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熊澤良尊の将棋駒三昧

生涯2冊目の本「駒と歩む」。270ページ。ペンクラブ大賞受賞。
残部僅少、送料込み5000円。注文受付中。

目次

作品 文章 写真 販売品

ナナホシテントウ虫

2013-03-15 05:38:49 | 写真
3月15日(金)、晴れ。

今日も上天気。
井山さんが6冠達成のニュース。
伊緒チャンおめでとう。

昨日のテレビ撮影の一場面。
以下は、プロデューサーとの会話。

「番組で熊澤さんの仕事をどう呼べば良いのでしょうかね。根っからの職人さんでは無さそうだし・・」。
「そうですね。職人と呼ばれるのは違和感がありますし好きではありません。普通に『駒づくり』で良いのでは」。

「何か実演をしてくれますか」。
「そうですねえ。では、彫りと漆で文字を書くところを」。
と言うことで、最初に「彫り」の実演。
ロングショットと、手元のクローズアップ。

次に、漆で文字を書くところ。
これもロングショットと、グローズアップ。

「はいわかりました。小生の場合は『書き駒』と言って、何も無いところに直接漆で文字を書く時と、下地に文字を彫って漆で平らに埋めたあとを漆で盛り上げる『盛上げ駒』の2通りあるので、両方やりましょうか」。
「ハイ。では先ず『書き駒』で何枚か書いてください」。

何もないところに直接書いて作る「書き駒」は、「根付け」作りではいつものことです。
人前では「駒サロン」や、連盟(関西)書道班の皆さんの前で何度か披露したことはあります。
しかし、カメラの前では初体験、少し緊張。
だが何事もないかの如く、息を詰めて「王将」の2文字。

「書きあがった1枚目は手元の左上あたりに置いておいてください。2枚目は、そこからカメラを廻してクローズアップで撮ります・・」。
「ハイ分かりました」と、今度は「玉将」。

2枚目を書き終わって、
「次は『盛り上げ』にしますか。『盛り上げ』は下地に沿って漆を乗せながら撫でくる感じ。まるで塗り絵のようで、面白くもないと思いますが」。
「イヤーっ、今のシーンは感動的です。カッコいい文字。このシーンを使います」。

「有難う。そうしてください。実は『書き駒』が究極の目標です。昔のお公卿さんは字が上手かった。中でも400年前の水無瀬兼成さんは格別上手かった。だからあの写真のような駒が遺せた訳です」。
「ナルホド」。

「対して職人は字が上手とは限らない。明治時代の職人は、たとえ字が上手くなくても昔の公卿が書いた見事な文字を職人技で再現する方法を考え出した。それが『盛り上げ駒』です。文字を印刷した紙を貼って彫り、そのところを漆で埋め戻して平らにする。その跡を漆でなぞって、まるで塗り絵みたいに文字を書く訳ですね。その分、手間がかかるので今ではそれが最高のモノだと思い込んでいる人が多いですが、肉筆の文字ほどのイキイキしたモノにはならない」。
「・・なるほど」。

「書き駒の場合は、今、お見せしたように1枚の2文字を3分か4分くらい。対して盛り上げの場合は、どうしても下地の文字の形が気になって自由に書けないからそれなりに時間がかかる。私の場合は15分ほどですが、書いていても面白味を感じないのですね」。
「ええ、なるほど・・」。

「世の中、時間を掛ければそれだけ価値が高いと思いがちですが、それはトンだ勘違い。モノには時間を掛けるところと、時間を掛け過ぎてはいけないところとがあります。要は、出来上がったモノがどうかですよね」。
「熊澤さんのおっしゃること分かります。何事も時間を掛ければよいというものでは無いですからね」。

「水無瀬兼成さんのように肉筆で良い駒を作りたいと言うこと。未だまだですが、それが究極の目標です」。
「ところで熊澤さんの作られた駒を番組でどう表現すれば良いですか。実際に使うモノだし作品と言うのも何だかピッタリしないし・・。このあいだ電話で話していて、そう感じました」。
「ハイ、作品と呼ぶのは私も違和感がありますね。普通に、熊澤さんが作った駒。それで良いではないでしょうか」。

ーーーー
前日に見失った「ナナホシテントウムシ」を再び見つけました。
そこでパチリ。

今年の「春」は、ナナホシテントウ虫が持ってきてくれましたネ。







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駒の写真集

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