久しぶりに大阪に出た。そして久しぶりの大規模書店へ。
そこで見つけたのが、『“林業再生”最後の挑戦』(天野 礼子著 農山漁村文化協会)である。副題は、 「新生産システム」で未来を拓く だ……。
この本そのものは知っていたが、あまり興味がわかず、また実物を目にすることもなかったのでこれまで読んでいなかった。
そこで立ち読み(^^;)を始めたのだが……基本的にはインタビュー本で、聞き書きだ。そんなに本人が林業や森林を論じている内容ではない。
とはいえ、驚きだ。サブに入っているとおり、中心の記事は、林野庁が始めた「新生産システム」の紹介なのだが、それは紹介の域を越えて、べたぼめなのである。これまでダム反対などでさんざん政府批判を行ってきた人の本とは思えないほど。
すでに幾度も書いてきたが、私は、「新生産システム」に一応賛成している。何も動かなかった以前の林政と比べたら一等マシで、とりあえずは成功を期待している。が、同時に「新生産システム」の危険性も十分に感じている。結果的に潤うのは大企業だけであり、下手すると山を破壊する施業を推進しかねない。とくに再造林が進んでいないことは、非常に心配している。
だから、ここまで新生産システムを持ち上げられると、逆に違和感が湧いてきた。いつから林野庁の回し者になったの?といいたくなった。
あくまで立ち読みだから、隅から隅まで読んだわけでもない。もしかしたら読み落とした部分があるかもしれない。それなのに評するのは失礼かもしれないが、とても買う気になれなかったよ。印象としては、話を聞いたままの付け刃的林業紹介本というところかな。
なお、記事は、ほかにも多くの林業・木材産業に関わる人々が登場する。
「話を聞いたままの付け刃的林業紹介本」という印象は共通です。
「いつから林野庁の回し者になったの?といいたくなった。」
天野さんは、林政審議会の公募委員として新たに任命されたようです。結局、そうやって官庁とのしがらみが強くなっていくと、なかなか歯に衣着せぬ発言というのは出しにくくなるのじゃないかと思います。
良質の木材にはもはや手遅れでどうしようもありませんが、
治山のため、何とか使うことができる木材資源とするために何が何でも行う必要があります。
山が崩れて、災害復旧費やコンクリートによる治山工事に大金を使うことを考えれば、それより少ない費用でまかなうことができます。
最大の課題を無視して「新生産システム」などあきれてしまいます。
また新生産システムのような生産性を重視する政策をとるなら、当然、皆伐面積の規制などをあわせて行う必要があります。
おお、これこそ日本の森林と林業を救う道だ! と。
十分に、危険性を読み取れなかったんでしょうね。
それに、これだけの人数のインタビューは、個人で行ったのではないでしょう。何か雑誌の連載とかで行ったような気がします。すると、媒体の性格が出るからなあ……。(自戒)
治山問題については、改めて。