ユキーデとも呼ばれたアメリカンキックボクシング(マーシャルアーツ)のチャンピオン。


 物語は、今回のジャッキーは弁護士。養魚場の水質汚染が問題となった訴訟で、相手側の工場の弁護を担当している。そこにブローカーのウォン(サモ・ハン)、探偵のトン(ユン・ピョウ)も絡んできて物語は展開してゆく。しかし、この工場には裏の顔ともいうべき秘密があった・・・。


 3大スター揃い踏み、ベニーユキーデとの再戦にもかかわらず、あまり日本ではメジャーではなく、評価も高いとは言えない作品。ストーリーが、ラブストーリーの要素を含んでいたり、舞台が麻薬工場だったりと、いまひとつ地味に感じることからか。しかもユン・ピョウが精神科に通っていたりと、地上波では微妙な設定も。これはサモ・ハン監督作品ですが、同じく監督した大福星やスパルタンX、ファーストミッションでも似たような設定を入れていたりと、サモ・ハン監督はなぜかこのような設定が好きなよう。


 日本だと全部ジャッキー映画、ジャッキーの新作といった感じで捉えてしまいますが、プロジェクトA(成龍監督)でヒットを飛ばした後、公開された一連の映画、五福星、七福星、大福星、スパルタンX、ファーストミッション、サイクロンZと、この辺はすべてサモ・ハン監督の映画。この当時は、ゲスト出演、カメオ出演しただけのものでも、全てジャッキー映画として公開されていました。


 時期的に日本のバブル期にあたり、服装や小道具、登場するレストランなども含めてトレンディドラマのようなノリもあります。海洋汚染や麻薬工場など暗めのテーマと合わせると、なにか混ぜこぜな印象も。
 

 ただしアクションシーンは豪華。3大スター同士の息のあった戦いや、ベニーユキーデ戦のみならず、ロイ・チャオ(インディジョーンズの中国ギャングのボス)、ビリー・チョウディック・ウェイ(プロジェクトAの海賊親分)、ラム・ウェイ(プロジェクトA2の悪徳署長)、ビリー・チョウ(キックボクシングの元チャンピオン)、ラウ・カーウィン(武術指導家・俳優)、御馴染みジャッキースタントチームのタイ・ポー(ひょうきん)など脇役陣も豪華。ラスボスのファーを演じたユン・ワーは、燃えよドラゴンでブルースリーの吹き替えを担当した事もあるジャッキーやサモ・ハン、ユン・ピョウと同じ七小福のひとり。


 またまた、講談社のジャッキーチェン最強伝説。


 やはり3大スター最後の競演作ということと、ベニーユキーデ戦を取り上げている。


 一般的には、知名度はそれほどでもない作品ですが、ジャッキーファンには評価が高い。


 しょっちゅう共演しているようにも感じますが、3人揃っての主演は3回しかない。五福星 大福星 七福星などでも、一緒に出ていますが、こちらはゲスト扱い。


 個人的な思い出としては、この頃まで来るとジャッキー熱やカンフー映画熱もそろそろ冷めてきた頃。それでも、スパルタンX以来の顔ぶれということで劇場に見に行きました。残念ながらベニーユキーデとの再戦も、スパルタンXの頃のようには乗れませんでしたが、細い鉄骨の上でアクロバットをこなすユン・ピョウが印象に残りました。90年代に入るとジャッキー人気にも陰りが見え初めてきて、一時期不振の時期を迎えます。その後、95年のレッド・ブロンクスで見事ハリウッドブレイクを果たしました。


 ということで、豪華なんだけど地味、通好みなサイクロンZ Dragons Forever 飛龍猛将でした。



参考:Wiki サイクロンZ、ジャッキーチェン、サモハンキンポー、ベニーユキーデの項、ジャッキーチェン最強伝説/講談社

ポリス・ストーリー/香港国際警察 Police Story 警察故事・ユニバーサルジャパン

2014-01-24 01:51:28 | 映画・DVD・CD

 ポリス・ストーリー/香港国際警察 Police Story 警察故事は、1985年に公開されたアクション映画。


 ジャッキー・チェンが監督・脚本・主演・武術指導をこなし、香港映画50周年記念として公開された作品。プロジェクトAと並んで人気、評価とも高い作品で、ジャッキー自身もベストの作品に上げたり、お気に入りの一本としている。大ヒットとなり続編が4本も作られて、2004年には香港国際警察/NEW POLICE STORY(新警察故事)として新作も作られている。


