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ザイルと焚火と焼酎と

ザイルを使う登山にちょっぴり憧れ、山中に泊まると焚火を囲み、下山後は焼酎でほのかに酩酊。いい加減なのんびり登山の日記です

NZ旅№7―――2日目は全員でボールパス往復

2014年03月07日 | ニュージーランド旅2013

2013/11/16  今日はボールパスを往復する予定の日です。
キャロラインハット出発は何時だったのでしょうか? 正確な記憶はないのですが、10時は過ぎていたのでは? 天気にも若干の不安要素がありましたし、何よりも今日はボールパスまでの往復が出来ればいいのですから、さほど焦る必要はないのです。ゆったりと雪山生活を楽しんでいい日なのです。

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▲キャロラインハットすぐ横の斜面で、まずは滑落停止のトレーニングをしました。11:01ころ。
日本でなら、滑落しながらピッケルのピックに全体重を載せるような感じで体をあずけ、ピッケルで停める方式です。でもニュージーランドでは、体を反転させてこの写真のような格好になり、両足両手で停めるのです。
おそらく雪面が氷のように硬い状態では日本と同様の方法で停めるのでしょう。ただ、軟雪でそれほどの急斜面でなければ、この方法は有効だと感じました。

そしてここで久し振りのニュージーランドびっくり事情その4です。
“事情”というほどのことではないのですが、ピッケルの持ち方が日本とは違うのです。
僕は日本ではこんな風に教わりました。つまり、「ピッケルのピックを常に山側に向けろ」と。登りでは前向き、下りでは後ろ向き、トラバースでもピックの意識を山側に向けるように持っていたものです。ところが、ニュージーランドでは「常にピックは後ろ向き」なのです。この方が「転倒した際にすぐにピックを雪面に刺し易い」からなのだそうです。
これは慣れの問題でもあるでしょうから、一概にどちらが正しいとは言えないと思いますが、驚きでした。

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▲滑落停止等のトレーニングを終了させて、いよいよスタート。先頭をマーティンが行きます。続いてS子。S子の右手のピッケルはピックが後ろ向き。11:16ころ。

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▲華世ちゃんと藤井さんが続きます。11:39ころ。
このあたり、ガイド二人はストックだけ、他の3人はピッケルとストック、僕は普段からストックは使わないのでピッケルだけで歩いています。
トラバースのような左右で傾斜がある場所を歩く場合は、山側にピッケル谷側にストックを配し、ストックでバランスをとるように歩きます。

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▲キャロラインハット上部にも少しですが雪のない岩場を歩く箇所がありました。11:48ころ。

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▲登って来た方角を振り返りました。下方にはタズマン氷河が見えています。11:52ころ。

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▲中央、少し左寄りのコルがボールパス(Ball Pass)2121m。その左のピークはカイティアキ山2222mだと思います。このピークにも登る予定です。12:09ころ。

以下、左回りに四囲の景観をどうぞ。

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▲タズマン湖が見えますが、そのずっと下流に独特のスカイブルーを湛えるプカキ湖も見えています。左の山は2000m級の BURNETT MOUNTAINS という名の山塊のようです。

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▲手前はタズマン氷河ですが、向こう側へ分岐している谷は Murchison River です。上流では Murchison Glacier になります。
左奥へと伸びている長い山嶺は LIEBIG RANGE です。2000m台後半の峰々が連なります。

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▲中央の山嶺は MALTE BRUN RANGE です。最高峰はMalte Brun 3155m。そのピークはおそらく雲の中でしょう。
この山嶺の右手前から顕著なピークは Novara Peak 2299m、Mt Johnson 2682m、Mt Chudleigh 2952m、ではないでしょうか?

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▲右下の白い尾根が今日登って来ているボール尾根。その左下にはタズマン氷河の支流にあたるボール氷河が流れ、さらに写真左のキャロラインフェースからはキャロライン氷河が流れ落ちています。中央の双耳峰のようなピークは Anzac Peaks 2530m。

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▲キャロラインフェースです。マウントクックの山頂は雲の中です。12:10ころ。

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▲ボールパス目指して再スタートです。このあたりからS子はマーティンがタイトロープして確保してくれています。マーティンが「ロープで確保してもいいけどどうする?」と聞いてくれたので、そんな経験もなかなか出来ませんから、了解の返事をしたようでした。12:18ころ。

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▲ボールパスが見えています。先頭から、ギィディアン、マーティン、S子、華世ちゃん。12:34ころ。

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▲タズマン湖を見下ろす、手前から華世ちゃん、S子、マーティン。12:54ころ。
マーティンのヘルメットには帽子のつばだけが取りつけてあります。Nice Idea ですね。

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▲タズマン湖とタズマン氷河の様子です。13:47ころ。
タズマン湖も40年ほど以前はこれほど広くはなかったようです。僕が持っている地図を見ると、Tasman Lake という表記はなく、小さな湖が数個点在していて、Blue Lakes と名付けられていました。

ちなみに僕は1980年発行の「Map of MOUNT COOK & WESTLAND NATIONAL PARKS」を持っていて、それを参照しながらブログを書いています。10万分の1の縮尺ですから、山屋の感覚では概念図程度にしか地形の把握は出来ません。
ニュージーランドで何軒も本屋などを回ったのですが、人気の地域だからでしょうか、どこも在庫がないのです。5万分の1の地図を手にしたかったのですが、致し方ありません。
若いころから、ニュージーランドのマウントクックには関心を抱いていて、ずいぶん昔のことですが、NZに旅行に行く知人に買って来てもらったのです。

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▲ボールパスもだいぶん近づいて来ました。指差す華世ちゃん。13:51ころ。

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▲ボールパスまであとわずか! 14:08ころ。

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▲ボールパスへ向けて最後のトラバース。マウントクックはまだ雲の中ですが。14:12ころ。

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▲左からギィディアン、マーティン、S子。タイトロープの様子がよく分かりますね。14:15ころ。

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▲1匹のクモが雪の上を元気に歩いていました。ギィディアンが見つけて、名前も教えてくれましたけれど、忘れてしまいました。でも“Snow Spyder”とか、ありきたりな呼び名だったような・・・・ 14:20ころ。

