母に認知症の症状が顕著になってきたのは父が亡くなってからだが、実はその前にも、同じ質問を何回もするとか、料理の味付けがおかしくなるとかその兆候は出てきていた。
先日実家に次男の結婚式の招待状を届けに行った時のこと。
次男は外孫ではあるが、孫の中で唯一県内で進学就職したのでそのことを喜んでくれ、お嫁さんの名前を聞いていい名前だと褒めてくれ、勤め先を聞いて自分の知っているところなのでよかったよかったと言った。数分後にはまた、お嫁さんの名前は何て言うの?勤め先はどこなの?と…。
そのこと自体は問題ではない。聞かれたら教えればいいのだから。
母は「自分も年だからすぐ忘れるんだよ」と言った。そして、呪文のように孫たちの名前を口にした。
孫は全部で5人。最近までカレンダーの隣に子や孫の名前と生年月日を書いた紙を貼っていたのだが、そういえばその紙が無くなっていたのでどうしたのかなと思っていたら、母が外したと言う。
以前母は「あの紙はお父さん(夫)が書いてくれたんだよ。お父さんは偉いね。ちゃんとこうやって書いて残してくれたから自分もいつもそれを見て(孫たちを)思い出している」と言っていた。なのになぜ今頃になってその紙を外したのか。
私が「なぜ取っちゃったの」と聞くと母は「だって、今ヘルパーさんが家に来るでしょ。見られるじゃない」と言った。
「えー?別にそんなもの見られたって構わないじゃないの!」
一瞬私は母が名前や生年月日を書いた紙を外したのはプライバシーに配慮してのことなのかと思ったが、そうではないのだ。母はヘルパーさんに、自分が子や孫の名前も覚えていられないほど物忘れが酷いのかと思われるのではないかということを気にしていたのだ。
案の定母は、その紙をどこに仕舞ったか分からなくなったとぶつぶつ言っていた。
認知症の人の介護で困ることの一つがプライドだ。プライドの高い人は自分の失敗を知られたくない。忘れてしまったことがわからないのだから事実を話して納得させるのは無理だし、自分でそんな失敗をするはずがないと思ってるから問い詰めると取り繕いをしてしまう。そのことがかえって周囲の迷惑になってしまうからだ。
母には「仕舞い込んでわからなくなるより見えるところに置いておく方がよっぽどいいでしょ」と言ったものの、それは自分にも当てはまるかなと…。
先日実家に次男の結婚式の招待状を届けに行った時のこと。
次男は外孫ではあるが、孫の中で唯一県内で進学就職したのでそのことを喜んでくれ、お嫁さんの名前を聞いていい名前だと褒めてくれ、勤め先を聞いて自分の知っているところなのでよかったよかったと言った。数分後にはまた、お嫁さんの名前は何て言うの?勤め先はどこなの?と…。
そのこと自体は問題ではない。聞かれたら教えればいいのだから。
母は「自分も年だからすぐ忘れるんだよ」と言った。そして、呪文のように孫たちの名前を口にした。
孫は全部で5人。最近までカレンダーの隣に子や孫の名前と生年月日を書いた紙を貼っていたのだが、そういえばその紙が無くなっていたのでどうしたのかなと思っていたら、母が外したと言う。
以前母は「あの紙はお父さん(夫)が書いてくれたんだよ。お父さんは偉いね。ちゃんとこうやって書いて残してくれたから自分もいつもそれを見て(孫たちを)思い出している」と言っていた。なのになぜ今頃になってその紙を外したのか。
私が「なぜ取っちゃったの」と聞くと母は「だって、今ヘルパーさんが家に来るでしょ。見られるじゃない」と言った。
「えー?別にそんなもの見られたって構わないじゃないの!」
一瞬私は母が名前や生年月日を書いた紙を外したのはプライバシーに配慮してのことなのかと思ったが、そうではないのだ。母はヘルパーさんに、自分が子や孫の名前も覚えていられないほど物忘れが酷いのかと思われるのではないかということを気にしていたのだ。
案の定母は、その紙をどこに仕舞ったか分からなくなったとぶつぶつ言っていた。
認知症の人の介護で困ることの一つがプライドだ。プライドの高い人は自分の失敗を知られたくない。忘れてしまったことがわからないのだから事実を話して納得させるのは無理だし、自分でそんな失敗をするはずがないと思ってるから問い詰めると取り繕いをしてしまう。そのことがかえって周囲の迷惑になってしまうからだ。
母には「仕舞い込んでわからなくなるより見えるところに置いておく方がよっぽどいいでしょ」と言ったものの、それは自分にも当てはまるかなと…。