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本好き人の365日

東野圭吾 『歪笑小説』

2012-03-23 22:07:11 | 日本人作家
東野 圭吾
集英社
発売日:2012-01-20

 

 

 

 

 

 

どんな時でもお腹は減る。

どんなに忙しくても本は読みたくなる…

というわけで、東野圭吾さんの、

 

『歪笑小説』 (集英社文庫) 

 

を読みました♪

悪ふざけがすぎるよ(笑)

東野圭吾さんの作品はドラマ化した物なら見ていましたが、本を一冊きっちり読んだのはこれが初めて。

多分、東野圭吾入門としては正しくない選択だと思います☆

登場するのは出版社の編集者と作家、そしてそれを取り巻く人々。

編集者の本音や”職業”小説家について、文学賞や出版社の内幕をユーモラスに、しかし皮肉たっぷりに描いています。

ある意味自虐小説?

ここに書かれていることが全部本当じゃないですよね、東野先生?(苦笑) 

連作短編という形なんですが、ピンクの服を着たベテランミステリー作家だとか、土下座が得意な伝説の編集長だとか、サイン会に知り合いを総動員するだとか、「売れる作家」がいい作家だとか、どれもこれもどこかで引きつった笑いをしてる人がいそうな内容ばかり♪

いつもオチに使われている新人賞を受賞してデビューした作家さんというのがいるのですが、回を追うごとにどんどんあつかいがヒドくなっていきます!

 

東野圭吾さん悪ふざけしすぎ(笑)

 

短編なのでそれぞれ話ごとにオチはありますが、1話と2話は正直ちょっと物足りなく感じました。

3話と8話は面白い!

特に8話。「文学賞創設」は、タイトル通り新しく文学賞を作るお話なんですが、出版社同士のかけひきでずっと引っ張っておいて、最後の最後に意外なラストが用意してあり、見事に意表を突かれてしまいました。ちょっとジーンときました。

そういえば作家の有川浩さんも、自身の作品の中で、働きながら小説を書いている登場人物が何かの賞を受賞した折、担当編集者に「賞を取ったからって今の仕事は辞めないで下さい。将来の保証なんてできませんから」と言わせていました。

文学賞受賞=作家デビュー ってわけじゃないんですね。

一作だけで消えていく作家も星の数ほどいる。

ベストセラー作家の東野圭吾さんが書くと説得力あるなぁ~

 

最後まで読み終わって、すごく面白かったなと満足して本を閉じてしまうともったいないです。

実は読み終わってからもその続きのページをよく見ると、そこにも東野圭吾さんの悪ふざけが隠されています♪

気が付かない人がいるかも知れないので老婆心ながら。

息抜きにはピッタリの本でした☆