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▲ついにボールパス目前! 14:22ころ。

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▲ここがボールパス! 14:34ころ。

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▲ボールパスに佇む華世ちゃん。14:37ころ。

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▲北方に連なり昇る MT COOK RANGE 。マウントクック南稜と呼んだ方がすっきりとしますね。相変わらず山頂は雲の中。14:37ころ。

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▲ボールパスから南西方向に落ちている谷を見下ろしました。谷にはフッカー氷河が流れています。左右に連なっている山稜は MAIN DIVIDE 、南島の背骨にあたる脊梁山脈のような山脈です。マウントクックはほんの僅かですが、 MAIN DIVIDE からは外れているのです。
山名の同定は到底出来ませんが、昨日マウントクック村から見上げた MT Sefton 3157mや、その隣りの The Footstool 2765mなども遠くに見えているはずです。14:41ころ。

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▲右下から登って来たのです。14:43ころ。

キャロラインハットからボールパスまで休憩も含めて3時間20分ほどかかりました。今日は急ぐ必要はありませんでしたから、ゆっくり歩いたとはいえかかり過ぎです。
カイティアキ山へは登らないこととなりました。ちょっと残念です。

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▲ボールパスからの下降を始めました。ボール尾根を俯瞰します。矢印のあたり、山陰にキャロラインハットがあるのだと思います。15:01ころ。

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▲ときには尻制動で滑ります。滑っているのはS子。下ではギィディアンが安全のため、待っていてくれています。右はマーティンと藤井さん。15:04ころ。

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▲華世ちゃんがS子のことを「宇宙人みたい」と言って笑います。確かにそう見えますね。あの有名な地球人に手をひかれた背の低い宇宙人の写真です。15:10ころ。

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▲雪のない岩場。15:13ころ。

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▲雪山に来て、こんな光景の中を歩くのが僕は好きです。15:20ころ。

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▲こんな白と青の世界が僕は大好きです。15:23ころ。

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▲マウントクックを望む、左からギィディアン、マーティン、S子、華世ちゃん。15:25ころ。

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▲何故眺めていたのかというと、山頂の雲がもう少しで取れそうだったからです。でも、まだなかなか雲はどきませんでした。15:25ころ。

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▲写真にボールパスから辿って来たルートを赤い矢印で書き込んでみました。15:26ころ。

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▲また、マウントクック山頂の雲が消えそうになり、立ち止まって見守りました。15:46ころ。

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▲右の棚引く雲にほんの少し隠されていますが、ほぼ現われました。15:48ころ。

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▲ついでですから、望遠撮影のも。15:48ころ。

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▲僕自身はタイトロープをしたこともされたこともありませんが、マーティンのやり方を見ると、その具体的方法が分かって勉強になりますね。16:09ころ。

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▲上を見上げると、藤井さんと華世ちゃんが楽しそうに降りて来ています。尻制動をしたような跡がありますね。僕がしたのかもしれません。16:09ころ。

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▲ここからはトラバースです。ギィディアンが先行しています。おそらく中央に見える小さな雪崩痕のせいでしょう。ここの通過はこの写真のギィディアンとマーティンほどの間隔をおいて一人ずつ通過しました。16:09ころ。

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▲マーティンとS子が通過中。16:11ころ。

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▲急斜面のトラバースになりました。数分前まではストックだけで歩いていたマーティンが、ここでは左手にピッケル、右手にストックというスタイルに変更しています。万が一、S子が滑落すれば、さすがのマーティンもピッケルなしには停められないからでしょう。16:17ころ。

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▲後方に目をやると、一人ずつ間隔を開けて歩いている華世ちゃんと藤井さん。そして、ここからが急傾斜のトラバースになるのです。16:22ころ。

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▲緊張する箇所はすでに通過しました。ギィディアンとマーティンはふたり先行しています。S子のタイトロープも解除されました。
そうです! 目の前にはキャロラインハットが! 見えますか? 16:28ころ。

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▲小屋に到着! 16:36ころ。

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▲記念撮影です。僕とS子。16:40ころ。

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▲華世ちゃんとS子。16:41ころ。

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▲登山靴に付いた雪を落として小屋に入ります。16:54ころ。

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▲マウントクックを眺めながら、何を想う、華世ちゃん。16:55ころ。

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▲キャロラインハット到着と同時にマウントクック山頂の雲が全部消えました。16:55ころ。

今日は実にのんびりと雪山歩きを楽しめました。朝も遅い出発で、帰着も早く、就寝までの時間もたっぷりあります。僕にとってガイド山行はほぼ初めての経験ですが、そんな安心感もあって、純粋に楽しむことができました。
明日はボールパスクロッシング。いよいよ今回の目的であるボールパスを越えてフッカー氷河へと至るロングコースです。でも、山の雰囲気や景色は今日一日で充分に堪能できましたね。2日目まででも十分満足感を得られました。


NZ旅№6―――キャロラインハットでの1泊目

2014年01月24日 | ニュージーランド旅2013

2013/11/15  キャロラインハットは今回のガイド、マーティンとギディアンが所属しているガイド会社、アルパインレクリエーションが所有する山小屋です。一般の登山者は使えない山小屋。日本にはそのような形態の山小屋はありませんから、不思議な感じがしますよね。
ガイド以外の客がMax8人限定、ベッドが8つあります。小屋には部屋が3つありました。正面玄関を入ると、左奥にガイドの寝室、右の広い部屋が客の寝室&キッチン&ダイニングです。もうひとつはその広い部屋のさらに右にあるのですが、別のドアからしか入れません。そこは背もたれのないベンチのような長椅子があるだけですから、小屋の外と中の中間的な位置づけなのでしょう。僕たちはそこでアイゼン装着のチェックを受け、そこにアイゼン、ピッケル、ヘルメットを置いておきました。
そして、トイレですが、少し離れた下の方にあります。

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▲小屋到着後すぐに、そのトイレの説明がギィディアンからありました。19:48ころ。
ギィディアンはこの後、小屋からトイレまでのステップを切ってくれました。トイレへの斜面でスリップすれば、数時間前に歩いていたタズマン氷河へ滑落していくのです。