 物語は、香港警察のチェン刑事は大掛かりな捜査の末、香港最大の麻薬組織のボス、チュウ・タオを捕まえることに成功する。チュウを有罪に持ち込むため、裁判を維持するための証人の保護にチェン刑事が当てられるのだが、その過程でチュウの罠により濡れ衣を着せられてしまう・・・。


 現代劇のため荒唐無稽でコミカルな要素は少なく、わりとリアリティを重視した内容になっています。ただ、乗りに乗っている時期のジャッキー映画のため、ストーリーとは直接関係のない部分にギャグが散りばめられています。警察署で留守番をしているジャッキーの元に次々と電話がかかってきて、4、5人と同時に話しているうちに会話の内容が混線してしまうという、ドリフのコントみたいなことやっています。


 しかしこの作品で話題となったのは、やはりスケールの大きなアクション。オープニングではスラム街に車ごと突っ込み、斜面を駆け下り傘を使ってバスに飛び移ってチュウ・タオを逮捕します。ラストではデパートを舞台に大立ち回りを繰り広げ、クライマックスにはプロジェクトAばりのポールを滑り降りる落下シーンが用意されていました。これらは、日本のバラエティ番組でも取り上げられるなどしましたので、ジャッキーアクションの中でも特に有名なシーンの一つだと思います。


 宣伝にも使われたポリスストーリーの顔とも言える白バイに乗るジャッキー。実は、劇中では白バイで活躍するシーンは無い。


 この頃は、若くて乗りに乗っている時期のため動きもシャープで、なおかつワイヤーや特撮も使っていない本物のアクションを見ることが出来ます。公開当時は全然知りませんでしたが、これらのジャッキーのアクションやスタントには、アメリカのトーキー時代の喜劇役者バスター・キートンやハロルド・ロイドの影響があったんですね。後年、ハリウッドで認められたのも、これらによる部分も大きかったのかも。


 2004年に講談社より発売されたジャッキー本、ジャッキーチェン最強伝説。


 ジャッキーの代表作の一つにして、ジャッキー自身のマイベストムービーという紹介のされ方をしています。


 うっちゃんもまねした有名なバスのスタントシーン。このようなシーンからもバスター・キートンの影響やオマージュが見て取れます。


 カンフーアクションもとにかく技の切れがいい。後年のハリウッド進出後のものと比べると、とにかく動きまくる。日本での人気も最高潮の頃で、まさにジャッキー全盛期を代表する一本。


 ヒット作のため続編がたくさん作られているのですが、88年のポリス・ストーリー2/九龍の眼では、なぜか公開時のタイトルは九龍の眼/クーロンズ・アイのみでポリスストーリーの文字は無し。96年の第4作目警察故事4ではファイナル・プロジェクトと、こちらもポリスストーリーの文字はない。そのくせ94年の重案組には、関係ない作品なのに新ポリス・ストーリーの邦題が付けられています。また2004年の香港国際警察/NEW POLICE STORYは、新警察故事と続編ですがストーリー上の繋がりはありません。ポリスストーリーのタイトルを使って宣伝したいんだか、したくないのだか、よくわからない。


 当時の思い出としては、劇場に見に行ったと思います。この頃は、ゴールデン洋画劇場や日曜ロードショウなどでも盛んにジャッキーの映画が上映されていました。ファミコンではありませんでしたが、ポニーキャニオンよりMSXにゲーム化もされていて、デパートの試遊機などで遊んでいた思い出もあります。このポニカのジャッキーゲーム(プロジェクトA、スパルタンX、プロテクター、ポリスストーリー、プロジェクトA2)、面白くないんだけど、なぜかやってみたいと思わせる不思議な魅力がありました。


