優しさの連鎖

いじめの連鎖、って嫌な言葉ですよね。
だから私は、優しさの連鎖。

1989年4月(妊娠9か月長男3歳)

2020-07-04 20:37:32 | 日記
4月2日
 里帰り出産のため実家に帰省しました。予定日までまだ一か月以上あるので本当はもう少し後に来るはずだったのですが、病院から早く来るように言われたので急きょ夫が送って来て、SUと私は出産までこちらにいることに。ところが、一日中おじいちゃんと遊んでいたSUが、夜になると突然「おうちにかえる」と言い出したのです。「お母さんはこっちにいるんだよ」「SUの好きな枕もあるよ、おもちゃも…」といくら言っても頑として譲らず「にゃんにゃんまくらもおもちゃもいらないから、おうちにかえりたい」と、なんと必死の形相で一人でジャンパーを着て帰る支度をしているのです。しょうがないので結局お父さんはSUを連れて帰りました。二人がいなくなって私は「え……?」という感じでした。私(母親)の存在ってそんなもん?
4月3日
 病院に行ってきました。混んでいたので、午前中に行ったのに終わったのは午後2時半でした。問診、計測、胎児の大きさ、性別、超音波での診断など、丁寧に説明してもらいました。画像は前の医院のは不鮮明でよくわからなかったのですが、これは私にもなんかぴょこんとしたものがわかり、お医者さんが「聞きたい?」と言うので「はい!」。するとやはり「そこがたまたまです」と言われました。男の子がいいなと思っていたのでうれしかったです。次回は二週間後ということなので、明日は一旦家に帰ることにします。
4月11日
 最近は食欲があまり無く、トイレの回数も増え、身体も疲れやすいため何となくすっきりしません。SUとスーパーに行くと、「これかおうか」とこいのぼりのついたお菓子を持ってきたので「だめだよ」と言うと、素直にあきらめてくれました。そのあとで「かいがたべたい」とあさりの所から動かないので、それは買ってあげました。時々わがままを言って怒られることはあるけれど、ちゃんと理由を話してあげると聞き分けがいい子です。私がイライラしてる時は怒ってしまうことがあるので反省しないといけませんね。
4月13日
 SUが口内炎です。SUが病気や怪我をするとすごく不安になります。でも上唇と下唇の内側が白くただれているのに「いたくないよ」と元気に食べているのでよかったです。うるさくても元気にしているのが一番です。
4月16日
今度は本当に里帰りです。SUには「赤ちゃんが産まれるまでお母さんと一緒にこっちにいるんだよ」と言い聞かせたので本人も納得したようで「おかあさんがいるんならこわくないもんね」などと言ってます。
私の実家に来るとSUはおりこうさんになります。着替えやトイレなどもすすんで行います。お風呂の時も一人でやると言って自分で洋服を脱ぎます。そして寝る時間が来ると「おじいさんとおばあさん、おやすみ」と言ってトットッと寝室へ走っていくのです。好きなイチゴやオレンジジュースを飲まないのはやっぱり口内炎のせいか。
4月17日
 SUはびっくりするくらい規則的な生活をしています。朝6時半に目を覚まし、まだ早いよと言うと布団の中で歌を歌ったりして7時前にトイレへ。そして家に居たときはだらだらしてなかなか着替えをしてくれなかったのに、さっさと着替えておじいさんとおばあさんに「おはよう!」とあいさつに行くのです。夜も8時半になると「おやすみなさい」と言って寝室にトットッと行き、9時頃には眠りにつきます。
妊娠10か月になり、今日は血液検査をしました。
4月18日
 バスに乗ってSUをおたふく風邪の予防接種に連れて行く。SUは注射で泣いたことがない。帰りにお菓子を買って店を出るとちょうどバスが来て「おかあさん、ちょうどよかったね」と言う。バス停で降りると道路を横断することも覚えており「いまのうちにわたろう」と言うので、3歳ともなればこんなにいろんな事がわかるようになるんだなと思った。