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▲小屋の横で記念撮影です。僕とS子。19:52ころ。
後はキャロラインフェースですが、上部は雲に隠れて、マウントクック山頂は見えません。
S子が着ているブルーの上着はクライストチャーチで購入したもの。

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▲夕食の担当はマーティンでした。調味料や保存のきく食材は小屋にたくさんあるようです。生鮮食材はみんなで今回担ぎ上げました。ボリュームたっぷり、野菜もたっぷり、味も最高の本格料理です! 山岳ガイドって料理もプロ並みじゃないと駄目なんですね! もっとちゃんと料理の写真を撮っておくべきでした。僕はいつも食欲に負けて、料理の写真が少なすぎるんです。20:55ころ。
華世ちゃんもホッとした表情ですね。

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▲食事中の華世ちゃんと藤井さんです。20:59ころ。
華世ちゃんの後ろの棚には飲み物やお菓子(行動食)が入った箱や本が。藤井さんの後ろはベッドです。下の段で藤井さんが寝ることに。

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▲自分のベッドサイドで何を想う。右にストーブと食卓が見えます。左には藤井さんのベッドが。僕は自分のベッドからこの写真を撮っています。22:03ころ。

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▲華世ちゃん就寝。敷布団とシュラフは山小屋備え付けのもの。各自、シュラフの内側で木綿のインナーシュラフに潜っています。アルパインレクリエーションの事務所から各自が背負って来ました。これのみを下山時には持ち帰ります。22:35ころ。

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▲就寝前のS子。右のベッドが僕のねぐら。22:35ころ。

こうして夜が過ぎて行きました。8人限定の山小屋に4人だけですから、実に贅沢な状況です。標高およそ1800m、昔から憧れていたマウントクックの直下の山小屋でシュラフにくるまり眠っていることの不思議が心を覆います。

【服装のこと】
マウントクックは南緯約44度ですから、日本で言えば北海道の大雪山の5月中旬と同じだろうと考えて服装を整えました。つまり、完全な冬山装備。荒天になると、厳冬期と同様の状況になるはずと考えたのです。
〈閑話休題〉もし北海道に3000~4000m級の山岳が存在したら、確実にニュージーランド以上の氷河が存在したことでしょう。残念無念・・・・・・・・・・・・(終)
しかし今回、天候は安定し、好天続きでした。結果的には、日本のGWの残雪期の山、しかもポカポカ陽気の最高の天気! と言った感じの山でした。
ですから、今回の経験だけで、どんな服装がいいとは言い切れませんが、ネットで見る限りでは12月や1月の(つまりもっと夏の)Ball Pass Crossing で雪が降り、軽くラッセルにもなっているようですから、冬山装備が基本だとの考えは個人的には変わっていません。
ただ、予想以上にニュージーランドは高緯度にもかかわらず暖かかったのも事実です。理由を考えたのですが、日本の北西にはユーラシアという巨大な大陸があることが、日本の冬をより寒くしている原因になっています。大陸に安定した寒冷な高気圧が居座り易いからです。一方、ニュージーランドの西にはタスマン海が広がり、南西方面にも南極海があるだけです。海は陸に比べると冷気が溜まりません。
山はともかく、街では日本の初夏のような気温の日もあるので、もっとショートパンツやTシャツを持って行けば良かったと思っています。

【日焼けのこと】
僕は生まれてこの方、日焼け止めと言うものを塗ったことがありません。GWの雪山で、上方からの夏のような陽光、下からはその反射光に数日間晒されても、真っ黒になるだけで、皮膚のダメージはありませんでした。
「ニュージーランドの紫外線は日本の7倍もある」と、脅しのようなコメントをたくさん読みました。でも、気象庁(だったかな?)のデータを調べると、南極大陸のオゾンホールはこの時季だいぶん収縮していて、紫外線量も日本とたいして変わりがないことが分かりました。内心「これは大丈夫そうだ」と確信した次第です。
とにかく、自分の肌での実感を基準にしようと覚悟しました。危険と感じるまでは日焼け止めは塗らない、そう決めたのです。(ひょっとしたら、危険と感じた時にはすでに手遅れなのかもしれませんが)
3日間、山の強い紫外線を浴び続けました。僕の実感としては、日本のGWの雪山、連日の好天で陽光を浴び続けた場合とさほど変わりはないようです。強いて言えば、ニュージーランドの方が2~3割は強いかな、と思いましたけれどね。
日本のGWでも仲間はほとんど皆、日焼け止めクリームを塗っていますから、一般的にはキチンと塗ることを僕はお勧めします。

2013/11/16  二日目の朝です。起床が何時で、出発予定が何時だったかは忘れましたが、僕自身は6時過ぎには目を覚ましていました。

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▲トイレの前からの眺め。タズマン氷河が眼下に見えます。写真には写っていませんが、左手前に写っている稜線の先には Novara Peak 2299m があるのです。その稜線の向こう側の谷には Murchison River が流れ、上流には Murchison Glacier があります。南北に(写真では左右に)長く連なっている尾根は Liebig Range で、2000m台後半の山々です。6:22ころ。

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▲便座に座って朝のお勤め。上の写真の山も見えます。左のは手の消毒用アルコールジェル。トイレはとても清潔です。6:25ころ。

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▲便器です。当り前のことですが、ニュージーランドでは山小屋のトイレも洋式。こういう形の洋式トイレは僕も初めてですから、何となく使い勝手が悪そうに感じましたけれど、実際に使ってみると、大丈夫ですね。とにかく、清潔に保たれています。6:31ころ。

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▲便器の背中側にはこんな貼り紙が。左下は「うんちボックスは捨てないで! ビジターセンターまで運び下ろして!」って感じでしょうか。右下は「4U2P(for you to pee)」とあります。「ここでおしっこしてね」ということ? 「ゴミは捨てないでね」とも。
それはともかく、右上の赤い紐で結ばれた石っころは何のためなんでしょうかね? 6:31ころ。

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▲キャロラインフェースに朝陽が当たり始めました。6:34ころ。

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▲この小屋の第3の部屋は木組みのベランダから入れます。6:34ころ。

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▲小屋の南西方向の斜面です。直近のパーティーが歩いた足跡が付いています。6:34ころ。

