私的図書館

本好き人の365日

九月の本棚 『失われた世界』

2006-09-13 14:58:00 | 本と日常
昔TVで放送されていた「水曜スペシャル川口浩探検隊」シリーズが大好きでした*(音符)*

アイスランドの地底の大洞穴に降りて行ったり、アマゾンの大森林に幻の民族を探したり、スマトラ島の人食いトラや、原始猿人バーゴンも好きだったなぁ~(笑)

人類が未だ踏み入こんだことのない未知なる土地。
そこには絶滅したはずの生物が生き残り、太古の植物が生い茂っている。

ロマンがあると思いませんか?

今回ご紹介する本は、そんな未知な世界を舞台にした名作。

サー・アーサー・コナン・ドイルの*(キラキラ)*『失われた世界』*(キラキラ)*です☆

コナン・ドイルといえば、かの「シャーロック・ホ-ムズ」の生みの親として有名ですね♪

でもあまりにも「シャーロック・ホームズ」が有名になってしまったので、コナン・ドイルは推理小説家と思われがちですが、彼はその他にも歴史小説や今回みたいなSF小説も書いているんですよ。

さて、この本が発表された1912年、世界にはまだまだ未知な土地が存在していました。

ロアルド・アムンゼンらによる初の南極点到達は1911年。

エベレストの初登頂に挑んだイギリス人のジョージ・マロニーが消息を絶ったのが1924年。(「なぜ山に登るのか?」と訊かれて、「そこに山があるからさ」と答えたのはこの人!」

アポロ11号による月面着陸は1969年。

生きた化石、シーラカンスの発見が1938年(二匹目が見つかったのは1952年)、沖縄でヤンバルクイナが発見されたのは、たった25年前の1981年のことです。

だから、この本が出版された当時は、今よりずっとこう考えていた人が多かったんじゃないでしょうか。

「今でも地球のどこかに古代の生物が生き残っているんじゃないのか?」

物語は、アマゾンの奥地の村で死亡したアメリカ人の残したスケッチブックから端を発します。

そのスケッチブックに描かれていたのは、人間の何倍もあろうかという生物。
しかもその姿は、大昔に滅びたとされる恐竜の姿そっくりでした。

果たしてこの絵はアメリカ人の想像の産物なのか?
それとも熱にうかされて見た幻覚なのか?
もし、そのどちらでもないとしたら…

イギリスの新聞、「ギャゼット」紙の記者であるエドワード・マローンは、動物学者チャレンジャー教授からそのスケッチブックを見せられます。

チャレンジャー教授は大男で、あごひげをはやし、体中毛がもじゃもじゃ。
すぐにカッとなるし、気に入らないと暴力に訴えるという、とても学者とは思えない風貌と性格の持ち主。

彼はこのスケッチブックを手に入れ、ここに描かれた土地を探し当て、実際にこの生物を見た、と主張してイギリスで物笑いのタネにされている人物でした。

とある講演会で壇上に立つチャレンジャー教授。

彼の主張に賛成と反対の声が上がり、会場は騒然。
しかもそれを煽るような教授の言動。

ついに一人の学者が立ち上がり、チャレンジャー教授の主張に対して正面から疑問を投げかけます。

まるで、それを待っていたかのように、自らの主張を確かめるための探検隊の派遣を提案するチャレンジャー教授。

そしてここに、絶滅したはずの生物を探すため、未知なる土地に旅立つ三人が選ばれます。

果たして恐竜は今も生きているのか?
探検隊が遭遇することになる不思議な世界とは?

ギアナ高地のテーブルマウンテンに隔離された生態系。
襲い来る異様な生物。
類人猿と人間の戦い。

当時の科学、地理、植物や武器などの描写はさすがにコナン・ドイルという感じ。
ストーリーは奇想天外なのに、ついつい物語の世界に引き込まれてしまいました。

チャレンジャー教授のキャラクターも面白い♪

ようやくギアナ高地にたどり着いた一行を待っていたのは、驚愕の真実でした。
しかも、手ひどい裏切りによって、帰る道を閉ざされてしまった冒険隊の面々。

果たして彼らはこの事実をイギリスの持って帰ることができるのか?
そして彼らの運命は?

主人公が銃(文明の利器)を手に未開の土地を探検する!
まさにこれぞ冒険小説☆

もう古典の部類に入る小説ですが、たまには懐かしい雰囲気を味わってみるのもいいものですよ。

とっても「川口浩の探検隊」に似たあやしい雰囲気が味わえます(笑)

でも、もしかしたら、地球のどこかには、我々の知らない世界がまだ残っているのかも…

そう思ったほうが、夢があっていいじゃないですか♪

私は断然、そう思いたいですね☆

あなたもチャレンジャー教授と共に、ロマンをみつけに行きませんか?










コナン・ドイル  著
龍口 直太郎  訳
創元SF文庫