ザイルと焚火と焼酎と

ザイルを使う登山にちょっぴり憧れ、山中に泊まると焚火を囲み、下山後は焼酎でほのかに酩酊。いい加減なのんびり登山の日記です

たったひとりの天覧山。ルベルソでの懸垂下降研究とトラバース岩10往復!

2023年06月29日 | 岩登りトレーニング

日曜日は一人でしたけれど、天覧山で岩トレして来ました。一人の時でないと出来ないことがありますからね。気楽に、時間もたっぷり使ってやってきました。そもそも、前夜のクロアチア対モロッコの3位決定戦を見てしまいましたし、一人だということもありましたから、家を出発したのは本来予定していたよりも1時間半遅くでした。

 

天覧山の最下部岩場に行くと、人だらけ。全員で15人もの人たちが訓練していました。登山靴での練習、一部の人はアイゼンも付けています。3段ハング5.11にトップロープを掛けて、トライしている3人もいました(こちらはもちろんクライミングシューズ)。と言う訳で、予定していた最下部岩場のトラバース10往復は出来ません。タイムトライアルをして、まだHTさんより速く出来るところを見せたかったのですけどね。(もう僕の方が遅いかも・・・・)

 

それで、もうひとつの課題に取りかかりました。それはルベルソでの懸垂下降。ルベルソ(ATCガイドも同じです)単体での懸垂下降は、8環などとは違って途中で両手を離して止めることが出来ません。8環は仮固定すると、すぐに両手が自由になりますよね。もちろん、その後すぐに本固定しておくのですが(8環を使っているYYD会員の中には、その仮固定を知らない人もいると思いますが、絶対に知っておくべき技術です)。ですから、ルベルソを使用した正式な懸垂下降では必ず安全装置を加えます。その安全装置がフリクションノットを使ったものなんです。主にマッシャー結びを使います。僕もルベルソを使用するようになって、何度も懸垂下降しているのですが、 ザイルがスムーズに流れないことがたびたびありました。ルベルソとマッシャーの位置がどのようならばスムーズにザイルが流れる懸垂下降が出来るのか確かめたかったのです。

 

2022年12月18日(日) 天覧山岩トレ

▲12:03。最下部岩場の左端に懸垂下降用のザイルをセットしました。まずはマッシャーなしにルベルソのセット位置だけを変えていきます。僕はPASを使わず、この写真のように直接ビレイループにルベルソをセットするのから始め、ひとつずつ長くしていきました。

 

▲12:08。僕はPASをセルフビレイコードとして使っていますが、それには7箇所のループがあって、長さ調節が出来ます。PASは伸びる素材ではないのですが、今は伸びる素材で衝撃を和らげる製品がありますから、そちらがお勧めですね。写真はPASの最初のループにルベルソをセットしています。

 

▲12:11。PASの2つ目のループにルベルソをセットしました。

 

▲12:15。PASの3つ目のループにセットしました。

 

▲12:19。ルベルソの位置が自分の手では届かなくなる手前まで試してみました。写真は4つ目のループですね。それで分かったことは、ルベルソの位置が遠ざかるほどザイルの流れは少しですが悪くなることでした。

 

▲12:23。続いて、ルベルソの向きを逆にして懸垂下降してみました。通常はハイフリクションモードで懸垂下降するのが当り前なんですが、レギュラーモードにすると流れが良くなります。当然ですが、すごく滑りは良くなりました。ルベルソの位置が遠くなっても、滑りがいいです。

 

▲12:44。今度は安全装置となるマッシャー結びを付け加えました。ルベルソはハイフリクションモードに戻します。PASを使わずにビレイループにセットする場合はマッシャーはルベルソより遠い位置になります。

 

▲12:55。ひとつ目のループにセットする時も、マッシャーはルベルソよりも遠くセットします。それはともかく、何かごちゃごちゃしてて嫌ですね。

 

▲12:59。2つ目のループにセットする時以降は、ルベルソの手前にマッシャーをセットします。

 

▲13:05。3つ目のループまで試してみました。写真では2つ目だけは懸垂下降途中で両手を離した状態での停止している写真を撮っています。

 

ここまで試してみて、もっともよいと感じたのは2つ目のループにセットした時でした。マッシャーをルベルソより遠くにセットすると、ルベルソとマッシャーが重なってすっきりしません。それに一方の手をマッシャーの結び目に常に添わせていないといけませんから、自由になっている手がなくなるのです。例えば、左手でルベルソ下方のザイルを持ち続けたとすると、その左手を離すことは出来ません。すると、右手はマッシャーの結び目に添わせ続けなければなりませんから、両手がふさがってしまいます。ゆっくりと懸垂下降しながら、ちょっとした簡単な作業を右手で行なうことは出来ません。右手を離すと、必ず停止するからです。

