森林ジャーナリストの裏ブログ

表ブログに書けない、書く必要もないドーデモ話をつらつらと。

書評・「森づくりの明暗」

2006-06-28 11:08:35 | 書籍・映画・番組など

長崎行の際にも読んでいた本を、昨晩読了。

 

『森づくりの明暗』 内田健一著 川辺書林

 

著者は、岐阜の森林文化アカデミーの講師だった人で、2004年の夏に生徒らとスウェーデン・オーストリアの林業を視察旅行した際の記録。単なる紀行記ではなく日本の現状と比較しているので、ヨーロッパの林業を知ることができるだけでなく、森づくりの現場から日本の林業の現状も浮き上がる。帯にもあるが、「日本の森づくりに足りないもの」が見えて来るのだ。ついでに森林文化アカデミーの内実もかいま見得る。

 

登場する生徒の一人は、私が取材したことのある人だった。もしかしたら著者ともその際に逢っているかもしれない。理想的な森林学校に見えても、なかなか難しいようである。

 

ただ、内容には多少突っ込み所もあり、森林認証制度FSCに関しては理解が足りないようなところもあるし、水文関係、日本の森林史などの記述には?もつく。それに、はっきりとは書いていないが、速水林業には反感を持っているようだ(^^;)。日本の伝統技術やにこだわりがあるらしく、新しい試みに批判的な面もある。
木材流通の問題には、何も触れていないのも残念。欧米の林業の進んでいる最大の点は、こちらだと思うんだけどね。

ともあれ、海外からの視点を入れて、見えてくる日本林業がある。


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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
生産と環境 (じん)
2006-07-09 21:50:54
ここが空欄だったので、TBアンドコメントを入れさせていただきます。

「日本の森づくりに足りないもの」

それはカネじゃないですか。って、あながち冗談とも言い切れませんが。



そういえば、なぜか全森連の会長に福島の方が就任したようです。「森林環境税」の効果でしょうか。なわけないか。
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多すぎるもの (田中淳夫)
2006-07-10 00:17:22
誤解を恐れずにいうならば、日本の森づくりに多すぎるのは、金だと思います。アホほど補助金ばらまいていますから。



可能ならば、全林業関係補助金がないところから林業の再構築をやってほしい。
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多面的機能の維持コスト (じん)
2006-07-10 20:31:39
たしかに、農林業は補助金によって支えられてきたのが現実ですけど、現在はどうなんですかね。

森林組合などの意識改革は必須条件としても、直接支払い的な「環境支払い」による森林管理を増やさないと、各地で「森づくりの担い手」が絶滅するように思いますが。

まあ、今狙っているのは「環境税」の導入でしょうか。
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