週刊朝日 2011.812号にあった記事である。
タイトルは、「おかしなことが起きている」
である。
以下、抜粋。
国やマスコミが積極的に放射能汚染の危険性を話す
ならまだしも、どちらかいうと火消しにやっきになっ
ている。
今が大切で、後は野となれ山となれ、といった感じだ。
先行きのわからない今後のことを心配するのは、未
来につけを残してはいけないと考える真心のある大人
か、子供のいる親だろう。
これらの人々は、国や東電の言い分をそのまま報道して
いるテレビや新聞の情報を鵜呑みにしない。
いろんな場所から情報を集め、少なくとも自分の頭で
考えるということをしはじめている。
それはいけないことなんだろうか。責められるよう
なこと?
1カ月前から、子供のいる親から依頼を受け、ボラン
ティアで学校や公園の放射線量を測りにいくということ
をはじめた。
自治体は数値の低そうな場所を探して測っているみたい
だが、逆にあたしと依頼してきた親は数値の高そうな
ところを探して測る。
べつに、自治体に逆らいたいわけじゃない。
その地域にこれからも住みつづけることを考えれば、
汚れているところを奇麗にしなきやいかんと思うだ
ろう。
自治体は高い数値が出ると、その地域から住民がいなく
なると考えているのだろうか。
そういった考え方は学校も同じで、数値の高い場所
の報告をすると明らかに迷惑そうだ。その学校に子供
を通わせている母親に、「自治体に任せてあるから、
勝手に測るな」などといい出す始末。
どうも、教師なら子供のことを一番に考える、という
のはあたしの幻想であったみたいだ。
とにかく今、世の中ではおかしなことが起きている。
真剣に地域の今後(それはそこに住む子供のことでも
ある)を考える人間は、その地域のコミュニティーから
仲間外れにされ虐められる。
今の自分の立場しか考えられない、視野の狭い人間に
よって。
以上。
また、次の記事も大変気になる内容であった。
放射能
2百キロ圏内でがん患者40万人!?
ECRRバズビー博士が警告
7月に緊急来日したECRR(European Committeeon
Radiation Risk=欧州放射線リスク委員会)科学委員長の
クリス・バズビー博士(65)が東京・千葉・福島で講演し、
文部科学省が小中学校での被曝限度(安全基準)をICRP
(国際放射線防護委員会)勧告の最高限度線量の年間20ミリ
シーベルトまたは毎時3・8マイクロシーベルトとしたこと
について、「そのような汚染地域に子どもたちを置くことを
許すのは無責任で、何かしらの健康障害と死をもたらすこと
になり、どのような文化社会においても許されない」と日本
政府を批判し、福島の子どもたちの速やかな避難を促した。
ちなみに日本の一般人の年間許容被曝限度は、法律で1ミリ
シーベルトと定められている。
「原爆による放射能の被害をあれほどひどく被った日本が、
過去15年間の研究で疫学的にも論理的にも誤りで時代遅れの
ICRP勧告に盲目的に従った結果、いま自国の子どもたち
と親たちを犠牲にしていることは極めて悲しく、また皮肉だ」
と語り、福島原発事故の健康への影響は、原発200キロ圏
内で今後10年に20万人、今後50年に40万人を超えるがん患者が
発生すると警告した。
これはECRRが日本の公式発表の情報に基づいて予測した数
だ。
ECRRは1986年のチェルノブイリ原発事故のあと、I
CRPやIAEA(国際原子力機関)のリスクモデルが「放射
線の影響を過小評価している」との懸念から97年に結成された
国際的な科学者集団で、独自のリスクモデルはICRPより
ずっと厳しい。
バズビー博士は現地調査でチェルノブイリに入った科学者仲間
をがんで亡くしており、来日に当初は慎重だったが、子どもの
集団疎開を求めて福島地裁郡山支部に仮処分を申請している
「ふくしま集団疎開裁判の会」の弁護団の招聘に応じた。
バズビー博士は、原発推進者たちの「ただちに健康には影響が
ない」という主張が、現場周囲でのセシウムなどのガンマ線量を
基礎としており、より危険なウランやプルトニウムといったアル
ファ線放射性核種からの内部被曝をまったく考慮していないと
指摘する。
「本来なら放射線量がその地域のバックグラウンド平常値の
2倍を超えるか、毎時O・3マイクロシーベルト以上になったら
できるだけ早く安全な場所へ避難すべきだ。
私が日本に来たのは、世界を変えるため。
福島で起きた事故で多くの人が振り返り、考える機会を得たはず。
原爆被害国である日本が、次の新しい世界をつくる契機にして
ほしい」と呼びかけた。
以上。
「2百キロ圏内」について、何か情報はとネットを検索したら
次のような話があった。
20世紀の最大の原発事故となった チェルノブイリ原発の爆発事故。
