2019-0906-man3351
万葉短歌3351 筑波嶺に3096
筑波嶺に 雪かも降らる いなをかも
愛しき子ろが 布乾さるかも 〇
3096 万葉短歌3351 ShuG274 2019-0906-man3351
□つくはねに ゆきかもふらる いなをかも
かなしきころが ぬのほさるかも
〇=出典未詳。
【編者注】東歌(3348-3352、5首)の第4首。男。左注に、「右二首常陸国(ひたちのくにの)歌」。
【訓注】雪(ゆき=由伎)[「東歌に三例」。ただし、11-3423布路与伎能(ふろよきの=降る雪の)]。降らる、乾さる(ふらる、ほさる=布良留、保佐流)[下記注]。いなを(伊奈乎)[「<否>と<諾(を)>」]。愛しき子ろ(かなしきころ=加奈思吉児呂)[下記注]。常陸国(ひたちのくに)[茨城県]。
【依拠本注-降らる、乾さる】「降らる」は「降れる」の東国形。東国語には中央語の e が a に交替するのが目立つ。結句に「乾さる」ともある。
【依拠本注-愛し】「愛(かな)し」はせつないまでにいとしい、の意。「悲し」と同源だが、性愛を表わすのが習いで、大部分東国の歌に現われる。〔編者注保留〕
【依拠本注-子ろ】女への愛称。東歌に限られる。20例。「ろ」は親愛を示す東国特有の接尾語。
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