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ジュナは、ヘジャの“時間を巻き戻せる時計”と言う言葉を、自分への同情からでた嘘だと思いました。
それが普通の反応ですよね。
それでも、とても嬉しかったようです。
その後、酔っぱらって正体をなくし醜態を見せたヘジャを、おんぶして家まで連れ帰ってくれましたしね。
朝になって、家族からその様子を聞かされ、ますます自己嫌悪に陥ってしまったヘジャでした。
両親からこっぴどく叱られ、兄からも散々言われ放題。
それでも、ヘジャはこの時が幸せだったと思えるでしょうね、後になって考えると。
その夜、ヘジャはリヤカーを引っ張ってるジュナの祖母を見つけました。
坂道で困っていたのを、後ろから押して助けてあげました。
そのお礼にと、ジュナ祖母がご飯を食べていけば?・・・と言ってくれ、断れなくて、ご馳走になることに。
そこにジュナも帰宅したもんだから、3人で和やかな食卓を囲むことが出来ました。オカズは決して豪華じゃありませんでしたが。
ジュナ祖母は、手作りのネギキムチまでお土産に持たせてくれました。
ジュナが送ってくれました。
ジュナは、お礼を言いました。時間を戻すと言ってくれたことが嬉しかったのです。
愛されて育ったことが分かりました・・・と。
そして、自分は未熟だと分かっているから、完璧にやろうとしてしまうと言いました。未熟な部分があったら、弱味になると思ってしまうからと。
愛情不足ですねとヘジャが言いました。
ヘジャは、自分の未熟さを好きじゃないけど、嫌いじゃないと思えるのです。
「自分自身を愛してください。そうすれば、寛大になれます。」
ヘジャのその言葉を、ジュナはいい言葉だと思いました。
二人は、また一歩近づき、親しい友人という関係になれました。
ジュナは、近くのビルの屋上にヘジャを連れて行きました。
そこが町で一番見張らしの良いところだと。
気になっていたことを聞きました。昼間、偶然、ソヒョンと一緒にいるところを見かけていたのです。
ジュナは正直に答えました。
突然呼び出されて、付き合おうと言われたけど、断ったと。
ヘジャ、ふ~ん・・・と、気の無いフリをしましたが、見えないところで、密かにほくそ笑みました。
アナウンサーになるのを諦めたことが家族にばれてしまいました。
うっかり、兄に話してしまったのが、敗因でした。
当然、大騒動。
だって、アナウンサーになるために頑張っていると思っていたからこそ、いろんなことを大目に見ていたんですから。
こっぴどく母から叱られました。
でもね、父が庇ってくれたのです。
こうやって大騒動を繰り返しながらも、両親からの大きな愛情に包まれているヘジャは幸せでした。
ところが、翌朝、それが一変してしまったのです。
父が、暴走トラックに追突されて、死んでしまったのです。
パニックになった家族。
号泣するヘジャの頭をあの時計のことが過りました。
時間を巻き戻せば良い。事故が起こる前に!事故を防げるように!
慌てて自宅に戻って探したのに、時計はありません。
思い出しました。酔っぱらった勢いで、ジュナにあげてしまったんです。
ジュナのところに駆けて行き、時計を返してもらいました。
その様子が変なのを、ジュナも感じましたが、事情を聞きたくても、その時間もありませんでした。ヘジャはとっとと駆けて行ったからです。
何度も何度も時計を巻き戻しました。
でも、戻るのは、事故の起こる日の朝、ヘジャが目覚める時。
どんなに必死に駆けて父を呼んでも状況は変わらず、事故が起こってしまうのです。
ゴミ置き場にあった自転車で追いかけても、間に合いません。
そのうち、ヘジャ自身も事故に遭ってしまったりして。
数えきれないほど、時計を巻き戻したのに、状況は変わりません。
ヘジャは、絶望してしまいました。
そして、いつものように食堂で焼酎を飲んでいると、そこにジュナが。
様子が明らかにおかしいヘジャを、ジュナは心配しました。
あなたならどうする?・・・と、ヘジャが聞きました。
「絶対に救いたい人なの。どんなことをしても救いたい。でも救えない。同じ状況が繰り返されるけど救えないの。どんなに頑張っても無理なの。」
「それでも救うんだ。救いたい人なんだろ?どんなことをしてでも救いたい人なら何度も挑戦するんだ。」
ありがとう、その言葉が聞きたかったの・・・と、ヘジャは言い立ち上がり、店を出て行きました。
出ていく寸前に一度ジュナを振り返りました。少し微笑んで。
まさか、これが最後だったの?
