森林ジャーナリストの裏ブログ

表ブログに書けない、書く必要もないドーデモ話をつらつらと。

個人技

2007-10-16 00:54:30 | 田舎・田舎暮らし

今度行く山の中(^o^)の宿に電話した。

 

実は、先に行政の人が仮予約入れてくれている。テレビの番組でも取り上げられた(旅番組ではないよ)そうで、だから安心して電話したのだが、そこで面食らった。

 

まず、男の声なのだが、挨拶がなってない。さらに仮予約した日付を言うと、帳簿?予約表? を探しているようなのだが、見つからない。どこや、どこにやったんや、違う違う、それやない。くそ、ちゃんとわかるようにしとけよ……。探して見つからないことをなじっている声が丸聞こえ。保留にもしていないのだ。

 

完全に素人のおっさん。

 

ようやく見つかったのか、予約を確認できたのだが、ほとほとイヤになった。断ろうかと思うほど。が、そこで急に電話の相手が変わった。女将らしい。

すぐに失礼を詫び、テキパキと説明してくれる。要領やマナーがいいというより、人柄の良さとやり手のイメージが浮かぶ。

 

なるほど、この旅館はこの女将で保っているのだろう。もし最初から女将が出ていたら、気持ちのよい宿として印象に残ったはずだ。だが、その代わりができる人はいないのか。

 

先の電話主がその夫なのかどうかはわからないが、まったく従業員教育が行き渡っていない。この宿の良さは、女将の個人技なのだ。これはほめ言葉ではない。だから、ダメなのだ。
ここに、田舎の辛さ・問題点を感じた。田舎にも人材はいる。優れた人が、優れたビジネスを展開して成功するケースもある。が、広がらない。個人技では、その人が欠けた途端に崩壊する。システマティックな教育・経営理念がを確立していず、個人の資質や努力に頼った経営は、危険なのだ。せっかく生まれた点が線や面にならないのである。


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7 コメント

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危機感 (トニー)
2007-10-16 10:41:19
この状況が、まさに林家の問題です。農地や山の管理をして生計を立てていた家の次の世代が農地や山がなくても生活できる状況になっているのです。管理の方法が現世代の引退とともになくなってしまいます。個人農家林家経営の伝承システムは世代引継ぎなのです。農地はまだ、短期間に作業を会得できますが、山は退職後に個人で習得しようとしても無理です。自分の山の位置、林内の状況など教科書を見ても分からないことがたくさんある。この旅館の番頭?さんのように接客(山の管理)の方法を習得する気がなければ、それはもう技術が伝承できないのです。ましてや、その家の父親は自分の子供と同じように、作り育てた山も、次の子供にしてみれば他人の子に見えてしまいます。教育もしつけも小遣いもやらなくていいと思ってしまいます。回りの状況を見ると、個人の家単位では山林管理の技術伝承は既に復旧不可能な状況になっているようです。では、どうすれば伝承のシステムが出来るのでしょうか?いい知恵があったら教えていただきたいです。
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林業技術 (田中淳夫)
2007-10-16 15:31:31
そうか、林業技術も個人技で伝承システムが確立されていないか。

これは単に「学校」を作るという以前の学ぶ意識を磨かないといけないから難しいですね。
でも、技術(接客も山の手入れ法とも)によって、どれほどリピーターの数が変わるか、能率が変わり収益に影響するかをはっきりさせれば、目の色変わると思うな。誰だって実入りをよくしたいもの。
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いい会社をつくりましょう♪ (赤い車のクロロン)
2007-10-18 14:06:02
お久しぶりです~~♪
田舎だけじゃなく、経営理念の浸透していない会社多すぎますよねぇ~~~(嘘言ったり、ごまかしたり・・・メッ!!)

サービスはかけ算だと習いました。
一人でもゼロがいると、すっごい他にサービスがあってもゼロだと。
このお話の場合、当てはまりますね。

普通にやって、当たり前。少しいいサービスだと満足。泣けるほど心をうつサービスがあれば感動。
感動レベルのサービスができれば、リピーターになってくれる・・・だから今私たちは何をすべきか・・・って常に考えながら、うちの会社動いています。(頑張ってみんなの背中を押しています)ちょっとずつ変わりつつあります。また来てね!
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よい経営 (田中淳夫)
2007-10-18 16:39:13
そうか、クロロンさんも、ほぼ同業でしたね。

よい経営というのは、個人技ではないですね。まったくの個人業種(私がそうか)ならともかく、関係者の総合技です。どこか欠けると、一生懸命やっている人の努力も台無し。

また、クロロンさんの「会社」も訪れますよ。どんなサービスか楽しみ♪。
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Unknown (高木 幸子)
2007-10-19 14:19:17
 身につまされるご意見です。
個人事業家の中には、結構こういう感じの企業が多いのではないかと思います。
 有能な初代創業者が、何もかも全部を把握し、全部を自分が動かさなくては気が済まない。権限委譲、適材適所の配置が出来ないため、いくら有能であっても
人一人の力量を超えることが出来ない。よって、企業として、限界を迎えることとなる。
 まさに、我が家ではここ数年、こんな状況下にあります。
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企業の限界? (田中淳夫)
2007-10-22 23:25:10
高木さんも、同業?それに近い形態なんですか。

もし個人事業として終わらせるつもりなら、一人が全部把握していて結構なんですよ。私もそうだし。それでも、私がいないときに電話に出た娘がちゃんと応対してくれるとホッとします。
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Unknown (高木 幸子)
2007-10-23 12:23:01
 近いと思います。
田中さんが書かれたように、まさに「個人の資質や努力に頼った経営」なのです。
 人に協力させるためには、「伝達」を密にして、意思疎通を図らなければならないのに、それをしない。 自分の過去の栄光と能力に驕り、人(家族の協力者)を罵倒する。
 全て自分の判断でことを進める。
 忠告が耳に入らない。為に冷静な判断ができず、行動を誤ることになる。
 他人にことさら気を遣い、うまく使いこなせない。
 結果、侮られ、詐取されること度々。
 
おっしゃるとおり、個人事業としてならいうことはないのですが、いまだに大きくしたい、後を継がせたいという夢を持っていて、がむしゃらに働き続けているので困っています。

 

 
 
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