ザイルと焚火と焼酎と

ザイルを使う登山にちょっぴり憧れ、山中に泊まると焚火を囲み、下山後は焼酎でほのかに酩酊。いい加減なのんびり登山の日記です

一昨年10月以来の沢登りになるY根君と、天地沢へ

2013年08月12日 | 沢登り/多摩川本流

2013/8/10  この時季、熊本に行かないのは5年ぶり。それまでは毎年長めの沢や北アルプスの滝谷や剱岳でのクライミングに出かけていたので、自宅で過ごしているのは遥か遥か昔のこと。記憶にすらありません。しかし今年は、7月に母親の四十九日があったので夏休みが8月には取れません。まあ、こんな8月もたまにはいいでしょう。

僕の誘いに乗ってくれたのはおよそ2年ぶりに沢登りをするY根君。仕事がハードなせいでしょうか、なかなか山に行けていないのです。山へは年に2、3回、フリークライミングの外岩へ年に数回、クライミングジムに年間20回ほどというのが昨年のペースだとか。そんな中、同行してくれることに感謝、感謝! 彼は強力な山仲間ですから、もっともっと一緒に山へ行きたいものです。

僕にS子に、そしてY根君、こんな凸凹トリオですから沢の選定には苦労します。最終的に選んだのは昔1回行ったことのある海沢谷の支流、天地沢でした。遠く千葉県から出て来る、多分仕事疲れも残っているはずのY根君ですから、奥多摩駅到着は遅めの9時過ぎ。駅から1時間ほど車道と林道を歩けば天地沢出合です。

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▲天地沢は海沢林道を歩くと、最初に左岸から流入する顕著な支流なのですぐに分かります。写真の木橋に至る踏み跡も明瞭。僕たちはここで沢装備を準備しました。10:37ころ。

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▲すると、上の方から人の声が聞こえます。ぞろぞろと異様な風体の一団が! キャニオニングの連中です! お揃いのネオプレーンのウェットスーツに身を包み、ライフジャケットにヘルメット、完全装備です。
渓流の、水が多くて安全で、楽しめる、区切られた部分だけを思いっきり遊ぶ。楽しいだろうなぁ、と思いますが、僕にとってはやっぱり登山の一手段。ザイルを使う滝の登攀や水が涸れた詰めの急登を汗まみれになって這いずり登る、そんな沢登りが向いているようですね。この人たちの中から、沢登りに目覚める人たちが出て欲しいと思います。
上の写真が10:41ころ、下が10:45ころ。
ちなみにこの橋の上流から海沢園地までを海沢瀑流帯と呼びます。今日のように穏やかな天候続きの日は瀑流ではなく、大人しい流れです。これまで僕も2回遡行したことがありますが、1回目は大雨の後で水量豊富、水流強烈で、まさに瀑流でした。どうしても突破できない箇所があり、最終的には横を通る林道に逃げた記憶があります。

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▲先ほどの一団が見えなくなると、またまた同様の集団が降りて来ました。同じ格好です。いきなり我々の目の前で水に漬かり、気持ち良さそう! 諸注意を受けています。三点確保も説明していましたが、参加者は初耳の様子。来る前にそれくらいは練習させて来て欲しいものですね。10:50ころ。

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▲僕たちは支流の天地沢に入ります。今日は苔の緑が綺麗でした。11:10ころ。

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▲小さな滝も時折出て来ます。11:28ころ。

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▲森の緑と苔の緑に囲まれた世界です。11:37ころ。

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▲イワタバコもたくさん咲いていました。11:47ころ。

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▲南国のガジュマルのような雰囲気を漂わせる木ですね。11:49ころ。

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▲小滝をS子だけが高巻きました。で、こんな感じに。11:53ころ。

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▲苔の絨毯の上にイワタバコ。11:55ころ。

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▲大きな桂の木の横に看板が立っていました。沢登りも水遊びと言って言えないことはありませんが、絶対に水源は汚しませんのでご容赦を。12:00ころ。

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▲見事な滝です。名前は付いていないのでしょうか? 沢のルート図集ではF-1としか書かれていません。高さは15mほど、釜も広く、スラブを一直線に優美に流れるさまはなかなかの名瀑です。12:09ころ。

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▲『奥多摩・大菩薩・高尾の谷123ルート』ではF-1を右の涸沢から仕事道まで上がって高巻くとなっています。でも、滝の落ち口より少し上がったあたり、岩峰の中間点あたりで早めに高巻けそうなところがあったので、念のためにザイルを出してトラバースしてみました。
Y根君がいる位置が上がって来た涸沢です。ザイルを固定し、S子がヴィアフェラータの要領でこちらへ歩いて来ます。ゲートを互い違いにセットした2個のヌンチャクがあればOK。12:26ころ。

