私的図書館

本好き人の365日

十二月の本棚 2 『青い鳥』

2005-12-18 21:49:00 | 本と日常
あなたにとっての青い鳥とは何ですか?

今回ご紹介するのは、クリスマスにピッタリ*(音符)*
世界中に人々に親しまれ、そして愛されてきた作品。

モーリス・メーテルリンクの『青い鳥』(L'OISEAU BLEU)です☆

発表されたのは1908年。
日本では明治41年。夏目漱石らが活躍していた頃ですね。この年、ロンドンでは第4回夏季オリンピックが開催されています。

私もこの物語好きでした*(ハート3つ)*

家には『青い鳥』の絵本があって、今でもその絵は憶えています*(星)*

クリスマス・イブの夜。
木こりの子供、チルチルとミチルは、向かいのお金持ちの家から聞こえてくる音楽に誘われて、窓からそっとその家のクリスマス・パーティーの様子を眺めます。

きれいなクリスマス・ツリーに豪華な馬車。
たくさんのおもちゃに美味しそうなお菓子やケーキ。

窓のこちら側で見ていることしかできない二人は、それでもそんなきれいな物やたくさんのお菓子を見られただけでもう満足。
幸福そうなお隣の子供たちを眺めながら、自分たちもお菓子をもらった気になって喜んでいるのでした。(なんていじましい~*(汗)*)

そんなところへ現れるのが年老いた老婆、妖女のベリリウンヌ。
二人に人間が普段見ることのできない世界を見えるようにする不思議なダイヤモンドがついた帽子を渡し、こう言うのです。

「これからわたしの欲しい青い鳥を探しに行ってもらうよ」

二人のお供はダイヤモンドを回して現れた様々な物や動物の精たち☆

演説好きのパンの精に、偽善者のような砂糖の精。
いつもケンカばかりしている火の精と水の精に、これまた仲の悪い犬のチローと猫のチレット。
そして二人を導き、助けてくれる女王様のような光の精*(星)**(キラキラ)*

二人は『青い鳥』を求めて、〈思い出の国〉〈夜の御殿〉〈森〉〈墓地〉〈幸福の花園〉〈未来の王国〉と旅します。

死んだはずのおじいさんやおばあさんに会ったり、「病気」や「恐れ」が閉じ込められている夜の御殿の扉を開けてしまったり、猫のせいで森の木々により裁判にかけられそうになったりとチルチルとミチル(と、その他大勢)の行く先には驚くことばかり*(びっくり2)*

様々な「幸福」たちが現れるシーンでは、「くらべもののない母の愛の喜び」と出会い、〈未来の王国〉ではこれから生まれてくる子供たちと対面します。その中には、二人の弟の姿も…

細かいところは置いとくとして、だいたいのストーリーはみなさんよくご存知ですよね☆

「青い鳥」とは「幸せ」のこと。

私たちが追い求めている「幸福」、「青い鳥」とは何なのか?
追い求めて、追い求めて、手に入れたと思った瞬間、色あせてそれがただの鳥だと気付く…

「幸せ」は案外身近にあるもの。
ただ、人間はなかなかそれに気が付かない…

知っていましたか?
誰もが、道行く人々のすべてが、あなたの目に映るたくさんの家に住む人全員が、自分の心の中に「青い鳥」を飼っているということを。

そして誰もが、それは自分の望む「青い鳥」ではなく、誰かと交換して初めてみんなが幸せになれるのだということを。

「おはよう!」「元気だった。」「どうかしたの?」「大丈夫だよ!」

こうした言葉が交わされる度、あなたと誰かの間で「青い鳥」は飛び交っています*(音符)*

…私はそんなふうに思っています。

普段気が付かないことにあらためて気付かせてくれるという点では、ディケンズの『クリスマス・カロル』とも似たところがあるかも知れませんね。
どちらもクリスマスに読むにはピッタリ*(びっくり2)*

あなたも、自分の中の「青い鳥」をどなたかにプレゼントしてみてはいかがでしょう?
誰かのために何かをする、そんなたいしたことじゃなくてもかまわない。一言声をかけるだけでも充分です。

きっと、あなたの「青い鳥」を必要としている人がいるはず。
そしてあなたの求めるものも、きっといつか…☆







モーリス・メーテルリンク  著
堀口 大学  訳
新潮文庫





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