「日曜」
『長寿番組に日曜放送が多い理由 在宅率や番組内容とも関係か
NEWS ポストセブン 11月15日(日)7時6分配信
日曜日のテレビ欄を見ると、長寿番組の多さに気づく。いったいなぜか? その背景を探るべく、さまざまな視点から検証を行った。
『パネルクイズ アタック25』は放送開始から40年、『新婚さんいらっしゃい!』は44年、『サザエさん』は45年、『遠くへ行きたい』も45年、『笑点』は49年。『NHKのど自慢』に至っては今年で62年目だ。『THE!鉄腕!DASH!!』(20年)、『噂の!東京マガジン』(26年)、『所さんの目がテン!』(26年)、『アッコにおまかせ!』(30年)などもある。
また最高視聴率14.4%を記録した人気トーク番組『誰だって波瀾爆笑(はらんばくしょう)』は、前身である『いつみても波瀾万丈』から数えると通算23年続いている。
日曜夜の『おしゃれイズム』も、もとをたどれば久米宏が司会したこともある『おしゃれ』という41年前にスタートした番組で、以後、『オシャレ30・30(サーティーズ・サーティ)』、『おしゃれカンケイ』とタイトルと出演者を変えて継続している。
■日曜は在宅率が高く、テレビの視聴時間も長い
このように長寿番組が日曜日に集中する理由はなぜなのか? 大前提として言われているのが、休日であるために在宅率が高く、テレビの視聴時間も長くなるということだ。
「テレビの総世帯視聴率を『HUT』(エイチユーティー;Households Using Television)といいますが、日曜日はゴールデン帯だと60%と、平日よりも数%ですが高いこともあり、視聴率の点で有利とも言えます」(放送作家・内堀隆史氏)
NHK放送文化研究所が5年に1度行っている『国民生活時間調査』によると、テレビ視聴の平均時間は平日が3時間28分なのに対し、日曜は4時間9分と長いことも分かった。
■曜日別の終了番組数で日曜は?
では、“日曜日に放送されている番組は終わらない”のだろうか?
それを検証すべく、2012年~2014年までの3年間で最終回を迎えた番組数を年単位・曜日別に集計してみた。以下、終了番組が少ない曜日からランキング形式で紹介する(調査に際しての注記事項は後述)。
〇2012年 終了番組数 243番組
1位・土曜(24番組) 2位・日曜(29番組) 3位・金曜(34番組)
4位・火曜(35番組) 5位・月曜(36番組) 6位・水曜(41番組)
7位・木曜(44番組)
〇2013年 終了番組数 235番組
1位・日曜(19番組) 2位・火曜(28番組) 3位・月曜(34番組)
4位・水曜(37番組) 5位・木曜&金曜(38番組) 6位・土曜(41
番組)
〇2014年 終了番組数 265番組
1位・火曜(31番組) 2位・水曜(34番組) 3位・木曜(35番組)
4位・金曜(36番組) 5位・日曜(38番組) 6位・月曜(40番組)
7位・土曜(51番組)
以上のように、2013年は全ての曜日の中で最も終了番組が少ないものの2012年は2位に甘んじ、また2014年は5位と、必ずしも日曜放送の番組が終わりにくいとは言い切れないことが分かった。
■「明るく楽しく元気よく」が日曜の空気感とマッチか
そこで、日曜放送の人気番組の持つ特性に目を向けてみた。
「『のど自慢』のモットーは、司会の小田切千アナウンサーが毎回冒頭で言っているように『明るく楽しく元気よく』です。『サザエさん』は『新・調査情報』(2004年5-6月号 No47)によると、『明るく楽しく愉快になる』が制作する上で大切にしていることだそうです」(前出の内堀氏)
『笑点』はタイトル通り、とにかく明るく笑い飛ばす内容が売り。また、『噂の!東京マガジン』の人気コーナーで、巷の社会問題をレポートする『噂の現場』も深刻になりすぎず、ほのぼのと、時にユーモアをまじえて報告することもある。
「『誰だって波瀾爆笑』のコンセプトは『ゲストの魅力と人生を爆笑を交えて楽しく紹介する“ファミリー感”たっぷりのトークバラエティ』です。時折ゲストによって出る病気や死といったつらい話も、悲しいままではなく、むしろそれを乗り越えて、それを受け入れて今があるというように、前を向いて話していただくスタンスをとっています」(同)
これらの番組から導き出される共通項は「明るい」「ほのぼの」「笑いがある」「家族で楽しめる」といったものだが、考えてみるとそれらはすべて、日曜日という“曜日が持つ気分”にあてはまるのではないだろうか。
NHK放送文化研究所が2006年、『曜日に関する意識』を調査したことがある。その中で“日曜日の気分”について多かった回答が、『束縛から解放されたような気分』や『誰かと一緒に過ごしたい気分』『明日のために力をとっておきたい気分』といったものだった。
「以前、『平成日本のよふけ』と言う、各界の著名人が出演する硬派なトーク番組をお手伝していたことがあります。これは深夜での放送が好評だったためさらに多くの方に見ていただけるよう日曜のお昼に昇格したのですが、思ったように視聴率がふるわず、タイトルを変えて深夜帯に戻りました。良質なソフトでも、番組の性格、表情が日曜の気分にそぐわないと難しいのかもしれません」(同氏)
ほのぼのできて、みんなで楽しみたい、さらに明日に向けて元気をもらいたい、そんな視聴者の日曜の気分にフィットさせた番組が長く続いていると言えそうだ。 』
※「サザエさん」などでそれがよくわかる。これが日本のテレビ事情。