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▲朝の日差しが強まって来ました。下に見える小さな屋根はトイレの屋根です。6:34ころ。

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▲昨日はこの写真の尾根を右下から中央の小ピークを越えて左へと歩いて来たのです。6:36ころ。

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▲あらためて、キャロラインハット全景。小さな山小屋です。煙突、そして手前には屋根で受けた雨水を貯める容器が設置されています。6:37ころ。

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▲日本の山でもそうですが、S子は山ではよく寝ます。6:47ころ。

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▲モーニングコーヒー(ティー?)を飲みながら読書する藤井さん。7:37ころ。

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▲朝食の準備をするマーティンとギィディアン。右上の人物写真はこのガイド会社の創設者であり、この山小屋を建てたGottlieb Braun-Elwert です。残念なことに彼はすでに亡くなりましたが、会社は彼の妻が運営しています。娘さんも手伝っているようですが、父親とともにマウントクックに14歳で登ったんだそうです!!! 8:15ころ。

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▲またしても食事の写真を撮り損ねています。ベジマイトを勧められたので食べてみました。食パンに付けて食べるのは如何なものかとは感じましたが、ベジマイト自体の味は日本人にはさほど抵抗感はないのではと感じます。美味しいです。オーストラリアとニュージーランドの国民食と言えるほどにポピュラーなのだとか。逆に、両国以外ではほとんど受け入れられていないとも。8:24ころ。
朝食は何だったか忘れてしまいました。パンやシリアルを好みで食べたような気がします。フルーツもあったような・・・・

出発は何時だったんでしょうか? 今日はボールパスまでの往復ですから、基本的にはのんびり出来る日です。それに、天気予測としては、朝方はあまり良くないと判断していたようですから、様子を見ながら出発時刻を決めようといった具合だったようです。


NZ旅№5―――山小屋キャロラインハットまで

2013年12月23日 | ニュージーランド旅2013

2013/11/15  いよいよBall Ridge に取り付き、本格的登山の開始です。

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▲Ball Shelter の少し先から Ball Ridge に取り付きます。いきなりの急登。でも、ジグザグにルートはついていますから大丈夫。15:20ころ。

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▲こんな大きな岩がゴロゴロしている箇所もあります。15:22ころ。
後方にはタズマン氷河湖が。

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▲さきほどの Ball Shelter が見えています。(写真をクリックすると大きくなります)後方の矢印の場所です。15:39ころ。
この写真から何となく推測できるのですが、この小さな山小屋が建っている平坦な地が山裾に沿って100mほどの幅で続いています。そこにはかすかに車道のような跡も認められます。草も生えている平坦地の先(左)には灰色の氷河がありますけれど、氷河の氷が融け低くなって来ていますから、草の生えた平坦地と氷河との境目は崖になっているのですね。その崖が年々崩れて平坦地が狭くなっていっているのだと想像できます。山小屋が建っている場所も数十年後には崩れ去っているかもしれません。

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▲ほんのわずかですが、こんなのどかな場所もありました。先頭はマーティン、続いてS子です。16:03ころ。
S子の右の大きな葉っぱの株はマウンテンデイジーでしょうか?

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▲僕がカメラを向けると、ガイドのギィディアンがポーズをとってくれました。彼の前は藤井さんに華世ちゃん。16:20ころ。
華世ちゃんの左手のそばにあるのもマウンテンデイジーでしょうか? 大きな花が咲くそうですね。

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▲後方はタズマン氷河。僕たちは写真の右から登って来たのです。16:21ころ。
このあたりから僕と華世ちゃんとの間が開き気味になって来ました。

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▲Ball Ridge の稜線に飛び出ましたから、マウントクックの姿も目に飛び込んで来ます。この雪氷の付いた面がキャロラインフェースです。真下の氷河はボール氷河だと思います。川で例えればタズマン氷河の支流にあたります。16:22ころ。

このニュージーランド最高峰、正式名はAoraki/Mount Cook アオラキ/マウント・クックです。3754mですから、富士山より22m低いだけでほぼ同じ高さ。ですが、氷河を四囲に抱き、高峰としての風格は富士山の上を行っていますよね。
アオラキとはマウイ語で「雲を突き抜ける山」の意。マウイ語はニュージーランドの公用語にもなっていますから、マウント・クックとして世界中に知られるようになりましたけれど、あえてマウイ語との併記をしているのだそうです。ブログでは正式名ではなく「マウントクック」で統一しています。それは僕が単に面倒くさがり屋だから。すみません。

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▲休憩です。右にガイドの二人、左に藤井さん。16:35ころ。
ガイドは二人とも短パンです。

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▲記念撮影です。S子とマウントクック。16:42ころ。

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▲背後のタズマン氷河、氷河後退によって出来た山麓の縞模様、ボール尾根最下部の様子などが素晴らしく俯瞰できるようになりました。17:03ころ。
華世ちゃんの手が腰にあたるようになりました。少々息が上がって来ている様子です。自転車や長距離走で持久力はある華世ちゃんですが、重荷を背負っての登山はちょっと勝手が違うようですね。これは慣れだと思いますから、2、3度このレベルの重荷と急登の山を経験すれば、すぐ楽に歩けるようになると思います。
S子はスピードは出ませんけれど、まったく苦しい様子はありません。快適なようでした。こういう山行はしょっちゅう体験していますから。

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▲両手を使って登るような場所も増えて来ました。17:04ころ。
ギィディアンが華世ちゃんの様子に気づいたのでしょう、最後尾から華世ちゃんの真後ろに移って来ました。

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▲マウントクック目指して登り続ける! って感じですね! 17:06ころ。

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▲対岸には右からNovara Peak 2299m、Malcher Peak 2469m、Mt Johnson 2682m などが見えています。氷河後退の縞模様も綺麗に見えます。17:09ころ。
華世ちゃんの足取りが遅くなっています。心配ですね。

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▲先ほどの休憩から30分ほどですが、小休止して華世ちゃんの荷物を軽くすることに。17:12ころ。
S子の荷物は歩き始める最初から軽くしてありました。その分、僕が少し重くはなっていますが、それでも10数キロなので、山では軽い範疇です。

