経済で読み解く
大東亜戦争
「ジオ・エコノミクス」で
日米開戦動機を解明する
上念司
KKベストセラーズ
を読み終えた。
待ち望んでいたテーマであった。
戦後かなりの年月を経て、戦後
世代が人口の大半を占めてきた。
そして戦争体験のない人が多く
なり、戦争の悲惨さを語り継げ
なくなりつつあると危機感を募
らせている。
思うに、戦争反対の機運を維持
しなければと、必死である。
しかし思うのだ。
あまりにも感情論だ。
冷徹に言えば、誰もが結婚し、
幸せを求めて、己の老後を世話
してくれる子ども確保するとい
う子孫繁盛を目指し、労働力を
確保するという営みの延長上に
戦争があるという事実を意識す
る人は皆無である。
家庭の幸福・国家の繁栄の延長
上に戦争があるのだ。
にも関わらず、戦争の原因の当
事者であることを意識しない感
情論では、戦争を回避できない
という単純な矛盾に目を向けな
い。
あらゆる情報をひっ張りだして
きて、戦争に驀進していく過程
を克明に解説してくれる。
よくぞ、これだけの資料を揃え
てくれたものだ。
さすが、インテリゲンチャだ。
プロの仕事に、驚愕し、敬意を
表したい。
余談ながら、
この中で、マルクス主義者の今
となっては、とんでもない勘違
いが露呈してしまった。
ヒットラーの出現の状況について
も詳しく、驚いている。
政治・戦争について、多くの知見
を与えてくれると信じている。
過去が本当はどうあったのか、よ
く理解する必要がある。
温故知新言うではないか。
まさに、このことだろう。
この本を書いてくれたことに、感
謝している。抱えていた多くのわ
だかまりが解消していく。
ぜひ、英訳で多くの人々に読まれ
て欲しいと願っている。