森林ジャーナリストの裏ブログ

表ブログに書けない、書く必要もないドーデモ話をつらつらと。

天然林は環境省に?

2006-12-13 01:57:13 | 政策・行政関係

日本の天然林を救う全国連絡会議」が、発足した。

目的は、国有林内の天然林で伐採事業が続いていることを追求することのようだ。メンバーは、以前からさかんに天然林の違法伐採を取り上げて国会議員などにも請願していた。

たしかに、林野庁もしくは作業を請け負った素材生産業者が、かなり無茶な伐採をしていることはよく聞く話だ。範囲を越えて伐採しても、「地図を見間違えた」と言えばオシマイだからね。そういえば鈴木宗夫が失脚させられた疑惑も、違法伐採した会社に関するものだった。

それは結構なことで、どんどん追求すればよいのだが、そこでこの会が掲げる政策は、天然林の管理を環境省に移管することだそうだ。請願書を国会、内閣に提出する気らしい。

環境省に移管したら、天然林が守れるというのは、あまりに浅はかだろう。だいたい環境省に森林の専門知識を持つ職員の数がどれほどいるのか。環境省の管轄にしても、違法伐採の取締などできるわけがない。逆に荒れるだけだ。

 

とはいえ、私も昔は、林野庁は、国有林を手放したら?と主張したことがある。とくに木材生産を行う人工林は、研究用は別として都道府県当たりに分譲すべきではないかと考えた。そして各種の保護林は環境庁(当時)に任せる。残すのは、研究・実験調査用の森林だけにする。

その方が、借金に追われて苦しまず、林野庁も肩の荷を下ろして楽になるのではないか。そして政策提言と民有林や公有林の管理監督官庁になればよい……という主張だ。
お役人が、ビジネスとしての森林経営をするのは得意ではないし、民業圧迫にもなる。また、完全に手つかずで残すだけの森林なら環境庁で十分だからである。

ま、今も同じ意見ではないが、不得意なものは手放すのが得策だと思う。環境省も、広大な天然林の管理なんて嫌がるのではないか。

 


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13 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
天然林 (田中淳司)
2006-12-13 06:21:52
 天然林を皆伐してしまえば再生できませんが、択伐すれば天然更新でき、活性化します。
 木曽の国有林も、天然林は江戸時代に大量に択伐されましたが再生しました。
 これからの林業は天然更新を主流にしていくべきだと思います。
天然林施業 (田中淳夫)
2006-12-13 11:14:26
誤解しがちなのは、天然林は人の手を一切入れなくてもよい、という意見ですね。でも、本当によい森にしたければ、ある程度の択伐なども必要です。
完全に原生環境を残すつもりの森林以外は、天然林でも管理に手間がかかるでしょう。

だから、環境省に任せられるのか? と思うわけで。

すべての森林が、択伐と天然更新に向いているとは言えないけれど、厳密に選べば可能だろうし、その方が手間とコストを抑えることもできると考えています。

もっとも、この意見は、えてして林野庁の手抜きと捉えられがちかな?
自然とか天然とか (Unknown)
2006-12-13 17:00:41
環境省で生物多様性国家戦略とかやってるので受けるのでは?
というか、税金を投入するには林業生産というより環境とか生物多様性といった方が投入しやすいと思ってみたり

日本はせまいと言っても実際山にはいると広いから、あの面積の管理・・・実際想像できない
景観よくて人が入るところだと奥入瀬渓流の落枝訴訟みたいなリスクもあるし
もう環境省に押しつけちゃえ

人も自然の一部だし、今の日本の山林は人為的な影響をかなり受けて成立してるって思ってるオイラには
この集団ちょっと原理主義的でイヤーンな感じもするけど
だいたい戦後復興期の伐採を問題にしながら、その背景には言及しとらんし
この都市住民が!
「天然林」という表現 (じん)
2006-12-13 18:51:36
ニュースではなかなか詳しくわからないですけど、連絡会議のサイトを見ると
http://www.geocities.co.jp/tennenrin461/
まあ当然ですけど、「国有林の天然林」を対象にしているわけで、「原生的自然環境」の話ですよね。それを「不伐の森」にせよっていうのは、この時代の普通の国民は同意するでしょう。
 しかし、「いや、これは人工林でした」なんていう逃げ道もないわけではなく、連絡会議の名称の「天然林」の解釈は議論の余地ありすぎかと思いますが。

この件、TBさせていただきました。
このページを見る限り怪しい (青木)
2006-12-13 22:12:50


 この団体の代表者名、連絡先住所、電話番号などの案内がない又は、非常にわかりにくいところに書いてあるのか。

 やる気のないホームページデザインのため編集ソフトを見ると、ホームページビルダー使用。

 上記の点は私の信用できないサイトチェックポイントにズッポリ当たってました。

 いっそのこと、予算に余裕がありそうな国土交通省に移管する手もありそうな気がしますが。
国土交通省 (田中淳夫)
2006-12-13 23:54:32
連絡会議の事務局、福島県にあったんですね。
ここで扱う「天然林」は、いわゆる雑木林(若い森)は外した、いわゆる原生林(高林齢の森)を指しているようですが、その区分はともかく、環境省に不思議な期待をかけているんだなあ、と。

私は管轄主体がどうのというよりも、マンパワーの点で林野庁以外が請け負えるのか疑問があります。

ただ、国土交通省というのは穴場ですね(笑)。たしかに治山を砂防と言い換えると、森林管理もおかしくない。お金も政治力もありそうだし。
Unknown (sto)
2006-12-14 21:34:09
林野庁も環境省もとにかく「人材」が居ないのが弱いところ。
そう考えると、マイナスの方に大きく振れるリスクはあるものの、国交省管理てのは面白そう。
国土交通省もやる気があるかも (青木)
2006-12-14 21:48:02
高速道路サービスエリアで間伐をやりましょうとうたった国土交通省のパンフを見たことがありますから、まんざらやる気がない事もないかもです。
国交省と森林 (田中淳夫)
2006-12-14 23:51:05
国交省も、河川-流域-水源、そして国土保全という観点からは、山林への興味はかなり持っているようですね。

でも、森林も川も整列させられてしまいそう…(笑)
国交省と森林 ・ (田中淳司)
2006-12-15 07:20:32
 治山・治水で国交省がやってきた事は、コンクリートで固めただけですよね。応急処置はできましたが、自然破壊の一翼をになってますね。
 でも最近は自然に配慮して、間伐材を利用した堰堤ができてます。森林にも配慮する考え方が芽生えてきました。

 21世紀~22世紀は環境がメインになるような気がします。人間も自然界の一部です。生態系を無視した生活はできません、自然と共に生きるしかありません。

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