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▲だんだん岩っぽい箇所が増えて来ます。17:22ころ。

どのあたりからだったでしょうか? “Concentration”だか“Focus”だか、危険なのでガイドから注意喚起が発せられる箇所が増えて来ました。それで、ギィディアンが「日本語ではどう言うの?」と聞いたようです。華世ちゃんだったでしょうか、それに答えて「シ・ユ・ウ・チ・ユ・ウ シュウチュウ(集中)!」。その時から、地域限定、期間限定の流行語になりました。
お互いに「シュウチュウ!」と声かけあって、心を引き締めたのです。

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▲タズマン氷河に山の影が出来ていますね。17:33ころ。

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▲岩だらけの尾根になって来ました。17:46ころ。

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▲ボール尾根を登っている間中、何度も何度も雪崩の音を聞いています。大音響で轟いています。しかし、なかなか雪崩れている瞬間を見ることができません。キャロラインフェースのどこで雪崩れているのかが分からないのです。そのたびに、立ち止まって(歩きながらだと転落・滑落の危険性がありますから)探すのですが、見つかりません。
そのうち、藤井さんが発見して場所を教えてくれました。教わってもなかなか見つからないのですが、僕にもようやく分かって望遠で撮影したのがこれ。大きな音がする割にはその姿は沢の普通の滝くらいにしか見えません。でも、間近に見ると、大きな雪崩なのでしょうね。巨大な氷の塊が岩場にぶつかって鳴り響いている音なのでしょうし。18:05ころ。

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▲女性2人とも手を付いて登るほどの急斜面です。さすがに陽も傾き始めましたし、風も出て来ましたから、みな上着を着ました。ついでにスパッツも装着。マーティンは短パン(裾を巻き上げているのですが)にスパッツという妙な格好です。18:10ころ。

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▲雪は時折見えるようになっていましたが、もう少し先へ進むと、完全に雪山状態になると分かって来ました。一段と心が引き締まります。18:12ころ。

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▲雪山突入! いきなりのトラバースです。マーティンが丁寧にステップを作って行ってくれます。その後もずうっとそうでしたけれど、歩幅の狭いS子を考慮してくれたからなのか、ステップの間隔が比較的狭くて歩き易いものでした。18:29ころ。

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▲ギィディアンがロープを固定して張ってくれました。先にいるギィディアンの場所から右上へ登って行くようです。急な傾斜なのでしょう。僕と藤井さんは今いる安全な場所で待機です。18:39ころ。

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▲僕と藤井さんも進んで来ました。S子と華世ちゃんにはギィディアンが付いてくれています。おそらくS子にとっては慣れた雪の傾斜だったと思います。ガイドとしては今回最初の雪の急(?)斜面だったので安全策をとりつつ、参加メンバーの登り方を観察していたのでしょう。
それとも、それ以外の要因、例えば雪崩れ、シュルンド、落石などを考慮してのものだったのでしょうか? 18:42ころ。

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▲ロープを張った急斜面を登りきると、なだらかな雪面になりました。Ball Pass も行く手に見えて来ました。キャロラインハットももうすぐです。18:59ころ。

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▲先頭からマーティン、S子、華世ちゃんですが、3人のちょうど真上に見えているコルがBall Pass です。19:00ころ。
前方には小さくキャロラインハットが見えているのですが、どこだか分かりますか?答えは少しあとで。

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▲S子と華世ちゃん。後方右端の山はNovara Peak 2299mでしょう。この辺りが標高1750m前後でしょうから、Novara Peak ともあまり標高差を感じなくなりました。19:02ころ。

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▲左下にはタズマン氷河湖が見えています。 19:04ころ。

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▲先ほどの問いの答えです。クリックして写真を拡大すれば、キャロラインハットの四角い建物が分かると思います。

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▲広大でなだらかな雪原を登るギィディアンと藤井さん。雪山のこんな景色が僕は好きです。19:09ころ。

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▲雪山という大自然の中での Activity って感じがひしひしと伝わって来ますね。S子も格好いいです。19:14ころ。

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▲キャロラインハット到着直前! 山小屋の屋根も大きく見えて来ました。先頭からギィディアン、藤井さん、S子。19:39ころ。

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▲これがキャロラインハットです。19:47ころ。

ボール尾根に取り付いてから約5時間。平均時間よりは少しかかりましたけれど、何事もなく無事にキャロラインハットに着きました。
日本の尾根に例えればどんな尾根に似ているだろうかといろいろ考えましたけれど、なかなかぴったりという例はありません。下半部の雪がなかった辺りは薄い踏み跡が途切れ途切れにある状態です。日本の本格的バリエーションルートである、北鎌尾根、剱の源次郎尾根、谷川の東尾根などの無雪期と比べても、ずっと易しいレベルです。奥多摩の一般登山道のない藪尾根レベルよりはずっと難しいですから、想像してみて下さい。
もしガイドレスで個人山行したとしても、なんとかルートファインディングは出来ると思います。しかし、何度かは嫌な場面に遭遇しそうですね。一筋の尾根ですから、大きくルートを外すことはないのですが、細かな間違いは繰り返しそうです。

上半部の雪が出て来てからの方がルートファインディングは容易です。ただし、天気良好で見晴らしがきく時に限ります。
困難度は雪の状態次第で大きく変わるのは当然ですけれど、日本のGWころの尾瀬周辺の春山と比較して、さほど難しい山ではありません。そのように感じました。

体力的には日本の山を月に1、2回ペースでコンスタントに歩いている人ならば、大丈夫だと思います。日本の山はどこの山でも急登が多いですから、ボール尾根を特別の急登と感じる人はいないでしょうね。
奥多摩なら鴨沢から雲取山、日原から稲村岩尾根を鷹ノ巣山への登山道を標準コースタイムで歩けたり、テントを背負っての縦走などを楽しんでいるような山屋さんなら、この初日のボール尾根は問題なく歩けると思います。もちろん、ガイドが付いての話ですけれど。
それに加えて、雪山は基本でいいですから経験している方がいいと思います。初日のボール尾根でガイド同行ならばの話ですが、危険度の少ない残雪期の山や冬の奥秩父程度の雪山は経験しておいた方が安心できると思いましたね。

リアルニュージーランドのHPでは「雪山初心者でも大丈夫! 雪上でのクランポンやピッケルの使い方や歩き方など、現地の優秀なガイド達が手取り足取り指導してくれて、日本の雪山デビューの予行演習にもなる!」と書いてあったのですが、せっかくの海外旅行です、現地で初体験して「やっぱり難しかった」と言うよりも、日本である程度は経験しておいてニュージーランドでも確実に実践できる方が安心だと思いますよ。


NZ旅№4―――いよいよ登山開始! Ball Shelterまで

2013年12月20日 | ニュージーランド旅2013

2013/11/15  いよいよ今日から登山活動開始です!

