長崎行の際にも読んでいた本を、昨晩読了。
『森づくりの明暗』 内田健一著 川辺書林
著者は、岐阜の森林文化アカデミーの講師だった人で、2004年の夏に生徒らとスウェーデン・オーストリアの林業を視察旅行した際の記録。単なる紀行記ではなく日本の現状と比較しているので、ヨーロッパの林業を知ることができるだけでなく、森づくりの現場から日本の林業の現状も浮き上がる。帯にもあるが、「日本の森づくりに足りないもの」が見えて来るのだ。ついでに森林文化アカデミーの内実もかいま見得る。
登場する生徒の一人は、私が取材したことのある人だった。もしかしたら著者ともその際に逢っているかもしれない。理想的な森林学校に見えても、なかなか難しいようである。
ただ、内容には多少突っ込み所もあり、森林認証制度FSCに関しては理解が足りないようなところもあるし、水文関係、日本の森林史などの記述には?もつく。それに、はっきりとは書いていないが、速水林業には反感を持っているようだ(^^;)。日本の伝統技術やにこだわりがあるらしく、新しい試みに批判的な面もある。
木材流通の問題には、何も触れていないのも残念。欧米の林業の進んでいる最大の点は、こちらだと思うんだけどね。
ともあれ、海外からの視点を入れて、見えてくる日本林業がある。
「日本の森づくりに足りないもの」
それはカネじゃないですか。って、あながち冗談とも言い切れませんが。
そういえば、なぜか全森連の会長に福島の方が就任したようです。「森林環境税」の効果でしょうか。なわけないか。
可能ならば、全林業関係補助金がないところから林業の再構築をやってほしい。
森林組合などの意識改革は必須条件としても、直接支払い的な「環境支払い」による森林管理を増やさないと、各地で「森づくりの担い手」が絶滅するように思いますが。
まあ、今狙っているのは「環境税」の導入でしょうか。