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本好き人の365日

二月の本棚 2 『オズの魔法使いとグロリア姫』

2007-02-21 13:14:00 | 本と日常
今回は、ライマン・フランク・バウムの「オズの魔法使い」シリーズの2回目。

*(キラキラ)*『オズの魔法使いとグロリア姫』*(キラキラ)*をご紹介します☆

1900年に一作目が発表されて以来、多くの人に楽しまれてきたこのシリーズ。

カンザスに住む少女ドロシーが、竜巻によって家ごと大空にすい込まれ、不思議な世界、オズの国に落っこちる。

ドロシーの友達になるのは、脳ミソのないかかしに、心臓のないブリキのきこりと臆病なライオンの三人(二人?と一匹)!

こんな心おどる出だしで始まったおとぎの国「オズ」の物語は、発表されるやたちまち人気となり、演劇作品として上演されるなどして、その後、多くの続編が書かれました。

ジュディ・ガーランドが出演したミュージカル映画は特に有名ですよね☆

そうそう、あのスタジオジブリで映画化されたダイアナ・ウィン・ジョーンズの『魔法使いハウルと火の悪魔』(映画名「ハウルの動く城」)。

あの作品にも、影響を与えているんですよ。

日本語だとちょっとわかりづらいですが、原作の中で「荒地の魔女」(Witch of Waste)という名前が、オズの魔法使いに登場する西の悪い魔女(Witch of West)にひっかけてあったり、どちらも最初に仲間になるのが”かかし”だったり♪

そういえば、今回の作品の中でも、美しいグロリア姫が魔女によって心臓を凍らされてしまうシーンがあるんですが、「ハウル」の中でも心臓は重要なポイント。

やっぱり魔女と心臓は切っても切れないのかも。

「オズ」の中に「愛とネコには九つの命がある」なんてセリフが出てきますが、ダイアナ・ウィン・ジョーンズの他の作品にもそんなネタが使われています。

バウムとジョーンズ、この二人案外好みが似てたりして☆

グロリア姫というのは、オズの国のはずれにある”ジンクスランド”のお姫様です。

彼女は庭師の弟子に恋をするのですが、叔父の国王により、年寄りのお金持ちとの結婚を迫られます。

彼女の愛があまりにも強いので、国王と金持ちは相談して、悪い魔女に頼んで彼女の愛をなんとか冷めさせてしまおうと計画します。

でも計画というわりには、発想は子供。
なんと彼女の心臓を直接凍らせてしまおうというのです!

心臓(ハート)の凍ってしまったグロリア姫は、誰も愛することができなくなり、自分さえも愛せない冷たい心に。

エ~!! 心臓が凍ったら愛も凍ってしまうの?

でもこういう発想は「オズ」の世界では当たり前なんです☆

子供の夢が現実になる。
だって「オズ」ってそういう世界だから♪

庭師の弟子への愛も冷めてしまったグロリア姫。
愛する相手がなんとか元に戻そうとしますが、グロリア姫は冷たい視線で見つめるだけ。

国王たちの悪だくみはこうしてうまくいくように思えたのですが、そこにまたまた陽気なキャラクター達がやって来て…

今回もかかしが活躍します♪

でも主役はいつも大きなボンネットをかぶった小さな女の子、トロット。

そして大人の男性キャプテン・ビルと、おしりにプロペラの付いた可笑しな鳥、オーク。

このトロット、小さいのにしっかりしていて、無邪気で真っ直ぐ!

三人はポップコーンの雪が降り、レモネードの雨が降る不思議な世界を通ってオズの国へやって来ます。

いいなぁ~ポップコーンの雪だなんて*(ハート3つ)*

トロットとキャプテン・ビルは知り合いなのですが、ボートで近くの洞窟に探検に行く途中、大きな渦巻きに飲み込まれて、不思議な世界へと落ちてしまったのです。

そこで出会ったのが、このなんとも奇妙な鳥オークなんですが、この鳥も性格がとってもイイ!

大きな鳥なので、友達になるとトロット達を乗せてくれます。

動物達が話しをすることができるっていうのも、このオズ・シリーズの大きな魅力の一つですね☆

というか、かかしや、ブリキのきこり、ロボットのチクタクや綿が詰め込んであるつぎはぎ娘までが話しをするんですけど♪

ちなみにオズの世界には様々な国もあって、「せともの」の国や「生きた紙人形」の国、住民がパズルでできていて驚くとすぐバラバラになってしまったりする(笑)「バラバラパズルの国」に、「パンの国」(住民がみんなパンでできている♪)なんてのもあります☆

妖精や伝説を持たないアメリアらしいっていえばアメリカらしいおとぎの国ですね。

さてこのトロット。
ドロシーよりも一つ年下なのですが、のちにドロシーとも友達になって、ベッツィというもう一人の女の子も加わり、オズの国の女王オズマ姫と共にエメラルドの都で姉妹のように仲良く暮らすことになります。

この頃にはなんとドロシーはオズの国で暮らしているんですよ、みんなと一緒に☆

この『オズの魔法使いとグロリア姫』は14冊あるシリーズの内、9作目にあたりますが、ポプラ社からはそのうち6冊が邦訳されています。

14冊全部を訳したものに、ハヤカワ文庫のオズ・シリーズがありますが、そちらはこんな感じ。

*(キラキラ)*「オズの魔法使い」(ポプラ社「オズの魔法使い」)
*(キラキラ)*「オズの虹の国」(ポプラ社「オズの魔法使いと虹の国」)
*(キラキラ)*「オズのオズマ姫」(ポプラ社「オズの魔法使いとオズマ姫」)
*(キラキラ)*「オズと不思議な地下の国」
*(キラキラ)*「オズへつづく道」
*(キラキラ)*「オズのエメラルドの都」(ポプラ社「オズの魔法使いとエメラルドの都」)
*(キラキラ)*「オズのつぎはぎ娘」
*(キラキラ)*「オズのチクタク」
*(キラキラ)*「オズのかかし」(ポプラ社「オズの魔法使いとグロリア姫)
*(キラキラ)*「オズのリンキティンク」
*(キラキラ)*「オズの消えたプリンス」(ポプラ社「オズの魔法使いとふしぎな事件)
*(キラキラ)*「オズのブリキの木樵り」
*(キラキラ)*「オズの魔法くらべ」
*(キラキラ)*「オズのグリンダ」
(以上佐藤高子訳ハヤカワ文庫オズシリーズ)

こちらのシリーズは残念ながら絶版となったものもありますが、最近復刊の動きもあるらしいです。

ぜひ復刊して欲しいなぁ~☆

はたしてグロリア姫の凍った心臓は元に戻るのか?

勇敢なかかしに火あぶりの危機?

それにしても、このシリーズに登場する女の子って、ドロシーもトロットも、いつもお腹を空かしているように見えるんだけど、それって気のせいかな?(笑)

まだまだ面白い登場人物や、可笑しな事件が続くオズ・シリーズ。

紹介の方はもう一回だけ続きます。

よろしかったら、もうしばらくの間お付き合い下さい☆

すべての少年少女と、かつての少年少女に♪











ライマン・フランク・バウム  著
守屋 陽一  訳
ポプラ社文庫



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