ですから、マッシャーはルベルソの下にセットして左手(例えば)で持つことで、両方の仕事を左手だけで行なわせる方が効果的です。右手は自由になり、ちょっとした仕事をすることが出来ます。2つ目のループセットで、流れも良かったですね。

ただ、気を付けなければならないことに気付きました。それは美しいセットにすることです。まずはルベルソをザイルが捩じれないようにセットします。マッシャーもザイルが捩じれないようにセットします。少しでも美しさが欠けると、流れも悪くなるようです。

まだ、素直な傾きの岩場で試しただけですから、様々な状況の中で不都合も起きるかもしれません。そのたびにより良く懸垂下降できる方法を追求していきたいと思います。

 

その後しばらくは3段ハングにトライしている3人と登攀しているのを見ながら話していました。3人(男性1人と女子2人)はこのルートのことを知らずに、見た目で「5.9くらいかな?」と思ってトップロープをセットしたんだそうです。「5.11ですよ」と僕が言うと、驚いていましたね。でも、男性は上手くて、3段目の下までは到達していました。

 

陽当たりが良くて暖かなトラバース岩に上がりました。2時前でした。遅い昼食を食べて、いよいよトラバース岩へのチャレンジ開始です。

 

▲14:09。トラバース岩の左半分です。

 

▲14:10。トラバース岩の右半分です。パワー系ムーブが続き、腕や指に負荷がかかります。

 

最初は何回往復するかなんて、目標は持ってなかったんです。前回は2往復したので、せめて3往復くらいはと考えていた程度です。ゆっくりゆっくり始めました。ムーブも確かめながら、より良いムーブを探しながら行ないました。片道ずつ両サイドでは休むことが出来ますから、時間をかけて休みました。片道やっただけで、ゼエゼエ、ハ~ハ~、息も上がるんです。休み休みだったせいもあるのでしょうが、5往復でき、6、7往復と進んでいきます。

思いの外、筋肉にダメージはありません。パンプはしていますが、それでも筋力は発揮できます。でも、8往復半あたりからだったでしょうか? 腕や指が危うくなり始めました。いつ落下しても可笑しくない。余り頑張り過ぎて、危ない箇所で不意に落下すると、崖下まで転落する可能性もありますから、無理はしないように自分に言い聞かせました。9往復、9往復半と進み、とうとう10往復できました。

実は僕は昨年も今年も10往復はしていませんでした(出来なかったのではなくて、しなかったんですが)。ですから、20年以上ぶり、ひょっとしたら30年ぶりくらいの10往復です。疲労感はさほどなく、達成感もそれほどではありませんでしたね。「あっ、まだ出来るんだな」程度の感想でした。

 

ただし、肉体が受けた10往復のダメージは相当あったみたいで、その夜から腰が重く痛くなりました。10月の阿弥陀南稜・中央稜とその翌週の沢泊り山行で、受けたダメージにより腰痛が再発しました(もともと、腰痛持ちなんです)。その腰痛が今月あたりから徐々に回復し始めていたのに、またの再発です。

トラバースはかなり体幹の筋肉を酷使しますから、腰回りの筋肉が悲鳴を上げたんでしょうね。でも、腰回りの筋肉を使って鍛えることで、コルセットのように腰を守るでしょうから、この腰痛は悪いことではありません。

 

これでこの日は終了。たった独りの寂しい岩トレでしたが、独りを逆手にとって充実した岩トレが出来ました。

 

▲15:57。獅子岩の上からは富士山が見えます。

 

天覧山からの帰りには気になっていたインドネパール料理店へ行きました。東飯能駅前にあるお店です。ディナーセット(チーズナン、サラダ、ライス少し、マトンマサラカレー)、モモ、インドワインをグラスで2杯いただきました。僕の評価はまあまあ普通かな? 一品料理を幾つか注文して食べてみないと分かりませんね。久し振りに大根のアッツァールとか食べたかったんですが、ありませんでした。

帰宅後は何と言ってもアルゼンチン対フランスですね。いいゲームでしたね! 結局、表彰式まで見てしまいましたから、眠りに就いたのは4時を過ぎていました。目覚めたのは正午ころ。(働いている方々、ご免なさい)


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