私的図書館

本好き人の365日

追憶の夜空

2003-10-29 23:49:00 | 日々の出来事
涙が止まらなかった

仕事の帰り

夜空を見上げた

星が出ていた

涙がこみ上げてきた


あの涙だ


もう、ずいぶん忘れていた・・・・・あの涙だった

中学生の頃、元旦の朝、まだ日が昇る前

灯ろうの石段に腰掛けて星を見た

高校を卒業して親元を離れ、初めて一人で暮らした

アニメーターをやめ、やることもなく実家にいて、父とケンカして家を飛び出した

どれも、こんな星空だった

とてつもなくみじめな気持ちだ

ああ、悲しくはない

感情もわいてこない

ただ、自分じゃないみたいに、次から次へと涙がこぼれていく

どんどん、どんどん、こぼれ落ちていく

僕は泣いているんだろうか

冷静な自分

きっと、頭の中がパニックで、飽和状態で、もう感情がパンクしてしまい、物理的限界を超えて、涙が吐き出されているのだ

こんなことは久しぶりだった

嬉しかった、また思い出せて

そう、僕は何度もこの涙を流していたじゃないか

どうして、今まで思い出しさえしなかったのだろう

こんな星空をながめていた自分

この気持ちを

でも、きっと

また、忘れてしまう。


           2000.10.30.

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