 ということで、ジャッキー全盛期を代表する一本、ポリス・ストーリー/香港国際警察 Police Story 警察故事でした。



参考:Wiki ポリスストーリー、ジャッキーチェン、バスター・キートン、ハロルド・ロイドの項、ジャッキーチェン最強伝説/講談社


プロジェクトA Project A A計劃・ユニバーサルジャパン

2014-01-20 22:55:02 | 映画・DVD・CD

 プロジェクトA(A計劃、Project A)は、1983年に公開された香港映画。


 ジャッキー・チェンのデビュー10周年に、主演、監督、武術指導、脚本をジャッキーが勤めた記念すべき作品。構想4年、製作に2年を費やしたジャッキーの代表作にして、未だに最高傑作と言われることも多い映画です。また、それまでの酔拳、蛇拳、ヤングマスターなどの古典的な香港カンフー映画から、スピードを重視した現代的な作風へと脱皮を遂げた作品でもあります。


 舞台は、1900年代のイギリス植民地下の香港。ジャッキー扮するドラゴンの所属する水上警察と、ユン・ピョウ扮するジャガーの陸上警察が、反目しながらも協力して、香港の海を荒らす海賊を退治するストーリー。そこへサモ・ハン・キンポー扮する盗賊も絡んできて、当時の香港映画3大スターにして中国戯劇学院の七小福3人組が競演した作品でもありました。

 
 当然、日本でもヒットを記録して、ブルースリーとは異なるコミカルカンフーで注目を集めていたジャッキーの人気が、本物へと変わるきっかけとなりました。中でも有名なのが、20メートルの時計塔からの落下シーン。危険なアクションもスタントを使わず自分でやることが香港時代のジャッキーの売りであり、CGもない時代ですから、実際に3回も落下しています(本編とNG集で3回とも見れる)。その他にも、今見ると計算されつくしたアクションが詰め込まれています。また、若いためハリウッド進出以降のものと比べても、アクションの切れが格段に速い。


 80年代以降のジャッキー人気を決定付けた作品で、続編としてプロジェクトA2、3大スターの競演作として、スパルタンX、サイクロンZと、続々とジャッキー映画が作られていきました。この時代のジャッキーは、バトルクリークブロー、キャノンボール、プロテクターとまだハリウッド進出は成功していませんでしたが、日本での人気は最高潮に達していたと思います。


 続編プロジェクトA2。サモ・ハン、ユン・ピョウの3大スター競演はなりませんでしたので、幾分か地味。それでもゲーム化されるなど、注目を集めました。個人的には、ポニカから発売されてたMSX2版が印象深い。


 2004年に講談社より発売されたジャッキー本、ジャッキチェン最強伝説。マイナーなものからメジャーなものまで、ジャッキー主演の映画を紹介しています。


 当然、このプロジェクトAは、ジャッキー映画の金字塔という扱い。


 当時の思い出としては、劇場に見に行ったよう記憶しています。この頃は、2本立て3本立てで入れ替えもありませんでしたので、新作から、日本で公開されていなかった旧作、主役でなくカメオでゲスト出演したものまで含めて、次々とジャッキー映画が上映されていました。まだゴールデン洋画劇場など、地上波でも頻繁にカンフー映画が放送されていました。その後の漫画やゲームなどに与えた影響も大きいものだったと思います。


 ということで、明るく楽しい80年代ジャッキーを象徴する一本。ジャッキー・チェンのプロジェクトA(A計劃、Project A)でした。



参考:Wiki プロジェクトA、ジャッキー・チェン、サモ・ハン・キンポーの項、ジャッキーチェン最強伝説/講談社

さらば青春の光 Quadrophenia・ユニバーサル・ピクチャーズ

2013-08-19 21:06:36 | 映画・DVD・CD

 さらば青春の光(原題:Quadrophenia)は、モッズと呼ばれる若者たちの青春を描いた1979年のイギリス映画。


 原題のQuadrophenia(四重人格)は、The Whoのアルバムより来ており、原作もThe Whoのピート・タウンゼント。モッズとは、1950年代~60年代にかけてイギリスで起こった若者のムーブメントの事で、映画は実際にあった事件・ブライトンでの暴動を下敷きにしている。