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▲朝、目が覚めると、表で音がします。カーテンを開けてみるとカモがいました。昨夕も人のそばに寄って来るカモがいましたが、人から餌をもらうことを覚えてしまったカモなのでしょう。野性を失うことは、いろんな意味からカモにとっても悪いことですから、餌づけをしないでもらいたいものですね。6:41ころ。

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▲ホテルは北向きです。ニュージーランドは南半球ですから、たいがいの家は北向きが日当たり良好なのです。すると、日本などとは反対に右側から日が昇るのですね。そして、太陽は右から左へ移動するのです。6:54ころ。

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▲先ほどのカモの夫婦なのでしょう。6:54ころ。

昨日の朝食の残りを隣りの藤井さんの部屋で皆でいただきました。

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▲ここはアルパインレクリエーションの事務所です。8:11ころ。
アルパインレクリエーションは山岳ガイドの会社。今回泊まる山小屋、キャロラインハットを所有しています。
昨晩、登山に必要なものとそれ以外のものとに分けておきました。登山靴、ザック、雨具などの装備が大丈夫かどうかを同行ガイドがチェックしてくれます。アイゼン、ピッケル、ハーネス、ヘルメット等はここで借りることにしていましたから、受け取ります。
意外とバタバタとし、1時間くらいで出発。ちなみにこのクライミングボード。運動靴で少しだけチャレンジしてみましたが、案外と難しかったです。僕にとっては。

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▲リアルニュージーランドの車はアルパインレクリエーション事務所の庭に置いて、ここからはアルパインレクリエーションの車でスタートです。運転はマーティン。助手席にはギィディアン。
通常は4人に対してガイド1名が付くのですが、今回は2人です。ギィディアンが正式なガイド資格を獲得するために時間の実績を積まなければならないとのことで、加わってくれました。僕たちにとっては超ラッキーなことです。リアルニュージーランドへの好意的配慮ではなかったのかなぁとか想像しました。
マウントクック村まで車を飛ばします。100キロくらいあるそうですが、1時間くらいで到着するのだとか。やっぱり一般道路を時速100キロですっ飛ばすんですね。9:09ころ。

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▲プカキ湖の南岸に着きました。テカポ湖同様、氷河の影響で形成されたモレーン湖だと思います。このLake Side View Point からはマウントクックの本当の頂上(最高峰)が見えるのだとか。他の麓からは最高峰が見えないそうです。
この日は、少し霞んでいてうっすらとしか見えませんが、見えること自体かなりラッキーなことだそうです。9:40ころ。

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▲せっかくのビューポイントですから記念撮影。右から藤井さん、華世ちゃん、S子、僕。
マウントクックは藤井さんの後方に見えています。9:42ころ。
このブログとしては例外的ですが、リアルニュージーランドの藤井さんと華世ちゃんは名前もお顔も公開しています。(あっ、そうそう。マーティンとギィディアンもですね)

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▲マウントクック村に到着する手前での写真。マウントクックが大きく見えて来ました。(もちろん望遠ですが)10:08ころ。

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▲ニュージーランド・アルパイン・クラブのロッジ裏庭です。マーティンが何やら打ち合わせをしている模様。10:25ころ。

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▲アルパインレクリエーションの車の左には年代物のトヨタの四駆が。この四駆にザック等を積み替えました。10:25ころ。

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▲再び車に乗って、すぐ近くのビジターセンターへ行きました。そこでこの写真の景色が。ニュージーランド国旗とニュージーランド最高峰マウントクックのツーショットです。10:37ころ。
館内には様々な展示物があります。マーティンが説明をしてくれます。ただ、僕はここでトイレタイム。マーティンの解説も聞きたかったですね。

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▲マウントクック村の北西にはMt.Sefton3157m が聳えています。この村がおおよそ標高760mくらいだそうですから、圧倒的な存在感でそこに在りました。10:55ころ。

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▲フッカー・バレー・トラックのスタート地点にある駐車場まで2台の車で行きました。アルパインレクリエーションの車はここに置いておきます。明後日、予定通りならばここに辿り着くのです。11:08ころ。
右からS子、藤井さん、華世ちゃん、マーティン、四駆を運転して下さる方、ギィディアン。
中央の山がマウントクックです。

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▲Mt.Sefton3157m 。けっこう広い駐車場です。11:08ころ。

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▲トヨタの四駆に全員が乗り込み、オフロードへ突入です。駐車場があったフッカー・バレーから東隣りのタズマン・バレーへ向かいます。40分くらいのドライブでしたが、前半は普通の未舗装の林道のようなものでしたが、後半は本格的なオフロード。時速も10キロ程度でしょう。
車酔いの心配があるS子を助手席に乗せ、世話役兼通訳で華世ちゃんも同席しました。11:11ころ。

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▲四駆で入れるところまで入ってくれました。昔はもっとずうっと奥まで入れていたようです。でも、地球温暖化の影響でしょう、氷河が後退し、それまで車が通行していたルートが不安定になり、通れなくなりました。
トヨタの四駆とはここでお別れです。11:58ころ。

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▲四駆が方向転換し、帰って行きます。11:58ころ。

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▲ここから奥へと歩きます。11:59ころ。
左は山ですが、右のガレ場は氷河が運んで来たモレーンなのでしょう。

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▲設置してある罠に動物がかかっていました。12:06ころ。
ニュージーランドは外来種駆除の先進国だそうです。それは裏返すと、外来種によって自然が大きなダメージを今なお受け続けているということでもあります。哺乳類がコウモリしかいなかった、哺乳類である人類がこの島に住み始めてからまだたったの1200~1300年しかたっていないと言うのに、こんな辺鄙な地域でこれほど簡単に哺乳動物が罠にかかってしまう。それはひどく異常なことです。

