上の絵葉書は、王立取引所とイングランド銀行をクイントンが描いた水彩画で、正面のコリント風玄関柱廊のある建物が、商品や証券の取引を目的として1845年に開館した王立取引所(旧)、左手の窓の無い建物がイングランド銀行です。この絵は、1896年頃にバーツが撮影した写真にそっくりですが、馬車のほかにガソリン・エンジンのバスや自動車が加えられています。バーツの写真には、LONDON GENERAL OMINIBUS・・という乗合馬車の会社(略称LGOC)の名が写っていますが、この会社が後にガソリン・エンジンのバスの運行を開始し、やがてロンドンのバスを席巻することになりました。クイントンの絵には、GENERALと書かれ、赤く塗られた二階建てバスがしばしば登場しますが、これがLGOCのバスのようです。
次の絵葉書は、王立取引所の写真ですが、自動車で大混雑する様子が写されています。よく見ると馬車も紛れ込んでいるようですが。
次の絵葉書は、マンション・ハウスとチープサイドを描いたクイントンの水彩画です。左手にあるのが、1752年に建てられたロンドン特別市長公邸、マンション・ハウスで、その前に続く通りがチープサイドです。チープとは商店の意味で、チープサイドはシティの繁華街でした。この通りの奥に見える塔は、セント・メアリ・ル・ボウ教会の尖塔ですが、ロンドンっ子とは、ボウ教会の鐘の音が聞こえる区域の生まれと言われていたそうです。
次の絵葉書は、ギルド・ホールの写真です。ギルド・ホールは市庁舎に相当し、ギルドの組合員によるロンドン特別市長の選出も、ここで行われてきました。現在のギルド・ホールは、第二次大戦で被害を受けたあと、戦後に修復したものです。