とある本にあった文章である。
「全景を見渡すパノラマより、
正しく枠取られた風景のほうが
美しい。そんなふうに、バラガン
は言っていたそうよ」
バラガン邸の写真である。
以上。
この文章を読んで、驚いてしまっ
た。
実は、私も最近、そのような感じ方
ができるようになって、びっくりし
ているからだ。
私は、30代に入って、変わりゆく
故郷に衝撃を受け、少しでも、昔
の面影を残そうとカメラに凝った
ことがあったが、その当時の風景
の見方と全く違う見方をするよう
になっている。
当時は、とにかくアップで取りが
ちで、スナップ写真がとれなかっ
た。
最初にそのようなことに気づいた
のは、退職して、とあるカフェで
コーヒーを飲んでいた時である。
窓の外の風景を見ていて、いつも
見慣れていたはずの風景が、もの
すごく存在感のある風景に変わった
からである。
物語を感ずる風景に、驚いた。
何時きても、ユーミンがラブソン
グの一曲でも、作曲してくれそう
な素敵を風景に感じられて、心楽
しい時間を過ごしている。
あまりにも不思議なので、隣の
ベランダに出たり、外の駐車場
から、その風景を見たのだが、
そっけない風景に見えたので驚
いてしまった。
そのカフェは2階にあるのだが、
その2階でも、真ん中の位置か
ら見る風景が「ベスト」なので
ある。
あまりにも、美しくて、愉悦
の時間を過ごしている。
結局、思ったのは、窓枠で
風景が切り取られないと、
そのような印象が湧かない
のに気づいた。
いろいろと思い巡らしてみる
と、そのような窓枠で、区切
られているからこそ美しい風
景に変貌する場所が、多々あ
ることが分かった。
いくつかのリゾートホテルの
コーヒーラウンジから眺める
風景が窓枠による切り取り効
果で、一枚の絵として、風景
が見るものを説得する空間に
変貌することに気づいた。
Yカフェ
Oホテルのコーヒーラウンジ、
Mホテルのコーヒーラウンジ、
Rホテルのレストラン
Dカフェ
等、窓枠による切り取り効果よる
美しい風景が楽しめる場所数え
上げられる。
コンタックスのカメラのボディと
レンズを買い集めたのだが、京セラ
が、カメラから撤退し久しくなり、
修理の目処がつかいなので、全て
処分してしまった。
画像で、紹介できないのは、残念で
ならない。
わたしは、この切り取り効果によ
る美しさを共有できる人がいなく
て、歯がゆい思いをしていたが、
まさか、バラガンがこのような
ことを言っていたなんて、驚き
である。
ただ、相手が偉すぎるのが難だ
が。恐縮する気分だ。
枠取られた風景
ネットから