ところでここでついでに、ニュージーランドびっくり事情その3です。
上記のこととも深いつながりがあるのですが、道路を走っていると動物の死体が次々に道路上に現われて来るのです。ポッサムやウサギが多いそうですが、相手が小さいこと、急ブレーキをかけたり急ハンドルを切ったりする方が危険なこと、さらに駆除対象の動物であることなどが重なって、多分ドライバーは轢いてしまっても罪悪感を感じなくてすんでしまうのでしょう。
僕など今回同乗していて、動物の死骸の上を自分たちの車が通ることだけでも、ものすごく抵抗感がありました。せめてその遺体を道路脇へ寄せてあげたいと感じてしまうのです。ニュージーランドではそんなこと出来ませんし必要もないことは分かるのですが、日本での感覚は短い期間では変えようがありませんでしたね。

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▲先頭からガイドの二人、華世ちゃんと藤井さん、そしてS子です。12:10ころ。

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▲ネットで調べましたが確信は持てません。おそらくスノーベリーSnowberry だと思います。ツツジ科であることは確かだと思います。花の形が日本のドウダンツツジなどに似ていますから。地味な花ですが、この花が今の時季、いちばん多く咲いていました。12:16ころ。

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▲タズマン・バレーへ落ちている谷です。Ball Ridge(ボール尾根)からの支谷です。キャロラインハットはこの見えている尾根の右あたりにあるのではないでしょうか? 12:25ころ。

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▲後方を振り返ると、幾層にも重なった巨大なレンズ雲がありました。天気予報は下り坂を示していましたから、良い予兆ではありません。12:36ころ。

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▲左から右にタズマン氷河が流れています。12:46ころ。
タズマン氷河はニュージーランド最長の氷河です。幅4キロ、長さ27キロあります。そして、なんと! 最大深度は600mもあるのだとか! しかし近年、地球温暖化のあおりを受けてでしょう、1990年ころから氷河の後退が顕著になっているようです。
対岸の山 Novara Peak 2299m の麓に水平についている模様を見て下さい。この線がもともと最近まであった氷河の際の線だと思います。

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▲タズマン氷河湖が見えました。これまではモレーンの壁があって見えなかったのです。12:51ころ。
前の写真もそうですが、氷河を岩や土砂が覆っていますから白い氷は見えません。

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▲昔はこの先まで車が入っていたそうです。氷河後退によってルートが不安定になって行く様子が分かりますね。13:02ころ。

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▲瓦礫ばかりの荒涼としたルートが続きますが、時折このような緑のオアシスが現われてホッとします。13:07ころ。

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▲この緑のオアシスに花咲いていたのが、このマウントクックリリーMount Cook Lily。キンポウゲ科の植物ですから、日本のウマノアシガタやミヤマキンポウゲと同じ仲間です。でも、花は巨大ですし、純白の花ですし、葉っぱも大きな広い葉です。同じ科・属だとは信じられませんね。13:08~13:11ころ。
ただ、そんな解説は別に、とても印象深く豪華で美しい花ですね。

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▲瓦礫のアップダウンには写真のようなちょっと厭らしい箇所も出て来ます。マーティンがステップを切ってくれていますが、それでも慣れていないと嫌でしょうね。13:47ころ。

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▲道が良くなりました。昔はBall Shelterまで車で行けたというマーティンの言葉が真実だったのだと納得できますね。13:53ころ。

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▲いい道はすぐに消えてしまい、アップダウン再開です。14:04ころ。

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▲振り返ると、先ほどのいい道やタズマン氷河湖も見えています。14:05ころ。

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▲Ball Shelter に到着。14:18ころ。
小屋は新しく、最近建て直したのだと思います。
ここで昼食にします。昼食は今朝、アルパインレクリエーション事務所で各自もらっているのですが、行動食も含め僕にとってもS子にとってはなおさら、すごく多い量。僕のには手を付けず、S子のサンドイッチとリンゴを僕が食べ、S子にも少し分けてあげました。

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▲Ball Shelter の中の様子です。定員は3人。宿泊券を$5で購入して利用することが出来るのだと思います。トイレもありますし、雨水を屋根で受けて溜めてあるタンクもありました。14:58ころ。

四駆下車した場所から2時間20分ほどかかりました。僕自身が予想していたよりも倍ほどの時間がかかっています。四駆でさほど奥まで入れなかったからでしょうか? すでに、午後の3時ですから、日本の夏山の感覚で言えば、もう山小屋に着いていなければならない時間ですよね。ここからキャロラインハットまでかかる時間が通常で4時間だそうですから、到着は午後7時を過ぎること確実です。ニュージーランドの夏山での時間感覚に驚かされています。


NZ旅№3―――マウント・ジョンを登りました

2013年12月16日 | ニュージーランド旅2013

2013/11/14  ホテルにチェックインした後、しばしのんびり。それからテカポ湖周辺の散策へS子と二人で出かけました。夕食までの時間、あまりありませんから、湖畔の散歩くらいかなぁと思っています。

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▲散歩の準備をして、ホテルの自分たちの部屋から出発です。15:02ころ。(S子撮影)

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▲ホテルを出てすぐに巨大な松ぼっくり発見! 木の名前は分かりません。15:09ころ。

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▲たまには僕の後ろ姿も。15:10ころ。(S子撮影)

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▲この山はマウント・ジョン1031mです。この辺りの標高が700m少しのようですから、それなりの標高差です。登ってみたいのはやまやまですが、18時にはホテルへ戻っていないといけませんから、湖周辺の散歩だけにしようと考えていました。15:12ころ。

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▲ルピナスのお花畑! パープルの微妙なグラデーションが美しいですね。15:14ころ。

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▲ルピナスばかりではなく、ポピーのような花も咲いています。ただ、これも庭の花が野生化したのでしょうね。15:35ころ。

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▲またまた登場! 僕の歩く姿です。この写真ではよく分かりますけれど、テカポ湖の水の色は空の色よりもずっと空色ですね! 山はマウント・ジョン。15:36ころ。(S子撮影)

