非でもあり是でもある

2013-06-08 21:53:16 | お酒
コンビニのお酒売場に気になる製品が置かれていた。
それは日本酒なのだが、普通の日本酒とは違う。
「果実みたいにあまずっぱい新・純米酒」と書かれた垂れが瓶に掛けられている。
白こうじと言うクエン酸を多く含む麹菌で醸造しているらしい。
ワインのような飲み口なんだろうか。
気になる。
買って外れだったら嫌だな、と購入はずいぶん長い間二の足を踏んでいたが、その店に行く度に気になり、とうとう買ってしまった。



冷やして飲めと書いてあるので、一日冷蔵庫に寝かせ、次の日、和の惣菜と合わせ飲んでみた。
ウイスキーのテイスティンググラスに注ぎ、鼻を差し入れる。
ふむ、果実酒みたく、かをりさわやか。
口に含んでみる。
なるほど、甘酸っぱい。
飲んでみる。
むむ?なんだこの腰の無さは…。

その味は…、
醸造用アルコールを含まない純米酒には少し酸味が混じる、
その酸味を抑えず、日本酒のコクを取り去り、甘みを残した感じ。
保存状態が悪く、気が抜け、すっぱくなりかけた日本酒を思い出した。
ひどい書き様だが、これは日本酒とは思えない。
あまりにもあっさりしすぎている。
本来の日本酒では脇役、あるいは悪役の甘み・酸味を主役に抜擢し、日本酒が苦手な人が嫌がる独特の深みや後口を取り除いた造り。
酒造メーカーが造る「日本酒」としてはなんとも思い切って製品化したものだと反対に感心。



日本酒業界も苦しくて、これまでとは路線を変えた製品を出して活路を見出そうとしている話題に時折触れる。
海外に販路を見出したり、炭酸と日本酒を合わせた製品を出したり。
これもその種のお酒の一種のよう。
日本酒受けの悪い購買層にも好まれるさっぱりした口当たりの新製品。
軽快に飲めるお酒としてみた場合、確かにフルーティーで日本酒が苦手な人でも大丈夫と思う。

あー、悪く書いてるようだが、それは日本酒好きの立場として。
ワイン好きの立場として書くと、日本酒でもこんな表現ができるのだという新たな発見があった。
さっぱりと作りすぎなので、もう少し穀酒らしいコクを加えれば、面白いんじゃない?とは思う。
暑い時にワインでは合わない和の食材と合わせ飲むのにいい。
飲みきって立て続けに購入してしまった。
購入前は全然売れる気配がなかったのに、私以外のお客さんで同時期に気に入った方がいるようで、新たに入荷を確認した翌日には売れてしまっていた。
さて、全国での売れ行きはどうなんだろう。