ジブリのアニメ映画「風立ちぬ」を見た。
またもや、見事なミスリード。宣伝文句や世間に出回っているレビューと、内容は大きく違っているではないか。オーガストウォーズと一緒?だ。
たいていの紹介文には「零式艦上戦闘機(零戦)を設計した実在の人物、堀越二郎」が主人公となっている。それは事実だ。ただストーリーは架空だし、基本は妻となる菜穂子とのラブストーリーと行ってよい。それも大人の。が、ミスリードなのはその点ではない。
いかにも零戦を設計するまでの苦悩を描いているかのように語られ、なかには「物語は零戦を造るまでで、その後の活躍や敗北は描かれていない」とまで解説しているレビューもあった。
違うのだ。このドラマには零戦は登場しないのだ。
そもそも上記のポスターにある飛行機は、零戦ではない。
翼が逆ガル式(Wを描いている)のは、零戦ではない。堀越次郎がつくった飛行機の中では、9試単式戦闘機だけだ。それも試作1号機だけで、2号機は真っ直ぐな水平翼になっている。この2号機が正式採用されて96式艦上戦闘機になる。
この成功の次に任された12試艦上戦闘機こそが、零式艦上戦闘機、つまり零戦になる。
だが、映画は9試1号機を完成させたところで終わっている。わずかに最後、焼け野原を歩く堀越の心象風景(夢?)の中で、零戦らしき残骸がたくさんあったが……。
宮崎駿は、零戦をつくる堀越次郎を描きたかったのではなく、飛行機が好きな堀越が初めて成功させた9試で終わらせたんだな。(その前の7試は見事失敗。墜落したのではなかったっけ。)でも、宣伝上は、ネームバリューから零戦を大きく取り上げざるを得なかったのだろう。
また空を飛ぶシーンは、たいてい夢の中である。そこで浮遊感を出しているが、全体として地味。沈頭鋲の話を延々とやったり、登場人物みんなが「おー!」と感心するイッピンは、単なる金属板だったり(超ジュラルミン製なんだけどね)、マニアックすぎる。
さらに背景となる大正から昭和初期の歴史も知らないと話している内容が理解できなかったりする。ストーリーも、簡単に数年飛ぶし……。
ちなみに、先にも書いた通り、これはラブストーリーである。戦前が舞台もかかわらず、キスシーンの多いこと(^o^)。初夜まで描いている。子供連れで行った親は困ったかもね。
いや、子供は映画館内を走り回ったり、退屈でしゃべりだしたりしていたよ。まったくもって連れてくるな! と叫びたかった。
……でも、また見たくなる映画だな。。。
数行に垣間見ました。(^^;
最後に残骸として登場する零戦こそが、宮崎駿の描きたかったものではないか、と。そう考えると、やはり零戦が主人公なのかもしれん。。。
これくらいでは飛行機ヲタにはなりませんぜ。