夢七雑録

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4.久我山橋から佃橋

2009-10-24 21:56:52 | 神田川と支流
(16)久我山橋

 神田川を下ってきて、最初の繁華の地が「久我山橋」の辺りになる。ここは、駅も商店街も近いため、人通りも多く、車もまた多い。前に来た時は、橋の上を自転車が占領して歩くのも儘ならぬほどだったが、今は自転車置き場も別に用意されていて、橋の上はきれいさっぱり、片づけられている。現在、この橋は人見街道と岩通通りの交差点になっているが、神田川の左岸と右岸の道も通るので、少々煩瑣な状況になっている。もともと、この場所には、江戸時代から橋があり、久我山から玉川上水に出る道が通っていたのだが、昭和になって井の頭線が開通するのに合わせて、別の新しい道が作られることになる。この道は、新しく作られた橋を通って、宮下橋から来る久我山道と合流して、府中方面に行く道となる。人見街道と呼ばれる道がそれである。現在は、久我山駅も新しくなり、周辺も整備され、二つあった橋も一つに統合されて、橋が駅前広場を兼ねるようになっている。

(17)清水橋
 次の橋は「清水橋」。竹林が美しい右岸をしばらく歩いて行くと、道は行き止まり。右手に上がる道はあるが、川からは離れてしまうので、「清水橋」まで戻って左岸を歩く。右岸に樹木の生い茂る傾斜地を、左手に京王電鉄の検車区を見ながら歩いていくことになるが、付近に人家も無いので、暗くなってから歩くような所ではない。

(18)無名橋(京王占用橋)
 次の橋は無名の橋だが、「京王占用橋」か「京王橋」で通るらしい。本来は、京王電鉄の敷地内通行用の橋なのだろうが、今は、誰でも通行可になっている。もっとも、京王電鉄の検車区が出来る前は、この辺にも橋があったわけで、その代替えというわけだ。

(19)月見橋

 川幅いっぱいに流れていた神田川も、無名橋から下っていくと、中央部の狭められた範囲に押込められて流れるようになる。さらに進むと、周辺は再び住宅街となり「月見橋」となる。井の頭線の富士見ヶ丘駅が開業する際、新たな道が開かれ、その時に、この橋も架けられたと思われる。橋の名の由来は分からないが、近辺は田圃だったから、月見をする人も居たかも知れない。当時は、北側の田圃を潤すため、橋の手前で神田川から分水していたので、本流と分水側と橋が二つあったようである。ところで、富士見ヶ丘の名の由来だが、近くに富士の眺めが良い丘があったからという。その丘は、道を開設する際に削られ、残土は井の頭線を吉祥寺まで延長する際に、盛り土として使われたということだ。

(20)高砂橋
 「月見橋」が架かる以前から、ここに橋があり、地名(字)に由来する「鍛冶屋敷橋」と呼ばれていた。江戸時代にも、この辺に橋があったようだが、無名の橋だったかも知れない。現在の橋名「高砂橋」の由来は不明だが、今は通る人も多くなさそうな橋である。川の中を見ると、人工的な水路が川中の川として造られている。川の水は、時には折れ曲がり、時には直線的に、時には水中に置かれた石と石の間をすり抜けて流れている。

(21)あかね橋
 次は、車道の幅の割に歩道がゆったり幅の「あかね橋」。川床に植えられているのはキショウブだという。その時期に来れば、コンクリートの川底が、黄色の花で溢れる様子が見られるのだろうが、今は緑の葉が見えるだけだ。この辺りから南側に、風格のある建物が姿を見せるようになる。関東大震災の被災者のために設けられた浴風会の施設だという。

(22)むつみ橋

 「むつみ橋」は川に斜めに渡されている橋で、橋の一部を利用して草花が植えられている。疲れた心も、少しは和む筈だが、手入れは大変だろう。下を覗くと、ゆるやかな曲水路の中を鯉が数匹、ゆったりと泳いでいるのが見える。

(23)錦橋
 次は、錦が丘団地に由来する名を付けた、「錦橋」という人道橋である。ここから先、神田川は川幅一杯に流れるようになる。川は水草を揺らしながら、微かな音を立てて流れている。水が透き通っているように見えるのは、水深が浅いせいだろうか。

(24)柳橋
 神田川が、右岸にせまってくる台地の端をかわして平坦地に出るとすぐ、斜めに架けられた「柳橋」となる。道幅の割に車の通行は少なそうだ。ここまで来ると、井の頭線の高架が見えるようになる。その後ろには、杉並清掃工場の煙突が、高く、高く聳えている。

(25)あづま橋
 「あづま橋」まで来れば、高井戸駅は目の前。この橋のすぐ先が「佃橋」で、環八が神田川を渡っている。井の頭線が開通した当初から、ここは高架になっていて、道路と立体交差していたそうだが、環八の将来の交通量を見越していたのだろうか。ただ、橋の下の水は、気のせいか、少し汚れているように見える。


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