 現在では、モッズヘアーとかモッズコートとか、ファッション的な用語として用いられるモッズという言葉ですが、元々はファッション、音楽などを含めたライフスタイル(生き方)をさす用語。映画の公開された80年代前後には、ネオモッズのブームも来ていたそうです。物語は、モッズに所属する主人公が時代のムーブメントの中で輝いた時間を過ごし、やがてその熱狂的な時間が過ぎてしまうと周りには誰もいなくなって、大人へとなるという話です。時代が変わっても誰しもが経験する事と思われ、だから邦題がさらば青春の光なのです。


 で、さらば青春の光といえば、やはりべスパ。モッズと呼ばれた若者たちはモッズコートと呼ばれるコートを羽織り、ライトやミラーで飾り立てたスクーターに乗っています。これは、彼らのファッションであった細身の三つボタンのスーツを汚さないためにミリタリーコートを羽織り、スクーターに乗っていたのだそうで、飾り立てたミラーも自分を写すためであったとか。


 日本でべスパのムーブメントにも、多大な影響を与え続けている作品だと思います。ただし主人公が乗っているのは、ベスパではなくランブレッタ。また映画に登場するのは、かなり大型のスクーターで若者のムーブメントの中にありますので、少し前に流行ったビクスクの方がイメージとしては近いのかも。


 日本のべスパは、もう少し年齢層が高くて、洗練されたお洒落な感じでしょうか。それでも、本国では一旦生産中止に追い込まれたビンテージシリーズが、(日本での人気が高いため)再生産されたほどの日本のべスパ人気を語る際には、外せない作品だと思います。


 こちらは、マイストのモデルでPK 125。


 映画に登場するもうひとつのムーブメントに、モッズと対立するロッカーズという集団があります。彼らは、革ジャンにリーゼントというスタイルで、ノートンやトライアンフなど市販のオートバイをレーサー風に改造して、その速さを競ったりしていました。彼らがカフェに乗り付けるオートバイのスタイルをカフェレーサー(Cafe Racer)と呼び、こちらも日本でのオートバイの大きな流れのひとつとなりました。あのビートルズも元は革ジャンにリーゼントというロッカーズスタイルで活動しており、デビュー時にはモッズスタイルで売り出されたのだとか。


 YAMAHA SRに代表される単気筒のオートバイに、アルミタンクやマフラーの交換、バックステップやセパハンといった改造を施すスタイルが、日本でも80年代、90年代に流行りました。少し前にキムタク人気でYAMAHAのTWやHONDAのFTRなどでスカチューンというスタイルが流行りましたが、あれもカフェレーサーの流れの中にあるのではないかと思います。


 映画自体はお洒落系ですが、いつの時代にもある若者の熱狂的なムーブメントを描いています。映画やモッズとは全く関係ないですが、個人的には90年代に流行った渋谷系を連想しました。


 個人的には、メーカー製カフェレーサーCB400フォアや、シングルレーサーを標榜したスズキ・グースといったバイクを乗り継いでいて、ドリーム50は本田が60年代の市販レーサーをリバイバルした、まんまメーカー製カフェレーサーだったりと、カフェレーサー系統に乗っていました。ただリーゼントにしたことはないし、革ジャンも持っていたことはありません。ドリーム50に乗る時にはPコートなどを着ていたり、買う際には趣味原付として平行してベスパも探していたりと、スタイルやファッションは、ちゃんぽんであまり関係なかったりします。


 ということで、いつの時代にもある若者の熱狂と祝祭、その祭りの後を描いたお洒落映画、さらば青春の光(原題:Quadrophenia)でした。

参考:Wiki モッズ、ロッカーズ、カフェレーサー、The Who、ピート・タウンゼントの項