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「家忠日記 四」を読む 39

(老境に入ったか、ムサシ)

ムサシは午前中は室内にいて、午後、庭に出て、中国製の石のベンチを自分の居所として、寛いでいる。

ムサシも老境に入り、いよいよ気難しくなってきた。夕方の散歩は自分の役になっていて、その頃に行くと近寄ってきて、容易にリードを繋がせたのだが、この頃は呼んでも来ないし、こちらから近付くと激しく吠える。結局、女房にリードを繋いでもらい、何とか散歩に出た。

柴犬は飼い主に対しても毅然として、なれなれしくはならない。そんな性格が気に入って、柴犬を飼う人も多い。ムサシもそんな柴犬らしく、自分も今までに数回噛みつかれた。年を取ると優しくなるかと、女房が動物病院の先生に尋ねたら、反対に気難しくなると聞いて帰ってきた。先生の言う通りである。

「家忠日記 四」の解読を続ける。

 天正十四年(1586)戌七月
 七月小
一日 甲午 会下へ参り。浄頓逗留、一折興行候。
      末遠き 烽(のろし)をあらわす 一葉かな  浄頓
二日 乙未 
三日 丙申 
四日 丁酉 
五日 戊戌 

六日 己亥 竹谷へ礼に越し候。明日隠入院、
      月次連歌候て、竹谷に留り候。
七日 庚子 隠入院へ月次連歌にて越し候。
八日 辛丑 夜雨、夕立候。
九日 壬寅 
十日 癸卯 中嶋へ堤築かせに、同帰りに越し候。
      本作左衛門殿より、原田平三郎、音信として越し候。

十一日甲辰 会下候。舞々近江より越し候て、聞きに越し候。
十二日乙巳 
十三日丙午 雨降り。
十四日丁未 会下施餓鬼へ参り候。
十五日戊申 竹谷より踊り越し候。東堂、施餓鬼にて越され候。

十六日己酉 保々へ川狩りに、同帰りに越し候。舞々与三越し候。
十七日庚戌 竹谷へ踊り返し候。
十八日辛亥 吉田より本田十助奉行にこし候て、當(東)部城塀門、取り入らせ候。
十九日壬子 一昨日十七日、家康、吉田表働き仰せ付けらるに、
      駿府まで御出馬候由候。
廿日 癸丑 東部の城、人足あて候て、こぼし(毀し)候。

後に、二階を建てるとあるから、ここでは古家を壊したのであろうか。

廿一日甲寅 夜、雨降る。会下へ参り候。
廿二日乙卯 雨降り。
廿三日丙辰 雨降り。長尊越され候。
廿四日丁巳 雨降り。
廿五日戊午 長尊越され候て、連歌候。
      見孤りきや 夕明りほの 宿の月  長尊

廿六日己未 
廿七日庚申 東部の二階建て候。
廿八日辛酉 
廿九日壬戌 


これにて、「家忠日記 四」を読み終える。39日と長丁場であったが、これで7冊ある内の4冊読んだ。残り3冊である。明日からは「家忠日記 五」に入る。この日記は1594年(文禄三年)まで続くから、あと8年である。読み終えるのは秋になるであろう。

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