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▲テカポ湖の東から北に連なる山々。山座同定は僕には出来ませんが、2000mから左奥の山々になると3000mに近い山もあるようです。15:37ころ。

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▲テカポ湖にはほとんど水鳥の姿がありませんでした。でもこの時は全身真っ黒の、嘴まで黒い水鳥が泳いでいました。15:39ころ。

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▲エニシダの花です。これも外来種だそうで、ドライブ途中でも全山黄色と言ったところもあったくらいですから、猛烈な勢いで増え広がっているようです。ヨーロッパ原産の鬼エニシダであるとか、花粉症の原因にもなっているとか書かれていますが、どうなのでしょうね? 15:50ころ。
そうそう、こんな花もありました。ただし、花の時季がとっくに過ぎてしまっていたようで、花は咲いていませんでしたけれど。僕のブログで以前のせています。
http://blog.goo.ne.jp/1940sachiko/d/20130612
多分これも外来種なんでしょうね? ニュージーランドはまだまだ余力というか隙間をたくさん抱えた自然なのでしょうね。侵入され易い自然のようですから、心配してしまいます。

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▲『地球の歩き方』にはマウント・ジョンの往復に2時間30分から3時間かかると記載されていました。でも、登山口そばに来ると、山頂まで1時間とあります。ですから、登ってみることにしました。ここまではぶらりぶらりと来ましたが、ここからは少し真面目に歩きます。15:58ころ。

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▲これがテカポ・スプリングスなんでしょうか? 温水プールだと思います。下山してからここに来るオプションもあるのですが、温泉ではないので、いまいち気は進みません。ホテルのバスタブに長い時間浸かっている方が好みですね。(華世ちゃん、せっかくの提案なのにご免ね)16:00ころ。

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▲マウント・ジョン前半はこのような針葉樹の林を歩きます。緩やかな傾斜なので、疲れません。16:11ころ。

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▲テカポ湖の水の色は上から見るとさらに際立っていました。氷河から流れ出す水は白く濁っているのが通常です。それは氷が削り出している岩石の細かな粒が混ざっているからなのですが、テカポ湖のこの色は水と砂粒との絶妙なバランスで生じた色なんでしょうね。
写真中央に赤い矢印(写真をクリックすると拡大されます)で示された場所が、僕たちのホテルです。16:14ころ。

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▲針葉樹の森を抜けだすと、こんな草原になりました。16:28ころ。

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▲下からも見えていた天文台がすぐそばに見えるようになりました。ここまで、けっこう多くの人に会っています。気軽に登れる山なんですね。16:33ころ。

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▲マウント・ジョンのなだらかに南北に流れている尾根に乗ると、これまで見えなかった西の山々が見えて来ます。中央少し右に見えている山はマウント・スティーブンソン2330mだとか。
雲は羊雲ですから、天気は下り坂のようです。明日は大丈夫でしょうか? 16:33ころ。

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▲マウント・ジョン南峰から北峰を眺めます。下からはひとつしか見えなかった天文台がこんなにもあるのですね。よほど観測条件が良い場所なのでしょう。16:39ころ。
調べてみると、テカポ湖周辺はニュージーランド国内でも晴天率が高く、周辺に大きな町がないので夜空が暗く保てるのだそうです。2012年6月には国際ダークスカイ・リザーブから星空保護区のゴールドステイタスを与えられたそうです。テカポ湖周辺の星空を世界遺産に登録しようという動きもあるそうですから、本当にすごい夜空が望めるのでしょうね。

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▲テカポ湖側をトラバースしながら、北峰へ向かいます。16:47ころ。

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▲マウント・ジョンの北にあるアレクサンドリナ湖も見えて来ました。16:49ころ。

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▲マウント・ジョン山頂に到着しました。
さっそく、マウント・スティーブンソン2330mを望遠で捉えてみました。今回の登山で越えるボールパスBall Passが2121mですから、気が引き締まりますね。16:54ころ。

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▲何色と表現すればいいのでしょうね? 波はないのでしょうか? それとも、波も同じ色なんでしょうか? 17:04ころ。

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▲登山口からのんびりと歩いて50分くらいで山頂に着きました。下りも40分くらいだったのでしょうか。来る時は湖岸沿いに歩きましたが、帰りはこの整備された遊歩道を歩いてみました。17:51ころ。
確かこの直前くらいだったと思いますが、ジョギングする藤井さんに遭遇、毎日トレーニングしているのでしょうね。

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▲ホテルに到着する少し前17:53ころと、夕食を終えた20:38に出会ったウサギです。
もともと哺乳類に関してはコウモリがいた程度のニュージーランドにウサギを持ちこんだのはヨーロッパ人。狩猟用に放したようですね。それが増えに増えて、大変なことになっているようです。キツネもオオカミもイタチもいないのですから当然ですよね。

18:10ころにホテルに戻った僕たちは、藤井さんと華世ちゃんお勧めの日本料理店へ。外国に来てまで日本料理店はどうかと思ってしまいますけれど、この店の「サーモン丼」は別格だとか。実際に食べてみると、脂がたっぷりとのっているニュージーランド産のサーモンが本当に美味しいのです。
僕の悪い癖ですが、食事になるとついつい食べることに夢中になってしまって写真を撮るのを忘れてしまいます。で、お見せすることができません。

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▲この時刻(20:45ころ)でこの薄暮! いくら夏時間だからと言っても、本当に遅くまで明るいのです。ホテル自室の前庭とマウント・ジョン。

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▲テカポ湖上空に輝くお月さま。華世ちゃんから星空ツアーへ行こうと誘われていたのですが、明日から登山ですし、朝早く起きなければなりません。21時からの星空ツアーに参加して、寝不足になるのが心配なので参加は遠慮しました。
それに、この月明かりの空と広がっている雲、観測にはあまり好条件ではありませんし・・・・  20:47ころ。

一人参加した華世ちゃんから翌朝聞きました。やはり雲が多くて条件は良くなかったとか。この近くで集合し、天文台まで車で行ったそうです。
僕も再びテカポ湖へ来ることがあれば、そしてその夜、雲が少なく月夜でもなければ、是非とも星空ツアーに参加したいと思いますね。