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新井素子 『銀婚式物語』

2012-05-02 18:00:00 | 新井素子

中央公論新社さん、文庫化はまだですか?

以前図書館で読んだ新井素子さんの単行本。

もう一度ゆっくり読み返したくて、今回はちゃんと借りて来ました。

新井素子 著

 

『銀婚式物語』(中央公論新社)

 

新井 素子
中央公論新社
発売日:2011-10-22

 

 

 

 

 

 

1986年に文庫本が発売された『結婚物語』、その2年後1988年に文庫本が発売された『新婚物語』の続編。

結婚から25年後、「銀婚式」を迎えた主人公夫婦を描いています♪

だから続編が出るのに25年もかかったのか~

作者の新井素子さんも、まったく同じ時期に結婚されているので、まさに実体験がもとになっている小説。(脚色はされています☆)

新井素子ファンはもうあきらめていますが、他の小説だったら続編が25年後に出るなんて考えられないよね(苦笑)

 

実生活が反映されているので、これまで発表されてきたエッセイとダブるところもあります。

小説というよりも、長いエッセイに近いかも。

結婚する時は「この二人で大丈夫?」という夫婦でしたが(笑)、25年間、時には意見が衝突したり、夫の家事能力の無さに驚いたり、妻が小説家で昼夜逆転の生活だったり、家を建てたり親を看取ったり、病気や仕事のあれやこれやがあって、それなりに人生の上り坂も下り坂も経験してきた二人の物語は、とっても読み応えがあって、エッセイにはない魅力も満載!

どんな夫婦にも、物語ってありますよね~

父親がパーキンソン病と診断され、当時病院には3ヶ月しか入院できないと言われて、母親と共に次の入院先を必死で探した日々。

不妊治療のために基礎体温をつけたり、さまざまな努力をしてみたけれど、ついに自分の中でその夢を「夢」としてしまいこむことに決めた時…

25年という歳月は、ドタバタしていた新婚夫婦に様々な変化をもたらしたのと同時に、周りの人々の人生にも変化をもたらします。

月日が経つなかで、去っていってしまった人々。

バブルが崩壊し、痴呆症という言葉が認知されるようになり、どんどん変化していく世間。

そんな社会の荒波の中、ずっと隣にいてくれて、一緒に乗り越えてきたパートナー。

人生って、本当にいろいろですね。

 

本棚の上に家を建てる?

小説家ってローンが組めない?

一年に二十回階段から落ちる主婦?

梨の皮むきもできない旦那?

やってもやっても終わらない庭掃除?

 

もちろん25年経っても新井素子の軽妙な文体は健在!!

 

独自の価値観と常識的な経済観念、ちょっと尋常じゃない趣味と(ぬいぐるみ数千匹! 蔵書はなんと3万冊以上!?)、旦那への愛であふれた一冊♪

早々と太陽光発電を導入した話とか、掃除と料理について、作家の氷室冴子さんと言い合ったエピソードとかもあって面白かったです!(作中では氷室さんの名前は出てきません)

装身具だとか、服装にまったく頓着しない新井素子さん、じゃなかった物語の主人公。

それにしても、エンゲージ・リング…わたしどこやったっけ? はヒドイなぁ(苦笑)

 

作中で作者も触れていますが、この二人ってとっても運がいい二人だと思う。

17歳から作家として活躍している作者。

経済的には恵まれているとはいえ、作家ならではの苦労もあって、執筆中の異様な集中のしかたは、同じ家に住む家族の協力なしでは成り立たないほど。

そんな中で、25年間、それなりに続いてきたっていうのは、これはもう運がいいというか、幸せなことなんじゃないのかな~

もちろん、お互い欠点もあって、最高の男女じゃないことは確実だけれど。

作者も書いています。

お互いにとっては、という限定条件付きで。

多分、最高の男女(あいて)♪♪

 

前作の『結婚物語』や『新婚物語』も笑わせてもらいましたが、今回も相変わらず楽しませてくれます。

前作は文庫本で持っているので、この本も早く文庫化してくれないかなぁ~

本棚にサイズを合わせて並べたいんですよね。

お願いしますよ、中央公論新社さん!

あとがきで作者は「次は二十五年後『金婚式物語』で…」なんて書いています。

すっごく楽しみだけれど、すっごく楽しみなんだけれど、そんなに待てるかな(苦笑)

 



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