最近、森林組合関係でよく出る話題は、
「今後、5年間は食える。仕事に困らない」である。
なぜなら、政府の「美しい森林づくり」構想で、5年間で330万ヘクタールの森林整備(ようするに間伐促進ですな)をすることが決まったからだ。言い換えると、5年間は仕事が作られるということだ。もう一回言い換えると、森林整備に補助金をつぎ込むということ。
森林組合がホッとしているのもわかる。が、これでよいのか?
せっかく危機感から進み始めた意識変化や改革への動きが、この政策で見事にしぼんだのが感じられる。森林組合の幹部はたいてい高齢だから、5年間は長い。当面、あくせくしないで済むとなれば、気が緩むだろう。しかし、5年後にもっとも影響を受けるその下の世代は…。
国も、国際公約の二酸化炭素削減になりふり構わないのだろうが、そのために改革の芽を摘むことになるのは残念だ。
仮に森林吸収分を達成しても3,8%だからなあ。ほかの分野も加えても、いったい何%の削減が実現するやら。6%削減というのは、1990年に比してだから、現状からは実質14%以上の削減を実行しないと公約破りになるわけで、ほとんど絶望的だ。
ところで、丹波の森林ビジネス塾の受講生の中には、これまで手にしたこともないビジネス書を読み始めた森林組合員もいるそうだ。早くも意識が変わり始めている。
期待しよう。
そして、もし増えるとすれば、その収入は持続的な森林経営のために使われるのですか?
そうでなければ、5年後は今よりも悪くなると言うことではありませんか?
だから、その収入を活かせるかどうか、怪しい。
単なるカンフル注射のような延命治療になるだけのような気がします。カンフル剤が切れた時、どうなる…。
予算削減の中、魅力的な話ですね。でも、この処置が本当にうまく機能するのか、疑問です。
昔、農業分野でウルグアイラウンド予算がありました。今までやれなかった、予算の通らなかった事業が次々と発注になりましたが、結果は、どうだったでしょうか?マスコミの餌食になった事業がかなりありましたね。
ハードに予算が付きやすい点は、わかります。これからは、ソフトやシステム作りに予算を振り分けておかないとこの分野は、生き残れないでしょう。
基礎研究、新製品開発など大学も含めた民間への予算導入も視野にいれるべきでしょう。
国産材の材価が上がってくれば、当然今まであった補助がなくなるということを000組合は知っているのでしょか?
>国産材の材価が上がってくれば、当然今まであった補助がなくなる
知らないだろうなあ。考えもしない。
現場の人が目先の利益を考えるのは、ある意味しょうがないとかもしれませんが、国こそ長期展望を持ってほしい。
政府としては、国際展望(国際公約の遵守)を優先したのでしょうが、それが森林林業の将来展望を危うくするとしたら、どちらが重要か。空間と時間のせめぎ合いでもあります。
それにしても、外務省が推進するならともかく、農水省が推進してはいけない。
森林組合職員の知人もこぼしていました。
山持ちさんから負担金を取ってでも間伐をしろという組合幹部に疑問をぶつけ、
年金で細々と暮らしている山村のお年寄りに負担金を要求できるのかって憤ってる。
国はもちろん、カンフルだけでなく最先端の研究や、
それと現場とをつなぐシステムのことも考えているはずと思います。
でも、まだ血の巡りが非常に悪い。
国産材の材価があがれば、当然補助はなくなるだろう(公益的機能の分の評価はどうなるんだろう)し、
国産材間での競争も激しくなると思うけど、
材価があがるというのが現実味を帯びて考えられないから
のんびりしちゃうのかなあ。
個別に見れば、そんなに悪くない政策も、各分野の連携ができていなかったり、過去と未来とのつながりがないと、うまく機能しない。
それこそが、公的機関の役割だと思うんですけどね。