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“ジス”のデバイスを持ち出したことを、ハウォンには言えませんでした。
ソウにとって、そのデバイスは、ジスそのものだったのかもしれません。
ハウォンとソウは少しずつ、本当に少しずつ近づいています。
そのじれったいほどのゆっくりとした空気感が私は好きです。
たいていの作品では、主人公たちの恋愛はあっという間に表に出るし、あっという間に恋人同士になるところを、ハウォンとソウは本当に半歩ずつ進むような感じです。
でも着実に距離は縮まっていますし、ハウォンがソウを好きになる可能性が1%からかなり上昇しているのは確かです。
ソウは、イヌクの弾く自作曲を聴いている時に、ふいにジスのことを思い出しました。
ノルウェーから電話をかけて来た時、偶然、ホールで録音したイヌクのこの曲をスタジオで流していたのです。
「いい曲ですね。」
と、ジスは言いました。怖いのに、美しい・・・と。
雪に閉じ込められ、不安に苛まれているけど、その曲の美しさは分かると言ったのです。
デバイスのせいかも・・・とソウは思い、カバンの奥にデバイスを仕舞いました。
そして、これがジスが最後に聞いた音楽だとソウは気づきました。
その時、ハウォンから電話が入りました。
「場所でもなく、疲れでもなく、俺が眠れたのは、君がいたからだ。今もいてほしい。会いたい。」
ソウ・・・駆け出しました。
駆けながらジスに言いました。
もし、ハウォンがあなたを忘れたら、私が思い出すから・・・と。
だから許して・・・と言う気持ちだったのでしょうね。
ところが、ハウォンの家にもうすぐ・・・と言う時、デバイスがカバンから落ちたのです。
ソウの足が止まりました。
そして、引き返したのです。ジスが・・・ジスの魂が自分を止めたと感じたようです。
ハウォンは、ソウのそんな姿を見ました。
ここまで来てくれたのに、何故?と後を追いました。
ソウはスタジオに戻りました。
イヌクが気分を害していました。突然、何も言わずにいなくなったからです。
スタジオに急用ができたから・・・とソウはハウォンにメールしました。
ならよかった・・・とハウォンは返信しました。
拒否されたわけじゃないと思えたのでしょう。ただ、躊躇しただけだと思ったのかもしれません。深読みのハウォンですから。
イヌクは自作曲を何曲か用意し、ソウに選んでくれと言いました。
アルバムの前に数曲先行リリースするのはどうかと、以前ソウが提案していたのです。
ソウは、一枚の楽譜をイヌクに差し出しました。
あの曲です。ジスが最後に聞いていた曲。
それは、ソウが採譜したモノでした。以前ホールで録音した時、採譜していたのです。
ダメです、弾けません・・・とイヌク。
「この曲が誰かの苦しみを癒すかもしれません。数秒の間でも、私は救われました。」
その言葉を聞いて、イヌクは弾く気持ちになりました。
ハウォンは知り合いの医師に、存在しない筈の触感を作り上げる計画について助言を貰いに行きました。
実現できるかもしれないけど、医療だけに使われるとは限らない、悪用されることもある筈・・・と医師。
止めます・・・とハウォンは言いました。案外あっさりと決断しましたね。
ミンジョンがソン医師の治療を止めると申し出ました。
自分は健康だし、先生の指示に従う必要は無いと言いました。
ソン医師は、AIの事もあるし、中断したくはありません。あれこれと理由をつけましたが、ミンジョンはきっぱりと断りました。
最後の手段とばかり、ソン医師はAIの事を打ち明けました。
ミンジョンそっくりですよ、ただ陽気だと言う事を除けば・・・と。
ミンジョン、興味が湧きました。そのAIと話したいと言いました。
ソン医師はチャンスとばかり、ハウォンに承諾を得ようとしました。
丁度、ハウォンは医師に助言を得て帰ろうとしたときでした。グッドタイミングです
ハウォン同席の上、控室でAIと向き合ったミンジョン。
AIが反応して話を始めました。
明るい声のAIに、ミンジョンは怒りが湧いて来ました。
あまりにもノー天気なのが許せなかったのです。大切な娘を失ったと言うのに。最後に手も取ってあげられなかった母親なのに。
「どうして生きてるの」
涙がこぼれ落ちました。
ミンジョンの娘は白血病で亡くなりました。
仕事ばかりでなかなか会いに行けなかった娘。
その娘の危篤が知らされた時、ミンジョンは娘の元に駆けだしました。
ハイヒールを脱ぎ捨て、必死に走りました。
だけど、一瞬、間に合わなかったのです。彼女が伸ばした手の先で、娘の伸ばした手が落ちました。
最後に母親の手を必死に求めていたのに。
手を握ってあげたかった・・・とミンジョンは泣きました。
伸ばしたミンジョンの手を、ハウォンがそっと握りしめました。
ミンジョンは、両手でハウォンの手を握りました。
誰かの手を握ったことで、ミンジョンは精神的に随分落ち着いたようです。
ハウォンは、やはり研究を続ける意味があるかもしれないと感じたかも。
ミンジョンが毎日SNSにアップしてるのは、娘が推薦してくれてたレストランやカフェの食事でした。
それを見て、娘はあれこれと批評してくれていたようです。
娘がいなくなった今、それらすべてが無意味だと感じていました。生きる事すら・・・。
この様子を目撃した人がいました。
控室で仮眠をとっていた医師がいたのです。唖然とした表情をしていました。
これが後々何か意味を持つのかしら?
ハウォンがソウに言いました。
ソウは歩いて10分、俺は車で10分、中間地点の陸橋、そこで会おうと。
“バンボギ”をしよう・・・と。
“バンボギ”と言うのは、女性が結婚後嫁ぎ先と実家の中間地点で母親と会う事だそうで。昔使われていた言葉だそうです。短くて切ない時間だとか。
ソウは、仕事中の合間を縫って陸橋に行きました。
手を・・・とハウォンが言いました。
ソウが手を差し出すと、それを優しく握り、言いました。
「短くて、切ない時間。」
それだけで、ハウォンは去って行きました。
ソウの心が温かく、それでいて落ち着かないトキメキに襲われたようです。
ハウォンの気持ちがどうなのか、考えましたが、確信が持てません。
仕事終わりに、ハウォンの家・・・一軒家に行ったソウ。
よく眠れるように助けに来たの・・・とか何とか、やけに焦った感じで言うソウ。
期待しちゃいけない・・・と言う感じです。
ハウォンは、ソウの気持ちの動き全てお見通しという表情です。
眠りにつくのを見たら帰るわ・・・とソウ。下宿が騒がしくて・・・と。
ウンジュたちの事です。
すると、眠る前にすることが・・・とハウォン。送って行く事だと言うじゃありませんか。
「眠りたくなったら、いつでも来て。俺が下宿に行くと騒がれる。」
え~とぉ・・・と言う表情のソウ。それをどう受け取ればよいのか分からないって表情です。期待して良いの?って。
「考えが読めるよ。君が今考えてる事、合ってるよ。」
きゃぁ~っ
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