生きる目的が脳の働きを守る
米チーム、高齢者調査
「人生の目的」を強く意識している高齢者は、認知症の
特徴とされる脳の病的な変化が進んでも、物忘れなどの
症状が出にくいー。
米ラッシュ大医療センターのチームがそんな研究をまと
め、米医学誌に発表した。
生きるのに目的や目標があると、脳の組織が変化して
も、認知機能の低下は抑えられる可能性があるという。
チームは、地域で暮らす認知症ではない246人の高齢
者について、人生の目的意識の強弱を面接方式で調べた後、
亡くなる直前まで毎年、認知機能の評価をした。
死亡後には解剖して、アルツハイマ‐型認知症に特徴的な
タンパク質の蓄積など、病変の程度を調べた。
こうした変化は、認知症と診断されていなくても、高齢に
なるとある程度出てくる。
その結果、目的意識の強さによって脳の病変の進行に差は
なかったが、目的意識が強いグループの方が、認知機能の低下
はゆっくりだった。
人生の目的意識が認知症を防ぐ方向に働くことは、過去の
研究でも指摘されてきたが、実際の脳の病変と結び付けた
研究は初めてだという。
人体の臓器は、傷んでから症状が出るまで相当時間がかか
ることがある。
チームは、脳でも同様のことがあり、病変は進んでも何ら
かの仕組みて脳の働きが守られるのではないかとみている。
今回の調査でチームは、目的意識を「自分の経験に意味を
見いだし、行動する際に意図や目標を持つ傾向」と定義。
10項目の質問で、目的意識の強さを点数化した。
参加者の死亡時の平均年齢は88歳で、最初の面接調査から
死亡直前に実施した検査までの期間は平均3・3年だった。
以上。
興味深い研究である。
昔、修道女がなぜ長命かというテーマの本を読んだが、
今回の記事は、この本の内容とオーパーラップしてくる。
できれば、今回の研究がどの程度、長命と関連するかと
いうことまで、報告してくれたら良かったのにと、思われ
てならない。