4月20日
 いつも遊んでくれるおじいさんがいないのでおばあさんに「うんどうかいごっこをしてあそんでくれるでしょ」と言ってまとわりついていた。夕ご飯を食べてからSUが私の所に来て「おかあさん、おばあさんたらあそんでくれるっていったのに、なんにもあそんでくれないんだよ」と怒っている。SUにそう言われておばあさんもしばらく「うんどうかいごっこ」とやらをつきあわされていた。
私はおなかの赤ちゃんが右の肋骨の下を蹴飛ばすので痛い。
4月21日
 金曜日。夜7時半頃お父さんから「今晩そっちに行く」と電話があった。SUは「すこしまっていようかな」と言ってましたが9時頃眠りにつきました。
4月22日
 朝起きるとお父さんがいたので、SUは「おかえりー」とお父さんの布団の中に入っていました。暖かい日だったので、三人で公園へ桜を見に行きました。SUが「あ、ほら、おかあさん、みなさい」と桜の木を指さしました。花の美しさがわかるのかな。
私は下腹が張るような感じが何度かありました。おなかが下がったようで食欲が出てきました。
4月26日
 SUもすっかりこちらでの生活に慣れ、庭や畑で花や虫を見つけたり、おじいさんのステレオを操作して音楽を聞いたり、ピアノを弾いたりしていろいろ遊んでいます。私が病院へ行っている間はおばあさんにいろいろ教えてもらっているようで、食堂ごっことか人形ごっことか気に行って何回も繰り返し遊んでいます。お昼ごろから赤ちゃんが本格的に下がってきたみたいで下腹が張って足の付け根や恥骨が痛くなっています。胎動はぐんと少なくなりました。母にも「お腹が下がってきた」と言われました。そわそわして落ち着かず、ついSUを叱ったりするので「おかあさん、あんまりおこらないでよ」と言われました。
4月27日
 SUはおじいさんが帰ってくると「すもうやろうよ」と纏わりついていますが、日中はおばあさんに遊んでもらうことが多いのでおばあさんを「かくれんぼやってよね」と引っ張りまわしています。昼寝の時間になっても「もっとあそぶ」と。言ってる割には眠そうでそのうちだんだん不機嫌になってくるので私が「寝なさい!」と言うと「まだねない!」
そこでおばあさんが「SUちゃん、ソファーの上に隠れてごらん。お布団かけると見えないよ」と言いました。するとSUはすっかりそのつもりになって、タオルケットをかぶって、もぞもぞしています。そしてそのうち静かになったと思ったら眠っていました。
SUをいい子だなと思うのは「おばあさん、きょうはあそんでくれてどうもありがとう」とちゃんとお礼を言うところです。
4月28日
 おなかの赤ちゃん、いつ出てくるのかな。胎動はごろん、ごろんという感じで回旋しているようです。明け方、足を延ばそうとしたらつって、びっくりしました。足の付け根が痛い。
4月29日
 おなかの張りが強くなってきました。胎動が減りました。土曜日なのでお父さんが来ます。SUは「まだかな」と外に出て待っていましたが、いざお父さんの車が止まるとすぐにはそばに行かず私の後ろに隠れて「ね、おとうさんにおかえりなさいっていおうか?」と恥ずかしそうにしていました。
おばあさんとお風呂に入っているSUですが「今日は誰とお風呂に入る?」と聞くと迷わず「おとうさん!」

(こうして読み返すと母ががこんな風にしてくれたんだなと、感慨深いものがあります。なぜなら現在母は認知症で、かろうじて5人いる孫の名前は呪文のように繰り返して忘れないようにしているので覚えているようですが、それ以外は忘れ去っていると思われるからです。自分の娘二人には厳しい母でしたが、少なくともSUにとっては遊んでくれるおばあちゃんだったのですね)