人間愛

2014年01月28日 | 日記
昨日、県南にお住まいのMさんが主催するチャリティコンサート「歌の街」がありました。Mさんは「歌って踊れるピアニスト」。とてもアクティヴな方で、そのお人柄が引き寄せるのでしょう、たくさんの心温かいお仲間をお持ちです。地元で「歌の街」という弾き語りのコンサートを定期的に積み重ねてこられましたが、記念すべき20回目のコンサートは、昨年ご一緒に訪問した東日本大震災の被災地の一つ、釜石保育園の園長先生をお招きしてチャリティコンサートにすることを思い立たれ、実行されたのです。
結婚式場を貸し切りにして行われたコンサートには、平日の昼間にもかかわらず190名余の方がお集まり下さり、実行委員さん達の水も漏らさぬ手厚いサポートのもと、ヴァラエティ豊かなプログラムが次々と展開されました。前半は冬にちなんだ歌をメドレーで。会場のお客様も常連さんが多いので、「ご一緒に」と言われるとすぐに一緒に歌い出します。「冬の星座」、「冬の夜」、「かあさんの歌」、「雪の降る街を」、「ペチカ」など、私たち世代までだったら皆知っている歌ばかりです。平日の午後なので若者はあまり来ていませんから(笑)、スクリーンに映し出された歌詞を見ながら会場中が一つになって歌いました。プロジェクターの操作は、市の文化まちづくり課というセクションの職員さん2名がやって下さいました。歌詞の打ち込みなどの事前作業もこの職員さん達が請け負って下さったとか。市を巻き込む民間力!素晴らしいことです。「ペチカ」はお二人の二胡奏者の演奏とともに歌いました。そして前半最後の曲「ソレアード~子供たちが生まれる時」に至ると、隣席の釜石保育園の園長先生は感極まってずっとすすりあげていらっしゃいました。スペイン語で「陽だまり」を意味する「ソレアード」というタイトルに寄せて、Mさんは「F先生の保育園の園児たちにとっては、きっと保育園が陽だまりだと思います。たくさんの陽だまりがあり、たくさんの子供たちが大人たちの愛に守られて幸せに成長できる、そんな世の中でありますようにと願いを込めて歌います」と語られました。あの恐ろしい大震災の日、赤ちゃんから年長児まですべての園児たちを連れて避難し、親御さんたちの安否も自分の家族の安否もわからない中で子供たちと4日間を過ごされた保育園の先生たち。そんな極限状況の中で園児たちや先生たちを守り抜く責務を負われた園長先生。その時園長先生の心を支えていたものは、「何としても子供たちを守り抜く」という一念ではなかったかと思います。「ソレアード」が終わった後で壇上に演台が設けられ、15分ほどF先生のお話を聞かせて頂きました。被災当時のこと、その後のこと、そして現状。当事者のお話はひしひしとした臨場感をもって心に響きます。中でも私が一番心を打たれたのは、震災直後に全員で避難した時、子供たちが(赤ちゃんも含め)誰一人泣かなかった、という話です。坂を上って避難する時は、市内全域からその場に避難してきた見知らぬ市民の方たちに、赤ちゃんを一人ずつ託して上ってもらったそうですが、その時も誰も泣かなかったというのです。「赤ちゃんでも、今が非常事態だということは大人と同じにわかっていたんだと思います。そして、私たち大人を信じて身をゆだねたのだと思います。その後避難場所で過ごした数日間も泣く子は一人もいませんでした」とおっしゃいました。保護者が次々と現れ、最後の園児が引き取られていった時、先生方はどんなに安堵されたでしょう。しかし同時に、先の見えない不安感やご自分のご家族に対する思いも増幅されたに違いありません。あれからやがて3年。様々な困難があるでしょうが、被災地の復興とともに、保育園がよりよい形で存続していってほしいと祈らずにはいられません。
後半のプログラムはピアノソロあり、フラダンスあり、アコーディオンとギターのアンサンブルあり、合唱あり、それもヴァイオリンのオブリガート付きだったりして、百花繚乱の楽しさでした。最後に皆で東北支援ソング「花は咲く」を歌い、F先生に義捐金をお渡しし、熊本の保育士さんが釜石保育園の園児たちのために手作りしたメダルの贈呈もさせて頂き、大きな感動をもってコンサートは終了しました。お客さま方は、ロビーに貼られた現地の写真や保育園の園児たちの笑顔の写真を見ながら、またF先生と直接言葉を交わしながら、胸をいっぱいにして会場を後にされていました。
終演後、ケーキとコーヒーでの打ち上げ。「来てよかったです。もう何日もここにいるような気がします」と言い残してF先生は釜石に戻って行かれました。
こんな形の社会貢献のあり方と、「私たちは東北のことを忘れませんよ」というメッセージを発信し続けることの大切さを改めて胸に刻んだ一日でした。Mさん、本当にありがとうございました。そして、お疲れさまでした!

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3 コメント

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Unknown (ばんぺいゆ)
2014-01-28 12:00:53
昨日はMさんのコンサートに心打たれました。
「東北に心を寄せて」というMさんの思い、確実に届いたと思います。
先生のブログ、良ければフェイスブックにシェアさせて頂けませんか?八代の方にMさんの活動を知っていただこうと思います。
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Unknown (s)
2014-01-28 12:35:04
コンサート、行けなくて残念でしたが、とても良かったようですね。園の先生のお話し、伺いたかったです。ブログを読みながら、涙してしまいました。
東北への思い忘れずに、今の東北へも感心を持ち続けたいと思いました。
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Unknown (吉田)
2014-01-28 15:11:13
ばんぺいゆさん、sさん、早速のコメント有難うございます。本当に感動的なコンサートでした。どうぞフェイスブックにシェアなさって下さい。今後も何らかの形で支援活動を継続していきたいので、知恵や力を貸して下さる人が現れれば嬉しいです。
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