これと福島原発の爆発事故を比べます。
チェルノブイリから西側には300km飛散しています。東北東には500km
だそうな。福島原発から東京までの距離は230kmだよ。
とある。
また、次のような話もあった。
チェルノブイリ事故では広島原爆 800発分が放出されました
(図2参照)。
福島第一原発事故では、広島型原発の20個分の放射性物質が
放出されたということです。
ということで、クリス・バズビー博士の主張をどのように、
受け止めるか、ちょっと困難だが、
「本来なら放射線量がその地域のバックグラウンド平常値の
2倍を超えるか、毎時O・3マイクロシーベルト以上になったら
できるだけ早く安全な場所へ避難すべきだ。~」を参考に
すべきなのか。いろいろと迷うところである。
ところで、この記事にこういう文章がある。
ちなみに日本の一般人の年間許容被曝限度は、法律で1ミリ
シーベルトと定められている。
であるが、今日のヤフーのニュースに、次ぎのようなニュース
があった。
以下、ニュース。
子どもの甲状腺から放射線検出
8月13日 16時48分
東京電力福島第一原子力発電所の事故のあと、福島県内の
1000人以上の子どもの甲状腺を調べたところ、およそ
半数から放射性ヨウ素による放射線が検出されたことが分
かりました。
専門家は「微量なので、健康に影響が出るとは考えにくいが、
念のため継続的な健康管理が必要だ」としています。
この調査結果は、13日、東京で開かれた日本小児科学会で、
広島大学の田代聡教授が報告しました。田代教授らのグループ
は、国の対策本部の依頼を受けて、今年3月下旬、福島県
いわき市や飯舘村などで、1149人の子どもを対象に甲状腺
への被ばく量を調べる検査を行いました。
その結果、およそ半数の子どもの甲状腺から放射性ヨウ素
による放射線が検出されたということです。田代教授に
よりますと、甲状腺への被ばく量は100ミリシーベル
ト以上に達した場合に健康に影響が出るとされています。
しかし、今回検出された放射線から換算される甲状腺への
被ばく量は、子どもへの影響を最大限に考慮しても、最も
多い人で35ミリシーベルトで、「健康に影響が出る値で
はない」ということです。田代教授は「微量なので将来、
甲状腺がんが増えるとは考えにくいが、万が一の場合にも
対応できるよう継続的な健康管理が必要だ」と話していま
す。
検査の結果は、来週以降、国の対策本部から子どもや保護者
に通知されることになっています。
以上。
このニュースでは、
今回検出された放射線から換算される甲状腺への被ばく量は、
子どもへの影響を最大限に考慮しても、最も多い人で35
ミリシーベルトで、「健康に影響が出る値ではない」と
いうことです。
いう解釈が出ている。
しかし、前述の
ちなみに日本の一般人の年間許容被曝限度は、法律で1ミリ
シーベルトと定められている。
という考え方と齟齬が生じるがどういうことなんだろう。
それはそれとして、「おかしなことが起きている」の記事で
あったように、できるだけ放射能には触れないことにしよう
という動きも蔓延しそうである。
結果として、「後は野となれ山となれ」になりそうだ。
これだけの放射能に汚染されては、汚染疲れして、誰も責任
がとれなくなった。
はたして、どうなっていくのだろう。
ところで、もっと怖い話があった。
サンデー毎日、2011.8.14号には、こういうのがあった。
余震でフクシマ倒壊「Xデー」
▼3.11後M5以上500回。〝余震地獄〟で劣化加速
▼河田東昭中央防災会議座長「東電はまだ〝情報
隠し〟している」
「3・11」から4カ月余、東日本一帯を襲う余韻は
いまだ終息する気配がない。防災・原子力関係者の
間では、福島第1原発「倒壊のXデー」がひそかに
ささやかれているのだ。
以下、抜粋。
気象庁によると、東日本大震災ではM5を超える
規模の余震が550回、このうち原発に近い福島沖や
福島浜通りを震源とするM5以上の余震は82回発生して
いる(7月29日現在)。
「今回の地震では、陸側に沈み込んだ太平洋プレート
がその上部を削り取る『構造侵食作用』が起きたと考え
られる。
南北800キロに及ぶ『沈み込み帯』が陸のプレートを
削り取った結果、周辺の歪みを戻そうみして起きるのが
余震です。
しかも新たな滑り面(断図面)が作られた可能性が高く、
余震規模が大きいのはそのためでしょう」(巨大地震の
メカニズムに詳しい地質学者の柳井修一氏)
「爆発した原発は耐震評価不能」
骨格だけの残骸にしか見えない原発施設に、果たして
余震を耐え抜く強度は残っているのか。
6月末に原発担当首担補佐官を退任した馬淵澄夫衆院議員
は、「事故後の耐震性は検査済みだ」と明かす。馬淵議員
によると、東電は崩壊した建屋の柱や梁を3次元レーザー
