ザイルと焚火と焼酎と

ザイルを使う登山にちょっぴり憧れ、山中に泊まると焚火を囲み、下山後は焼酎でほのかに酩酊。いい加減なのんびり登山の日記です

A野さん1年ぶりの沢登り――前夜祭も下山後の打ち上げも格別!

2013年08月04日 | 沢登り/多摩川南秋川水系

2013/8/2  山の仲間は僕にとって宝のような存在。いつまでもずうっと一緒に山へ行けることを望んでいます。でも、みんなそれぞれに事情を抱えた社会人ですから、なかなかそういう訳にはいかないものです。卒業、就職、結婚、出産、転職、引越しなど人生の転機・境遇の変貌で山から離れて行かざるを得ないことがあります。病気や怪我なども影響します。加齢による体力の低下も影響することがあります。山から離れないまでも、山へ行ける回数が減少してしまう理由は次から次へと無尽蔵に出現します。

今回久し振りに沢登りを一緒にすることになったA野さんもそういう一人。山を愛する気持ちだけは失うことはありません。彼女とは1年ぶりの沢登りです。1年前の山行がこちら。
http://blog.goo.ne.jp/1940sachiko/d/20120802

A野さんは前夜から我が家に泊まることになりました。拝島駅前の九州料理「かさ」で黒糖焼酎「長雲」など飲んで積もる話を始めたのが夜の8時ころ。仕事疲れがあるA野さんのことを思って、早めに切り上げ早めに寝る予定でしたが。気が付いてみれば余裕で10時を回ってしまっていました。

翌朝は6時に起床、電車に乗り、7:58武蔵五日市駅到着。タクシーで小坂志林道へ入ります。林道を少しだけ入ると、タクシーはそれ以上入れません。林道歩きになりますが、ちょうどいいウォーミングアップです。

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▲湯場ノ沢出合です。林道が湯場ノ沢を渡っているのです。下の写真は林道の橋の上から眺めた湯場ノ沢。穏やかな流れです。9:44ころ。

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▲沢へ入るとすぐに写真のようなコンクリート槽が出て来ました。9:58ころ。
これが鉱泉跡でしょう。その水を舐めてみると、ほんのりと硫黄(硫化水素)の味がします。香っても同様です。『俚人は外傷によいと古来より利用している』(「奥多摩」宮内敏雄著)と出ていますが、どのような活用法だったのでしょう? 夏ならこの場での水風呂も心地良さそうですが、寒くなると無理です。ここに風呂場を建てて、薪で焚くのも大事(おおごと)になります。源泉を汲んで運ぶのも出来そうにありません。それはともかく、どこから鉱泉が湧きだしているのでしょうね。コンクリート槽の上の斜面でしょうか? コンクリート槽の底の地面からでしょうか?
この鉱泉があるために湯場ノ沢と呼ばれるようになったのです。もともとは沢の源頭の山・万六(ばんろく)ノ頭が沢名となり、分かれた3つを下流からトバノ万六、ナカノ万六、オキノ万六と呼んでいたのです。今日遡行するのはオキノ万六沢。湯場ノ沢の本流です。

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▲小滝が出現しました。10:07ころ。

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▲3~4mの小滝です。水流沿いが易しそうですが、左右のどちらからでも登れます。10:08ころ。

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▲この滝をA野さんは水流左から登りました。もともとバランスクライミングの上手い人ですが、1年のブランクがあっても、それを感じさせない安定感のある登り方でした。10:10ころ。

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▲ヒキガエルです。腰から下は沢水の中。10:10ころ。

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▲イワタバコです。沢のプリンセスのような花。10:21ころ。

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▲僕はこんな平凡な沢の光景が大好きです。手前の瀞の水の透明度は抜群で、奥に続く穏やかな流れはどんな名庭にも負けません。10:23ころ。

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▲左からの流れが湯場ノ沢本流。奥からこちらに流れるのはトバノ万六沢です。10:25ころ。

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▲トバノ万六沢出合を過ぎ、最初の滝がこの4m幅広の滝です。左から巻きました。10:28ころ。

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▲続いて、3m、2m、2mの連瀑が現われました。10:29ころ。

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▲連瀑最初の滝は水流右を登ります。10:32ころ。

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▲こんな所に座っておられると、ヒキガエルは立派に沢のマスコットですね。10:38ころ。

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▲いろんな景色の中を全身の筋肉を動かして登っていきます。10:43ころ。

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▲平坦地があったので休憩をとりました。今日は急ぐ理由がひとつもないので、ゆっくりと遡行しています。10:48ころから20分ほど休んだと思います。
そこで生えていた草の葉っぱです。虫が食べたのでしょうが、どこかで必ず繋がるように食べ進むのは芸術的とさえ言えますよね! 11:01ころ。

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▲再スタートするとすぐにナカノ万六沢出合でした。いつか、ナカノ万六沢を遡行してトバノ万六沢を下降してみたいと思っています。11:12ころ。

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▲4mほどの小滝がふたつ連続していました。下段の滝は少し難しい(3級+くらい)ので、高さもあり念のためザイルを出すことに。ちょうどいい場所にまだ新しいボルトが打ち込んでありました。有り難く使わせてもらいましたが、本当に必要なボルトかどうか、ちょっと複雑な感想も抱きますね。
S子が登って来ます。慎重にスタンスやホールドを探しながらの登攀。11:42ころ。
後に続いたA野さんはとてもスピーディー、腕は衰えていませんね。