ヘジャは、また、時計を巻き戻し巻き戻し挑戦しました。
そしてもう何度目か分からないくらいの後、やっと成功したのです。
そして、次にヘジャの目が覚めた時、姿は変わってしまっていたのです。
父の無事な姿を見て、泣きながら喜ぶヘジャを、両親と兄はあっけにとられた表情で見つめていました。
不審な状況に驚いたヘジャ。
でもね、すぐに分かりました。
鏡に写るのは、25歳のヘジャではありません。
顔も、手も、老人のそれでした。
ショックを受けたのは、ヘジャだけじゃありません。
最初は、気のふれた老女が突然現れたとしか思えなかった両親と兄。
いくら自分の名前はキム・ヘジャで、25歳だと言っても信じることはできません。
でも、あまりにも自分達家族のことを知りすぎています。
大混乱です。
と言っても、大騒ぎするのではなく、それぞれが何も言えず黙りこみ、呆然とするだけ。
ヘジャは時計を巻き戻せば良いと思い、必死にネジを巻こうとしました。
ところが、動きません。
時計屋に修理を依頼しても、どこの店でも断られました。古すぎると言って。
どうすれば良いんだろう・・・ヘジャは絶望し、部屋に閉じ籠りました。
家族も同じです。
目の前の老女がヘジャだと理解しようとしました。受け入れようとしました。でも、理解できませんし、心が受け入れません。
でも、家族はヘジャをありのままに受け入れようと決心したのかな?
ヒョンジュとサンウンには、ヘジャの言う通り、ドイツにいる叔母のところに遊びに行ったと言いました。
何日も部屋に閉じ籠ったままのヘジャ。
ジュナは、あの食堂にも顔を見せていないヘジャのことがきになっていました。
食堂の主人は、ドイツに旅行に行ったらしいと言いました。
何も言わないで行くなんて・・・と、ジュナは寂しくなりました。
そのジュナにも事件が起こりました。
ジュナの母は既に亡くなっているのですが、父親は随分前から別居していました。
この父親が諸悪の根元のようです。
前科も複数あるようで、年老いた母親からお金をせびる時だけ顔を見せるようです。
ジュナは、父親を嫌っていました。
その父親が、また帰って来たのです。ジュナのいない間にまたお金をむしり取ろうという魂胆。
ところが、ふいにジュナが帰って来たことから、親子喧嘩になっちゃった。
で、堪忍袋の緒が切れたジュナは、自作自演の暴行罪で父親を警察に通報しちゃった。
前科者の父親ゆえ、血まみれのジュナの証言を信じた警察は、父を逮捕したのです。
ジュナ祖母は、何とも言えない表情で見ていました。
そんなろくでなしの人間でも、祖母にとっては息子です。
見捨てることが出来なかったのです。
翌日、警察に行って、一部始終を打ち明けてしまったようです。
ジュナ、ごめんね・・・と、祖母。
それが最期の言葉になりました。
ジュナが仕事から帰宅すると、祖母は亡くなっていたのです。
自殺じゃないよね?
ジュナは一人でお葬式をしました。
誰も来てくれません。
唯一、来てくれた男性は、花輪も無いのを見て、注文していました。
この人が誰なのか、まだ分かりません。
その時、ジュナ父が泣きながら駆け込んで来ました。
刑事も一緒でした。
ジュナは祖母が息子の味方をしたと、その時知ったのです。
優しくしてきた孫の自分より、ろくでなしでいつも苦しめられてきた息子の。
ヘジャは、化粧をし、着替えて家を出ました。
ジュナが連れて行ってくれた、あのビルの屋上に行きました。
あの時はなんでもなかった階段が、今のヘジャには大変な労力を要しました。
町の明かりを見ながら、ヘジャは泣きました。
その時、ビルの下では、ジュナがビールを飲んでいました。
二人とも、一番お互いが必要な時だったかもしれません。
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