森林ジャーナリストの裏ブログ

表ブログに書けない、書く必要もないドーデモ話をつらつらと。

田舎の医療

2006-12-23 18:02:26 | 田舎・田舎暮らし

おそらく全国的に報道されていないだろうから、ここで紹介しておく。

10月ごろに話題になった、奈良県吉野郡の大淀病院である。8月に妊婦が意識不明に陥り、高度医療の病院に搬送しようとしたものの19の病院に断られ、とうとう亡くなった事件を起こした。病院は叩かれ、遺族は訴訟を準備しているようだ。
ここは、奈良南部唯一の産科だったが、その唯一の常勤産科医が退職を表明、産科は来年3月に閉鎖することになった。

予想していたとおりの展開だ。

この病院が誤診していないとは言わない。また遺族への対応が十分だったかどうかもわからない。が、この事件の本質は、そういうことではなくて、高度医療の受け入れ先がなかったことだと思う。誤診そのものは、大なり小なりどこの病院にもあるが、それをフォローする体制があれば大事に至らず、次の糧となる。

しかし、フォローがない中でギリギリの医療を行っていれば、結果的に大事となる。そして病院は責められ、医者も辞め、医療は先細るのではないか。

テレビドラマの「Dc.コトー2006」は終わったが、このドラマの危険な点を一つ。僻地医療が医者個人の力に頼っていることを美しいように描いていることだ。ドラマはドラマだが、バックアップ体制のない医療は恐ろしい。


このままでは、田舎の医療は消滅するだろう。学校と病院の消滅は、田舎の消滅に直結する。


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2 コメント

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その通り (アオキ)
2006-12-25 12:44:41
 こちらにも個人的努力で毎日診断していただける先生がいらっしゃいます。元村営診療所、今は市営診療所を管轄する市は、個人的努力を市である自分たちの成果として、いつでも診療できる体制があることを前提に救急体制計画を立ててます。

 うーーん。

トラックバックさせていただきました。
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窮すれば… (田中淳夫)
2006-12-26 23:45:37
トラックバック先、見せていただきました。

なるほど、このとおりなら合併による支所の閉鎖を逆手にとった緊急医療体制が作られたことになりますね。救急車でなければ人員もなんとかなるし、コストも少なめで済む。
窮すれば、なんとかアイデアは出るものです。
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