A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

ジャズの原点はスイングとブルース・・・そして客席と一体になれるエンターテイメント性

2014-06-04 | MY FAVORITE ALBUM
Swingin’ & Jumpin’ / 向井 志門 & Swingin’ Devils’

我々の子供の頃は高度成長真っ只中、仕事に就いてからもオイルショックなど一時のつまずきはあったものの基本は右肩上がり。会社の売上は毎年10%UPの目標は当たり前、それに応じて給料も毎年上がる、ボーナスで別封が出たこともあった。技術の進歩も日進月歩、古いものに拘っていたのでは前に進めない。多少の失敗はものともせず、古いものを捨ててどんどん新しい物を採り入れて前進あるのみという時代もあった。企業のコンプライアンスの今ほど厳しいものではなく、現場の裁量の自由がきいた時代でもあった。忙しかったけれど、楽しい時代であった。

大きな転機を迎えたのはバブルの崩壊、それから平成の時代が始まる。ベルリンの壁が崩壊し、天安門事件が起こったのもこの頃。今思えば、この頃が大きな時代の転機であったのだろう。無理矢理作った人工的なものはいつか崩壊する、それが世の中の節理である。過去に遡ってみても伝統に支えられた国家、民族、伝統は侵略が無ければ本来不滅のはずであった。無理に作った国が行き詰れば、民族主義が復興してくるのも自然の流れであろう。

今の若者には覇気がないとよく言われる。色々守らなければならないことが多い世の中になってしまった。確かに昔のように多少乱暴であっても前に向かって行くことを後押しするような時代背景はない。これではやる気が起こらないのも無理はない。
しかし、本来守らなければならない中にも着実に進化していくものはある。一発勝負のベンチャー企業や、詐欺まがいの商法で大きく伸びた企業ばかりがもてはやされ、着実に日々を歩んでいる企業や人が冷や飯を食わされている今の時代はもう一度どこかで転機があると思うのだが・・・。

若者の中でオールドスタイルのジャズをよく好んで演奏する者たちがいる。まずは「見かけの演奏スタイル」から好感を覚えてしまう。確かにベテランのそれに比べるとまだ円熟味が足りないとは感じるが、それは経験の差という物だろう。伝統という大そうな言い方をしなくとも、演奏する立脚点が同じであれば自然と行き着くところは同じである。それが伝統の継承だろう。

若手のビッグバンドに向井志門とSwing Devilsというバンドがある。
このバンドの立脚点は、「ジャズの源流はダンスミュージック、1930年代の”スイングとブルース”フィーリングを大事にする」と謳っている。実に分かりやすい、いわゆるノリノリの演奏をするバンドだ。いわゆるモダンビッグバンドではアレンジの妙をじっくり聴かせるオーケストラが多いが、このように徹底的にスイングすることを基本にするには、ジャズ本来の楽しさであり伝統その物である。それは4ビートでも8ビートでもいい、スイングすることが大事なのだというこだわり。多少演奏そのものは荒っぽいが、かえって優等生的な演奏よりもジャズっぽくていい。

彼らのステージは毎回ショー仕立てされていて、エンターテイメント的な要素も加味され構成されている。ということは、根っからのジャズファンだけでなく、これからジャズを聴いてみたいというファンにもアピールする内容である。
今年になってビーフラットで一度ライブがあった。久々のライブでプログラムの構成もジャズの歴史をニューオリンズから辿るという力の入れ方であった。きっと多くの人に聴いて貰いたかったのだとは思うが、残念ながら客席はまばら。「彼らの演奏とジャズに興味を持ち始めた若者たちの接点がもっとできればいいのだが」と思ったものだ。

そんな彼らのアルバムがこれ。ベイシーやサドメルナンバーからオリジナルまで若手の錚々たるメンバーが揃っていて元気の出る演奏だ。CDもいいけれど、ぜひライブを一度体験してみると良さがより分かるビッグバンドだ。



1. Freckle Face
2. Left Hand Funk
3. Blues Walk
4. Don’t Git Sassy
5. Night Train
6. Pass The Peas
7. Signed, Sealed, Delivered I’m Young
8. Introduction
9. Them Changes
10. Cold Sweat
11. Joyful Joyful
12. Back To The Apple

向井 志門、松村広則、中江祐気、鈴木悟、永田昴生、根津 知佳子 (sax)
小澤篤士、田中一徳、赤塚謙一、榊原聖人 (tp)
須賀 裕之、枡家小雪、芹澤淳、佐々木 匡史 (tb)
西池 達也 (p)
池田 雄一 (g)
寺尾 陽介 (b)
奥瀬 健介 (ds)

Recorded on November, 9th 2010

コメント (2)
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