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▲トラバースして3人が集まった場所がこの写真のS子がいるところ。そうです。懸垂下降しなければなりません。しかも、懸垂のスタート地点は自分の足元よりも下。ザイルにいきなりぶら下がらねばならず、ちょっとと言うか、かなり嫌らしい。30mザイルが沢床の地面に届くか否か(15m以内ならばセーフ)も心配でしたけれど、それは大丈夫でした。
S子は久し振りの嫌らしい懸垂下降に少々ビビり気味。懸垂下降をスタートさせるまで、Y根君にS子を確保するよう頼んでおいたのですが、いろいろと手間取っているようでした。12:47ころ。

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▲ようやく空中に飛び出して来ました。12:55ころ。

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▲途中からは完全に空中懸垂になります。S子は体がほぼ水平になってしまっています。あまりいい体勢とは言えませんね。12:59ころ。

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▲最後はY根君。スムース&スピーディーに下降して来ました。13:04ころ。
この高巻きで思いのほか時間を喰ってしまいました。このペースで稜線まで詰め上げると、予定時間までに下山できなくなる可能性が大です。Y根君と相談し、F-2まで行ったら、仕事道を使って下山することにしました。上流にはたいした滝はないようですし、「杉の倒木に埋まってしま」い、「馬鹿馬鹿しくなるほど強烈な倒木帯」になるようです。18年前の記録なので、変化はしていると思いますが、諦めはつき易いですね。

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▲F-2です。F-1と同じく15mとなっていますが、こちらの滝の方が高いんじゃないでしょうか? これも見事で美しいスラブ滝です。13:33ころ。

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▲F-2の側壁にはイワタバコがびっしりと生えていました。13:34ころ。

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▲今日は30mの補助ザイルしか持って来ていませんし、ハーケン、ハンマーもありませんから、直登は無理です。でも、ちゃんと準備してきたら、登攀可能かどうか観察してみました。結論は、無理。13:36ころ。

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▲F-2も滝の右の涸沢のようなところを上がって行きます。浮き石が多くて、ちょっと嫌ですが、下の人に落石を落とさないように気を付けさえすれば大丈夫です。13:43ころ。

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▲ルート図には上に仕事道があることになっていました。でも、仕事道ほど不確かな道はありません。獣道は一定の場所にほぼ変わらず存在し続けると思いますが、仕事道はそうではありません。仕事がなくなり、使わなくなると、すぐに荒廃し消えてしまう運命です。
幸運なことにまだ消えずに残っていました。でも、最近はあまり使われているようには感じませんでしたね。13:50ころ。

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▲こんな標識が・・・ 多分、F-1のことだとは思います。でも、そこまで下降していくのは至難の業だと思いますが。13:53ころ。

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▲桟道のような木橋が架かっていました。木が朽ちかけていますから、こわごわ渡ります。13:57ころ。

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▲水源標識があったところに降りて来ました。少し右の四角いのが恐らく貯水槽なのでしょう。 14:02ころ。

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▲作業小屋がありました。沢の水はふんだんにありますし、片方が岩で塞がれたこの小屋は居心地が良さそうです。14:12ころ。

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▲登っていた時には気付かなかったワサビ田が幾つも続いていました。作業小屋もあります。仕事道は時々不明瞭になりますが、しっかりした道になっています。14:16ころ。

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▲天地沢出合脇の木橋に戻って来ました。14:20ころ。

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▲時間はまだたっぷり残っていたので、このまま終了とせず、海沢谷をここから下降することにしました。この上流は瀑流帯で、泳ぐところも出て来ますが、下流は穏やかな流れです。14:22ころ。

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▲このような感じの中をのんびりと下って行きました。15:00ころ。

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▲段差があると言っても、この程度です。15:04ころ。

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▲マタタビの実がなっていました。橙色に熟していない実は異常に辛い味がします。15:25ころ。

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▲涼しくて清々しい沢歩きもここで終了。15:28ころ。
すぐ上には林道が通っています。日陰の多い林道はまだましですが、日陰のほとんどない車道に出ると、猛暑日の洗礼を浴びなければなりません。汗がじっとりと噴き出します。

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▲車道から奥多摩駅のある氷川方向を眺めました。下を流れる川は多摩川です。暑くて空気がじっとりしているので、遠くの山の霞み方も半端じゃぁありません。16:28ころ。

さてさて、沢登りは終了しましたが、今日の本番はこれからなんです。実は今日は「奥多摩納涼花火大会」。花火を見物するのが主目的! その報告は、また次で。

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