計測し、耐震強度判定を行った。この計測ほうは1秒間に
5000発前後のレーザー光を対象物に照射、反射光が戻
ってくる時間で対象物の正確な形状を計測するシステムだ。
「計測の結果、4号機の使用済み核燃料プールだけは倒壊
の危険性を考慮に入れて判定されました。水素爆発で吹き
飛んだ屋根などのガレキが、プールに落下したことが原因で
す。
現在、各号機とも最大M8までの余震に耐えられる状態です」
(馬淵議員)
先述したように、4号機の使用済み核燃料プールは確かに
耐震補強された。
だが、この計測法による耐震判定はどこまで正確なのか。
冒頭の原発コンサルタント幹部は「水素爆発を起こした原発の
耐震評価は不可能です」と断言する。
例えば、4号機では資材を積載したトラックの出入り口で
ある大物搬入扉が内側から膨らみ、破損していることが確認
された。
この幹部によれば、水素爆発による爆風が原因とみられる。
さらに映像資料を解析したところ、1、3号機では水素爆発
で生じた火災が建屋下部で確認された。爆発による、こうした
建屋への負荷は元々想定されておらず、データが存在しない
いう。また、メルトスルーによる高温状態に長時間さらされた
格納容器に近接したコンクリート壁、漏れ出した核燃料が穴を
開けた可能性がある格納容器直下のコンクリート基部―などの
耐震強度を評価する手段はない。
幹部によると、融点2800度の核燃料に対して同800度
程度のコンクリートは、事故の初期段階でボロボロに劣化した
とみて間違いないという。
「原子炉建屋は、水素爆発で弱くなった部分が余震の揺れで
壊れ、倒壊を招く恐れがある。新たに建造された循環注水冷却
システムは耐震性が考慮されていない可能性がある。
配管や浄化装置が余震で破損すれば作業員が大量被曝し
しまいかねない」(前出・原発コンサルタント幹部)
さらに余震そのものの脅威に加え、「東電の〝報隠し〟が
余震対策を遅らせている」と憤るのは、「中央防災会議」
(会長=管直人首相)が設置した「東北地方太平洋沖地震を
教訓とした地震・津波対策に関する専門調査会」(委員17人)
の座長、河田恵昭・関西大教授(防災危機管理論)である。
河田氏は「東日本大震災復興構想会議」の委員も務める
防災の専門家だ。
「事故収束過程の中で最重要なのが余震対策です。余震は
2年後も続いているかもしれず、かつ原発周辺で直下型地震が
起こらない保証はない。
だが、東電が関連データを表に出さないことで、中央防災会議
ですら原発の危険度や地震・津波対策の有効性を評価できな
状態です」(河田氏)
河田氏によると、原発施設の具体的な補強箇所、破損した配管
及びその修繕状況などの全体図面などは、余震対策を構築するう
えで不可欠な資料という。
加えて、東電が専門調査会に対して余震対策に関わる専門的な
助言を求めたことはなく、地震や津波の知見の〝宝庫〟である
中央防災会議は、余震対策に関して完全に蚊帳の外に置かれた
まま没交渉の状態が続いている、というのである。
「原発が倒壊すれば大量の放射性物質が再び放出され、作業
員の立ち入りすら厳しくなる。高線量の格納容器内が確認でき
ていない以上、水蒸気爆発のリスクも消えていない。
コンクリート壁で建屋全体を覆う〝石棺〟を実施すれば余震
対策になるが、〝水棺〟に固執する現政権では無理だ」(前出・
幹部)
廃炉まで30年ともいわれるフクシマ。破局の「Xデー」を回避
すべく、英知を総動員してほしい。
以上。
これである。
この記事の中の次ぎの話には考えさせられる。
幹部によると、融点2800度の核燃料に対して同800
度程度のコンクリートは、事故の初期段階でボロボロに
劣化したとみて間違いないという。
「原子炉建屋は、水素爆発で弱くなった部分が余震の
揺れで壊れ、倒壊を招く恐れがある。新たに建造された
循環注水冷却システムは耐震性が考慮されていない可能
性がある。
配管や浄化装置が余震で破損すれば作業員が大量被曝し
しまいかねない」(前出・原発コンサルタント幹部)
以上。
一体全体、どれだけのダメージがあったのだろう。
廃炉まで30年ともいわれる。
30年の間にこれだけのダメージを受けた建物の老朽化は
続いていく余震、台風などによる塩害によって、猛スピ
ードで進行するはずだ。
そして、その廃炉まで30年の間、南海地震、関東直下地震
等が発生する可能性は充分にある。
はたして、福島原発は、持ちこたえられるだろうか。
猿の惑星では、アメリカは原爆の放射能で汚染されて、ニュー
ヨークは立入禁止区域になってしまった。
福島原発からどれだけの区域になるのか知らないが、原発
倒壊の放射能汚染で、膨大な立入禁止区域ができかねない。
これは、充分に考えられることだが、どうなるのだろう?
そうなると、復興事業で投じた膨大な投資はどうなるのだ
ろう?