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リタイアーのよもやま話

put your hands up

2012-01-15 22:20:33 | 音楽

put your hands up

先日、スターパックスで聴いた「put your hands up」、
心地よかったので、曲につられてハミングしてしていた。

途中で、聞き覚えのある歌いやすいメロディーが出てきて、
いい気分で合わせようとしていたら、突然合わせられなく
なって、とまどった。

よく考えみたら、「聞き覚えのある歌いやすいメロディー」
は、昔ヒットした曲の出だしにそっくりだった。

ちょっと、頭が混乱してきた。

You Tubeで、いろいろと調べたら、その曲は、

Elvis Presley - I Can't Help Falling In Love With You

であった。



懐かしい、懐かしいフォービートのリズム。こもり
がちな響きにエコーがかかるノスタルジックな世界。

どうして、このようなことが起こったのか、定かでは
ないが。

この響き、このリズム、わたしたちの世代の10代の世界
だ。

エルビス・プレスリーそのものは、若いころそれほど
関心があったわけではないが。

実は、子どもの頃、このような曲を聴くのは、不良
と思われていた記憶がある。

この響きは、紛れもなくわたしたちの青春の響きでも
ある。真空管アンプの世界、まだ、モノラルの時代の
響きだ。この響きが、わたしたちの音響的な出自であ
る。

今や、ICレコーダーでは、わたしたちの若い頃には、
望みようもない、あの時代の感覚からすると、完璧
な雑音なし音響が得られる。

音響的には、20代のはじめ、音響機器に凝りだした
頃の、夢に到達している。


ところで、同じような経験が前にもある。


それは、ビギンの「島人ぬ宝」である。同僚の職員に
教えたもらった時、松山千春の「大空と大地の中で」
にそっくりで、びっくりしてしまった。

「島人ぬ宝」の綴りを確かめるために、ネットで確か
めたら、同感の投稿が、多数あって、これもびっくり
した。

「島人ぬ宝」を歌っていても、途中で「大空と大地の
中で」にどうしても、すり変わっていった。

「大空と大地の中で」は、若い頃、けっこう好きで、
歌っただけに、印象深い経験であった。

今では、そのような混乱もなく、歌える。似通って
いるのは、苦しいが、歌詞とセットにして考えると
沖縄のポップス史に残る曲になると思う。

それはさておき、エルビス・プレスリーの名曲の
フレーズが、図らずも坂本龍一のピアノ曲に出て
くる。

とんでもない経験になったものだ。

それはそうと、「I Can't Help Falling In Love
With You」、心地よい世界だね。

この演奏、音程がちょっと疑わしいが、愛おしい
世界だ。テクニックを超越して残る世界、これは、
これで、大切なことかも知れない。

この響きが、時代を表現する。

薬物死したことは、不幸だが、音楽家冥利だ。

以上。

と、put your hands upについて、書き終えた
と思ったら、どうしても、気がかりなフレーズ
が脳裏に残った。

そのフレーズを、何度か口ずさんでいるうちに

「I Can't Help Falling In Love With You」の
曲とは違うフレーズであることに気づいた。

何度も、口ずさんでいるうちに、やっと、そのフレ
ーズがだいぶ前に、お気に入りに登録して聴きこん
でいたトランペット曲のフレーズであることに気づ
いた。

この曲も、青春の曲だ。

やっと、捜し当てた。

星空のブルース(ベルトケムプフェルト楽団)

である。

この曲、いわゆる「ブルース」というリズム、社交
ダンスを踊った世代にとって、懐かしいリズムでは
ないか。

若者に、社交ダンスが踊られたのは、おそらく、団塊
の世代の20代で終りで、その後、ディスコにいったから、
今の現役世代がこの曲調には、親しんだ経験は、大方
ないと思う。

曲の出だしが印象的で、トランペットのポルタメントは、
大変懐かしい。

スターパックスで、心地よく聴いていた「put your
hands upに、自分の青春が潜んでいたなんてね。

こんなこともあるんだ。

以上。


と、これで、完了と思ったのだが、またまた、気がかり
なメロディーが出てきた。

そこで、そのフレーズを繰り返し、繰り返し、確かめた。

でました。

懐かしいメロディーが。

それは、高校の音楽の教科書に載っていたシャンソンで
あった。

そこで、You Tubeで検索をかけて、探し出した。

ありました。これである。

Lucienne Boyer - Parlez-Moi D'Amour [1930]
(聞かせてよ愛の言葉を)

である。

put your hands upの出だしのメロディーが、リズムは、
少し変わっているが、本質的には同じメロディーである。

スターパックスで聴いた「put your hands up」に、
初めて、聴いたはずだのに、自然と口ずさみたくなった
理由があったのだ。

わたしが少年時代に聴いていた曲のフレーズが少しずつ
混じっていたのだ。

驚きである。


坂本龍一、ウィキペディアによると、

坂本 龍一(さかもと りゅういち Sakamoto Ry?ichi、
1952年1月17日 - )は日本のミュージシャン、作曲家、
編曲家、音楽プロデューサー、ピアニスト、キーボー
ディスト。

である。

わたしより、3歳年下だ。

団塊の世代の経験が重なるギリギリの年代である。

世界的な音楽家である彼は、数多くの音楽を聴き込んで
きたと思うので、本人さえも、そのことを気づいていない
かもしれない。

わたしが、30代前半に、劇音楽を作るために、シンセ
サイザーに凝りだした頃、彼は、すでにYMOで、有名に
なっていたはずだ。

クラシック畑のわたしには、テクノポップが馴染めず
彼の音楽をちゃんと聴いたことはない。

名前だけしか知らなかった坂本龍一に、今回のハプニン
グで、何かしら親しみを禁じ得ない。

「島人ぬ宝」と「大空と大地の中で」の驚きも
遠い昔のことになり、この二つの曲は、しっかり
と別々の曲に聞こえるようになった。

put your hands upの心にしみ入るような音楽が、オリジ
ナルな世界に聞こえてくるようになることを願ってやま
ない。