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ドジェの家族も、皆優しい人で良かった。
祖父イム会長も、義父も、ショックを受けながらも、ドジェのこれまでの苦しみを思いやりました。
サラが言った“少しの欠点も許さなかった”と言う言葉にも、怒ることは無く、頷きました。
あれほどドジェとドジェ母が頑なに隠して来たのが、バカみたいに思えるほどです。無駄な努力に思えました。
サラが、その場で婚約を破棄すると宣言しました。
愛していないから・・・と。
サラ父は、あっさり許しました。
こうなったのも、それぞれの欲心が招いた結果だと、それぞれが納得し、反省しました。
5人が本当の家族になれたようです。もう、嘘も隠し事も無い・・・。
チェ・ギホがドジェの病気の事を知っているとサラが言いました。
家族総出で、これに対処する決意をしました。
結束力もすごいです、この家族。
サラが変わったのは、勿論、ウノのせいです。
密かに付き合い始めました。
ま・・・密かにと言いう言葉は正しくありませんね。まだ公になっていないと言うだけで、本人たちは一切隠していません。
ウノの妹アラムには、あっさりばれました。両親には内緒にしてます。騒ぎになるのは目に見えてますから。
でも、続けてセゲ&ドジェにもばれました。食事に行った店でバッタリ会っちゃったから。
ドジェは、兄としてやはり気になってたようで、サラの好きな人のことが。ウノだと知って、意外性に驚きました。
ドジェは社員にも自分の病気について告白しました。
失望するものはいませんでした。
皆、ショックを受けましたが、これまでの神経質なまでのドジェの性向の理由が分かり、同情し受け入れました。
いっそうドジェへの忠誠心が高まった気がします。
キム理事の耳にもあっという間に伝わりました。
ギホが秘密にしていたドジェの弱点というのがこれか・・・とキム理事は思いました。
すぐにギホに連絡しました。
切り札を失ったことになるギホは、激怒してサラのところに行きました。
怒りをサラにぶつけるギホ。
サラは動じず、婚約破棄を突きつけました。
更に怒りを募らせたギホがサラに向かって手を上げました。その手を掴んだのはウノ。
なんと、神出鬼没というか、タイミングばっちりというか、ドラマというか・・・。
サラが呼んでいたんだそうで。
「私が何を捨てるか、見せたかったから。」
と、サラは言いました。
「僕も全て捨てたい。」
ウノが言いました。
ギホはその足でドジェの元に。
今度はドジェに怒りをぶつけたのですが、ドジェの方がもっと手ごわいことをギホは知らなかったようです。
「下手に出てたのは、お前が怖いとか必要とか言う理由じゃない。ただ一つ、妹のためだ。」
そう突き放され、凄まれたんじゃ、ギホはもうタジタジ。
案外弱い奴でしたね、ギホ。もっとしたたかと言うか、執念深い奴かと思ってましたよ。
ま、この件はあっさり片付きましたね。
幸せでした。
セゲもドジェもすべてが上手く行っていましたから。
お互いの問題が解決したわけじゃありませんでしたが。
セゲはずっと気になっていたことを、ドジェに聞きました。
こうなってしまった事故のことです。
しかし、これが二人の関係を一気に変えてしまったのです。
ドジェが相貌失認になった事故。それは、セゲが初めて変身しパニックになって街を彷徨っている時、車にはねられそうになったのをドジェが助けたモノでした。
セゲも覚えていました。
倒れた自分の近くに、大量の出血をして倒れている青年がいたことを。
それが、まさか、ドジェだったなんて・・・。
ドジェは、母と別れた父が危篤だと知って、ヨーロッパに行きました。息子に会いたがっていると聞いたからです。
街中を歩いている時、一人の老婆が駆けて来て車道に飛び出したのを見たのです。
おそらく反射的にドジェも駆け出したのでしょう。老婆を突き飛ばしました。
が、自分ははねられてしまったのです。
長い間ドジェの意識は戻りませんでした。
付き添う母は、ひたすら息子が目を開けるのを待っていました。
その間に、ドジェの実父は亡くなったみたいですね。
そしてある日、やっとドジェが意識を取り戻したのです。
でも、ドジェが母を見て発した一声は、
「どなたですか?」
セゲは話を聞いて、全てを知りました。
ショックなんてもんじゃありませんでした。
家に帰らなきゃ・・・と突然言い出し、送るというドジェを断り、逃げ出すようにドジェの家を出て行きました。
涙が止まりません。
自分のせいでドジェが一生苦しみを背負う事になったと分かりました。
なのに、そうとも知らず、出会った頃からドジェに心無い言葉をたくさん投げつけて来ました。
ドジェの苦しみを知っているからこそ、自分の罪が如何に重いか、分かりました。
飾っていた変身した写真を、払落しました。
傍にはいられない。笑う資格も、愛する資格も無いと思いました。
手が傷だらけになりましたが、気づきません。
ドジェから電話が入りました。セゲの様子が気になったのです。
ドジェの心配する声を聞きながら、セゲは何も言葉が出ませんでした。
しばらくしてようやく話し始めました。
「よく聞いて。全て私のせいなの。私のために病気になったの。初めて変身した時、事故に遭ったの。ウミと行ったヨーロッパ旅行で。10年前のことよ。」
ドジェ、呆然と聞いていました。
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