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リタイアーのよもやま話

黄金の兜の男

2014-08-16 22:52:30 | 読書

本を読んでいると、レンブラントの話が出た。
彼の「黄金の兜の男」という作品についてである。

なんでも、高倉健が、その絵を気に入って、その
模写をわざわざ購入したそうである。

それで、レンブラントの絵を見てみることにした。

 

この絵は、昔、どこかで見た記憶がある。

しかし、その時は、この絵にまったく関心
を持たなかったようだ。

この絵を久しぶりに、見るのであるが、
今まで気づかなかったことが、分かった。

この男性の複雑な表情である。

以下は、ネットの解説の受け売りである。

暗い背景に浮かび上がる兵士の姿、30年
戦争時の傭兵といわれていますが、その
傭兵が敵の武将から奪った黄金の兜をか
ぶった半身像を描いたといわれています。

というのがあった。

できれば、もっと大きいサイズで見たほうが
表情がよくわかると思うのだが。

しっかりした体つき。口元に感じられる
意志の強さ。強靱な精神。

しかし、深い眉間の皺。うつろな眼差し。

モデルが本当にこの表情で、画家の前に
たったのかが分からないのは、残念だが。

この男、金のために、どれだけ、人を殺し
てきたのだろう。

どれだけ、卑劣な生き方をしてきたのだ
ろう。食うためにとはいえ。

この傭兵が、敵の武将から、いったい、
どういう手口で、兜を奪えたのだろう。

盗んだのか、他人の手柄を横取りした
のか。

一介の傭兵が、ちゃんとした訓練をした
武将と戦って、実力で兜を奪うのは考え
がたい。

 

ところで、この表情に、高倉健が引きこま
れたのがわかるような気がする。

生きて、多くの辛酸を嘗め、多くの不条理に
会い、時に、非情に生き、心に闇を抱えて
生きる。

モデルにそのようなものを感じてやまない。

この絵の評価ができるに、やはり、鑑賞する
側もある程度の年齢を経なければ、厳しい
だろう。

このような複雑な表情をテーマにした絵が
あったなんて、あまりにも勉強不足だった
ようだ。

これは、大人の男の絵である。

やっと、この絵の良さが理解できる歳に
なったようだ。

ただ、この男ほどの心の闇を抱えて
はいないはずである。

人殺しなどは、してきてないのだから。

 

 


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