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▲この沢一番のゴルジュがここです。難しい滝はなく、快適に高度を上げられます。上は11:52ころ、下は11:57ころです。

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▲僕のコンパクトデジカメ(オリンパス‐タフ TG‐615)でここまでフラッシュを焚いたり焚かなかったり適当に決めて来ましたが、だんだんと薄い霧が出始めました。肉眼では判別できないほどなのですが、フラッシュを焚くと一目瞭然! 霧の微細な粒がフラッシュの光で白く光って、こんな感じになってしまいます。12:00ころ。

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▲それで、フラッシュは焚かないことに。すると、こんな感じです。12:01ころ。
美しいナメ滝です。滝の落ち口左の巨樹は桂の木でしょうか? 

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▲桂の巨樹の根っ子だと思います。沢水を求めてこんなに伸ばして来ています。ちょっと赤みを帯びていますね。12:02ころ。
沢登りの途中で様々な樹が沢水を吸収するための根を伸ばしている姿に出会いました。いちばん面白かったのは人の腕ほどの太さに成長した藤の蔓。蔓の途中が沢の流れのすぐ上を通っているので、いきなり蔓から房のような根っ子を沢へ降ろすように伸ばしているのです。植物にも強い想いがあるとしか考えられません。
この10数分後、2度目の休憩をとりました。

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▲この花も名前を覚え易い花のひとつ。蕾が球形で丸いのでタマアジサイ。ここまでもたくさん咲いていましたが、この辺りはとりわけ多く、沢がタマアジサイで覆われるほどでした。12:51ころ。

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▲沢がタマアジサイなど低木に覆われることが多くなったので、傾斜の急な右の支尾根に逃げることにしました。人の踏み跡らしきものもあったからです。
この写真で分かるように沢は緑に覆われてしまっています。13:03ころ。

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▲植林の下層には低灌木が密生していました。その中にはサンショウや木イチゴの仲間など、棘のある木も多かったので慎重に避けながら登りました。13:07ころ。

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▲やっと密藪から脱出! 13:24ころ。

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▲その支尾根を登りつめると登山道が現われるとばかり考えていましたが、登山道から伸びて来ている別の支尾根(13:33ころ到着)でした。それでもとりあえず装備解除し、その支尾根を登り、登山道に合流したのがこの写真です。14:07ころ。
間に合いそうなバスの時刻は15:20。それに乗り遅れると1時間17分後までバスはありません。僕が持っていたルート図には下山タイムが1時間10分となっていました。でも、それは沢屋のコースタイムですから、僕はS子にこう告げました。「急げる場所では少し急いで歩くよ」と。

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▲柏木野のバス停に到着しました。ちょうど1時間で歩きました。15:08ころ。
家に帰って下山に要する時間を再度調べてみました。僕の持っていたルート図は『改訂増補 東京付近の沢』(白山書房 1992年発行)でした。関本快哉さんが執筆しています。関本さんは比較的余裕のある山行タイムをとる人という印象があります。1時間10分ですから、僕たちが普通に下山するくらいのコースタイム。
他のルート図も調べてみました。『奥多摩・大菩薩・高尾の谷123ルート』(山と渓谷社 1996年発行)では1時間になっています。普通の沢屋の普通のタイムでしょう。
『東京周辺の沢』(白山書房 2000年発行)では、な、な、なんと! 45分になっています。これは沢屋の中でも若くて元気な連中のタイムでしょうね。このコピーを持って行っていなくて正解でしたね。「45分で行けるのか。まだ1時間13分もあるからのんびり下山して楽に間に合うぞ」と考えたに相違ありません。

五日市バス停で下車し、いつもの「音羽鮨」へ。ちょうど暖簾を掛けようとしている時で、夕方からの営業再開にぴったし間に合いました。ここでは僕の大好きな芋焼酎『三岳』をボトルキープしています。
下山後の打ち上げ、ただでさえ酒も旨く、料理も美味く感じるのに、1年ぶりのA野さんです。楽しく美味しい打ち上げでした。

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2 コメント

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大変お世話になりました!楽しかったです~~~。 (ano)
2013-08-06 00:32:38
大変お世話になりました!楽しかったです~~~。
やっぱり山は沢でしょうー♪と改めて思いました(^◇^)
けれど最初の滝などは、密かにちょっと足が滑ったりしていて、実は心臓バクバクだったのです(笑)
私はたいがい濡れてもOK!な感じで滝でもどこでも行きたい派ですが、S子さんは誰よりも濡れないルートを慎重に選ぶので、さすが!と感心してしまいました。
蔓から出た根っこにも驚きましたね。空中から水流にめがけて根を伸ばすなんて、植物も強く生きているんだなと。
また行きましょう。どうぞよろしくお願いいたします!!
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S子は泳げないので水が怖いだけなんですよ。だか... (メロン)
2013-08-06 12:31:41
S子は泳げないので水が怖いだけなんですよ。だから、濡れたくないし、濡れないようなルート取りをするんです。泳げないことと濡れることは無関係なんですけどね。
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