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真夏の宵の兄弟三夫婦

(故郷の実家の通り-三階建が実家)

故郷の宵、三兄弟の三夫婦が次兄の嫁さんの手料理を囲んだ。冒頭、下の娘の子供(まーくん)が元気に育っている話から、続いて上の娘も妊娠3ヶ月だという報告をした。まーくんが連れて来てくれたお目出度だと女房も話す。伊勢の長兄は3人の子供に孫が6人、故郷の次兄は子供5人に孫が8人、結婚すればすぐに子供が出来るのが当然と思っている人たちで、結婚して8年も経つ上の娘にまだ子供が出来ないことで、気を揉んでくれていた。さらに次兄の次女が二人目を同じ頃に出産予定だという情報が加わって、長兄が多いに喜んだ。こんなに目出度いことは無い、皆んなで万歳だと、万歳!万歳!万歳!‥‥‥‥ 故郷の実家に時ならぬ万歳の声が響いた。

長兄は自分より11歳上で73歳、義姉とは当時としてはまだ珍しい恋愛結婚であった。この歳になっても、互いに歯に絹を着せないやり取りで、端で聞いている方がハラハラすることが多い。言いたい放題、口に出していても、揺るがない信頼感があるのだろうと女房とは話していた。長兄は長兄らしく二人の弟たちから、さらにその子供の家庭まで気にしていて、皆んな健康に父母のように揃って長生きをしていきたいのだという。本人も毎日40分の散歩と体操を欠かさない。

次兄は自分より5歳上で67歳、根っからの教育者で、引退した今も教育者として生きている。子供や孫、甥や姪たちまで、自分の教育的信条を述べて飽きない。それらは正論で反論の余地は無いのだが、若者たちの置かれている現実は想像以上に大きく動いていることも間違いない事実である。

兄たちのそれぞれの発言を黙って聞いている末弟の自分は、やはり8人兄弟の末子であった親父の立場や気持を少し理解できるような気がした。

長兄はこの10年近く、水彩画を先生に付いて描いている。はじめの頃の習作を見たことがあるが、最近はかなり腕が上がった様子で、風景画の画題を探しに旅行に行ったりしているらしい。「一枚描いて立派な額に入れて頂戴よ」とリクエストした。テーマは「塔のある風景」を頼んだ。たくさん描いたけれども、人から欲しいと言われたのは初めてだ。塔なら画題としても面白い。さっそく描いてみる。話振りでは完成までに1年ぐらいは掛かりそうだ。

長兄は忘れていると思うが、絵をねだるのは初めてのことではない。50年以上前、高校生だった長兄に絵を描いてもらった。飛ぶ旅客機をクレヨンで描いた。色を微妙に使って陰影を付け、上手いものだなあと子供心に感心したのを覚えている。
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