出鼻を挫かれる

2023-06-30 06:26:58 | 山行
北沢峠から仙丈ヶ岳へは大きく分けて二つのコースがある。
薮沢から馬の背ヒュッテを通り北側から詰めるのと、小仙丈ヶ岳を経由して東から詰めるコース。
薮沢コースは谷間を行くので眺めはないが、原生林を味わえそう。
小仙丈ヶ岳コースは峰を行くので眺めが良さそうだ。
初日はあまり天気がよくなさそうなので、薮沢でガスに覆われる雨の原生林を味わい、翌日は天候回復を想定して小仙丈ヶ岳コースで帰ってくる計画とした。



薮沢コースへはバスで来た林道を少し戻り、森の中を下っていく道に入るようだ。
そちらに向かって歩き出したが、バス停のすぐ横に見たことのない花が咲き乱れていて、いきなり足を止められる。
ひとしきり撮影した後、広い林道を歩くと、バスの車窓から見えた苔に覆われた林が左右に広がっていた。
道標が現れ、林道をそれると下り坂。



つづら折れて行く道は原生林の中。
下草は前日の雨で濡れそぼり、樹々の間を抜けて差す光が美しい。
湿った林床は苔やキノコがいろんな表情を見せて楽しい。
後の行程が無ければここで一時間くらい撮影していられそうだ。



20分もかけて大平山荘(休業中)に到着。
この横手から薮沢への道があるのだが、その入口にきて驚いた。
黄色いテープが張られ、通行禁止とある。
立札には薮沢新道は積雪期通行禁止と書いてあった。
積雪期?
今って6月だよな。
そんなに雪深いの?



そういえば南アルプス林道バスの運転手さんもそんなことを言ってたな。
冬にここに来ることはないからって聞き流してた。
そんな特殊な表現でなく、全国で通じるよう日にちで「◯月◯日まで通行禁止」とかにして欲しいなあ。
仕方ない、行きも小仙丈ヶ岳コースを上るしかないか。
バス停まで戻らなくては。



戻る道は上り道。
足が重い。
戻ったバス停には着いた時の喧騒は無くなって、テント場から来たのか二人の登山者が登山口に入っていくを見かけたくらい。
あとは下りのバス横に運転手さんがいるくらいだった。
時刻は10時前。
9時前にバスを降りたから、まるまる一時間出遅れた事になる。



その日泊まる頂上直下の仙丈小屋には15時までに到着するよう言われており、あと5時間しかない。
標準コースタイムは4時間なのであまり写真に時間を使えなくなってしまった。
もし薮沢コース入口まで行ってなかったら撮れなかった写真が撮れたから、悪い事ばかりではなかったと慰めるしかない。
すでに疲れ始めた脚を登山口に踏み入れた。