九月は車の点検の月なので、外出ついでに予約を入れにディーラーに立ち寄った。
八月に点検のお知らせは届いていたのだが、そういえばいつも
「そろそろ点検の時期ですけれど」
「お車の調子はどうですか?」
「その後気になるところはございませんか?」
「展示会があるんですけどよろしかったら」
と、ことあるごとに電話をくれる担当のお姉さんからの電話がここしばらく無かったな、もしかしたら仕事辞めたとかじゃ…と思いながら出向くと、彼女がいて、にこにこしながら「お久しぶりです」と出迎えてくれた。
なんか雰囲気が変わったような気はしたのだが、帰りがけに
「あのぉ、このたび私、姓が変わりまして○○になりましたので…」
と照れながらもうれしそうに話してくれた。
あ~、そうなんだ^^
「おめでとう!」
彼女は、就職して初めてのお客が私たち夫婦なのだ。
(本当に偶然に偶然が重なり、二台の車を買い替えることになり、しかも長年乗っていたメーカーではない、初めて入った店でのことなのだから)
当時の店長さんが
「自分は定年退職を迎えるんですが、思えばいろんなことがありました。でも、自分の初めてのお客さんのことは今でも忘れません。彼女にとっても○さんのことは特別だと思います」
と言っていた。
あの時彼女に、どうして自動車ディーラーに就職したのか聞いてみたら、同じ販売の仕事でも、お客さんと長いお付き合いができるから。自分が自信を持って売ったものをお客さんに喜んで長く使ってもらいたいと答えていたが、その言葉に彼女の責任感の強さと仕事に取り組む真摯な姿を感じ、二台とも契約したのだった。
あれから4年、彼女のはにかんだ笑顔が強い日差しにも負けないくらいまぶしかった。
おしあわせに